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甘草の育成順調、連携し健康茶の商品化へ…合志市と新日本製薬

2012年5月31日(木)

「飲む前から、体によさそうな感じがするなァ」
  周囲を笑わせながら荒木義行合志市長は“甘草(かんぞう)ブレンド茶”を口に含んだ。
  同市では昨年4月、新日本製薬梶i本社福岡市、後藤孝洋社長)と、甘草など薬用植物の栽培技術の確立や商品開発に関する包括的連携協定を締結。市内2カ所の圃場で甘草の試験栽培を実施しているが育成は順調だ。新日本製薬によれば、4県(熊本県内は合志市、人吉市、湯前町)で実施している試験栽培で合志市の育成状況が最も良好という。
商品共同開発の第1弾として甘草を使った健康茶の開発を目指しており、5月2日、商品化に向けた企画会議を市役所で開いた。合志市では同市産の茶葉とブレンドした健康茶のほか、地域の農産品とのコラボの可能性も探りたい考え。試作した甘草健康茶はイベントなどで試飲してもらい、市民に甘草の味に触れてもらい地域の特産品づくりの足掛かりとしたい考え。
  甘草は漢方薬の約7割に使用されている薬効植物。みそや醤油などの食品甘味料や化粧品などにも使われる。近年、主産地の中国が環境保全や拡大する国内需要への優先的供給で甘草の輸出を規制、市場価格が高騰している。新日本製薬と同市の連携は輸入減少に対応した国内生産を目指す動きのひとつ。新日本製薬では熊本のほか、新潟、青森、島根3県でも甘草栽培を計画しており、4地域合計で栽培面積200haを確保、輸入量の約1割に当たる200tの生産を目指している。
  中国の輸出規制で“レアプラント化”した甘草を巡っては、鹿島建設などが植物工場(水耕栽培型)栽培システムを開発、漢方薬最大手のツムラは中国の企業や大学と共同で、中国現地での甘草栽培技術を確立したと発表。甘草抽出グリチルリチンを医薬品メーカーに供給する宏輝(本社・東京)では、昨年から中央アジアのタジキスタンで甘草工場を稼動させた。最近では大阪大学などの研究グループが、遺伝子組み換え技術を使いグリチルリチンの生成に成功したと発表するなど動きが活発化している。(編集部・香月)

甘草の商品化に向けた打ち合わせで甘草ブレンド茶を試飲する荒木市長ら合志市幹部。右からを荒木市長、藤井勝公副市長、古荘一也商工振興課長、後藤圭子商工振興課課長補佐、濱田善也政策部長(5月2日、市役所庁議室)
合志市庁舎前の試験栽培圃場で甘草の育成状況を見る(左から)後藤課長補佐、村上淳二主事、地域ブランドプランナー(嘱託)の熊川浩子さんら農商工連携班のメンバー。育成は予想以上に良好という
5月2日の企画会議で、新日本医薬の研究員による甘草(同社岩国本郷研究所栽培)と緑茶や他の薬用植物とのブレンド作業を興味深げに見る合志市幹部
薬効成分のグリチルリチンが含まれる甘草の根茎(下)と細かく砕いた甘草粉末(上)。食品甘味料としても使用される甘草のお茶はほんのり甘い
甘草は中国北部など乾燥地帯に自生するが、新日本製薬が4県で実施した試験栽培では合志市の育成状況が一番いいという(合志市庁舎前の試験圃場の甘草)