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山都町で梅山豚を100匹放牧・肥育・・・坂本牧場

2015年7月1日(水)

 山都町上寺の坂本牧場(坂本幸誠代表)は、全国2カ所しかないといわれる梅山豚(めいしゃんとん)生産農家の一つ。同豚は中国が原産地で猪八戒のモデルといわれる“幻の豚”。1972年、日中国交正常化の際、パンダに次いで10頭が日本に寄贈されたが、その後、中国政府が輸出禁止品目に指定。坂本牧場では7年前、梅山豚の原種と黒豚バークシャー種を譲り受け、それらを掛け合わせながら原種に近づける努力を続けている。

 「生まれた時から抗生物質を一切使わず」(同代表)、屋根だけの豚舎とその裏山で放牧品が育てるのが同牧場の特徴。特に免疫力が落ちる離乳時期、子豚を放し飼いにし草や土などを自由に食べさせ運動させるのが効果的という。  冬、豚には厳しい環境だが「抵抗力の無い豚は自然淘汰されるので、ここで生き延びた豚を繁殖させていくことが、免疫力の強い豚を残すことになる」と同代表。肉は赤身の味が濃い上、臭みがないとして通販のほか、熊本市内のリストランテミヤモト、tutti、焼肉すどうなどでも提供され、生ソーセージは星のや 京都(星野リゾート)の朝食にも並ぶ。
 「梅山豚の良質の脂肪は体内の脂肪の新陳代謝を促し、脳の活性化にも不可欠」とも。その脂肪に目をつけ、この6月、主にイタリア料理で使われる背油を塩漬けにしたラルドの本格的生産に着手した。この11月には、日本イタリア協会の要請を受け、東京で開催される第5回イタリア料理専門展に専用ブースを出展する。
 同代表は「生かされている豚より、生きる力のある豚を育て、皆さんに免疫力のある豚を食べてもらうことで健康になっていただきたい」と消費者目線を忘れない。
 坂本代表は旧矢部町出身、1958(昭和33)年1月28日生まれ、57歳。矢部高―阿蘇草地畜産研修所卒。農薬に頼らない合鴨による自然農法で米作りを行う農家グループ「心の会」の運営メンバーで、約100人の消費者に無農薬米、野菜、肉などを届けている。この4月には、山都町有機農業協議会(山都町役場内)の会長に就任したばかり。(徳永)

▲坂本牧場で肥育されている梅山豚
▲梅山豚ha顔や腹の皮膚のたるみが特徴
▲肥育用30匹、繁殖用20匹、子豚50匹合わせて100匹が畜舎と畜舎裏の山を自由に行き来している
▲背油を塩漬けしたラルド
▲真っ白であっさりした味が特徴の脂肪
▲京都の星のや 京都(星野リゾート)の朝食にも採用されているという生ソーセージ
坂本牧場の坂本幸誠代表
▲坂本代表も運営メンバーの農家グループ「心の会」では農薬に頼らない合鴨による自然農法で米作りを行っている