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「アシアカエビ」素材に熊本市で“産直グルメ”づくり〜芦北漁協

2012年11月30日(金)

  芦北といえば、白い帆に風を受け悠揚と底引き網をひく打瀬網漁で知られるが、打瀬網漁の主な獲物のひとつが「アシアカエビ」。クルマエビなどに比べ知名度は低いが、味が濃厚で形のいいアシアカが計石港には揚がる。芦北漁協(芦北町計石、八里政夫組合長)では、アシアカエビの販路開拓で組合長自ら熊本市内の料理店を回り、アシアカエビを使ったメニュー開発を働きかけている。
 10月中旬、八里組合長は市内のフレンチ、イタリアン、和食の3店を訪ねた。中央区桜町、洗馬橋際のイタリア料理店「Antico Castello(アンティコ・カステッロ)」では、荒木寿朗オーナーシェフが、「食材は出来る限り熊本産で有機栽培など安心して使えるモノを選んでいる」と天然のアシアカエビに関心を示した。「打瀬網漁で獲れるエビはストーリー性もある」と荒木さん。同区安政町のフランス料理店「LE BACCHUS(ル・バッキュス)」のオーナーシェフ井芹圭一さんは、「鮮度が落ちないうちに」と八里さん提供のエビを、翌日のランチで殻つきのままニンニクと香草でローストして出した。「大きく食べ応えがあると好評。エビはみそをソースに使え応用の幅も広い」と話す。水前寺公園入口の日本料理店「料理方秘 神の水」店主の松村健司さんは、「形が大きく味も濃厚、インパクトがあって昼の弁当の素材に面白い」と評価は上々だ。
  課題もある。そのひとつが安定供給。海が荒れれば当然だが、打瀬網漁は風がなくても漁にならない。天然モノの流通では避けられないとはいえ、料理店にとっては扱い辛い。「神の水」の松村さんは、「エビはボイルして冷凍すればほとんど質は落ちない」とアドバイスした。
  組合長が走り、漁協と料理店を結ぶ産直ルートづくりが動き始めている。(編集部・香月)

「料理方秘 神の水」店主の松村さんが試作した「足赤大海老のちらし寿司弁当」。大振りのアシアカエビはインパクトがある。“地産地商”で肥薩オレンジ鉄道の駅弁にいかがでしょう?
「神の水」松村さんは、八里さん(左)が持参したアシアカエビをその場でワイン煮にした。甘味が濃厚で大振りなアシアカエビはインパクトがあって面白い素材という
フレンチ「ル・バッキュス」の井芹さんは、ニンニクと香草でローストしズッキーニや人参などの野菜と合わせた。シンプルだがアシアカエビのみそを生かしたソースが料理全体を引き立てる
ル・バッキュスオーナーシェフの井芹圭一さんにアシアカエビを売り込む八里組合長
イタリアン「アンティコ・カステッロ」の荒木さんは、アシアカエビを自家製イカスミパスタと合わせた。地元産で鮮度が良く天然モノ―荒木さんの志向に合うようだ
アンティコ カステッロの荒木さん、「食材は出来る限り熊本産を選んでいる」と天然アシアカエビに関心を示した
芦北漁協の組合員が打瀬網漁で獲る「アシアカエビ」。一般には余り知られていないがクルマエビに劣らぬ地場の天然モノの食材だ
11月10日、芦北漁協が開いた「芦北うたせ感謝祭」で賑わう計石港の漁協前広場。昨年から感謝祭をスタート、獲れたての新鮮な魚介類をアピールしている
1匹100円のアシアカエビの塩焼きは次々に売れていった
アシアカエビの塩焼きやイシエビのかき揚げなどの販売テントは長蛇の列