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熊大と共同開発の「食事塩分排出サプリ」を発売〜トイメディカル

2018年2月17日(土)

 医療関連製品開発ベンチャーのトイメディカル梶i熊本市中央区細工町4丁目、竹下英徳社長)は2月16日、熊本大学大学院の藤原章雄講師(細胞病理学、薬学博士、38歳)と共同で開発した、食事に含まれる塩分を体外に排出するサプリメント「Del Salt(デルソル)」を2月から販売開始したと発表した。
 排塩サプリ「Del Salt(デルソル)」は、昆布やワカメなど海藻に含まれる成分で食品添加物(増粘剤、上限摂取量なし)にも使われる食物繊維のアルギン酸塩と、食事に含まれる塩分(ナトリウムイオン)を胃の中で結合させることで、塩分が血液中に吸収される前に便として体外に排泄させる仕組み。藤原熊大講師監修のマウス試験では、マウスに塩水のみを与えた場合と比較し、同サプリを事前に与えたものでは血中塩分濃度の上昇が半分程度に抑えられたという。
 16日、県庁で開いた記者会見で同社の竹下社長は、「従来の減塩サプリメントは、カリウムやほかのミネラルで血中のナトリウムを体外に排出するものがほとんどで、一時的に血圧が上がったり、腎臓に障害のある人がカリウムを取り過ぎると不整脈を引き起こす可能性があるなどの問題があった。『デルソル』はカリウムをほとんど含まず、血中塩分濃度の上昇を抑制することを確認している」と、新開発「排塩サプリ」の特徴を説明した。藤原講師は、「カリウムを含まず、今回採用したアルギン酸塩で血中の塩分濃度の上昇を抑え、かつ体外に排出されることが確認されたのは世界で初めてと思う」と話した。
 「Del Salt(デルソル)」は、2月1日から自社サイトで180粒入り(1日6粒で約1カ月分)5500円(税別)で販売を開始しており、夏頃からは大手通販2社でも販売を予定している。また、薬系卸最大手のアルフレッサヘルスケアにOEM供給、4月から同社専売品「しおナイン」(60粒入り、税別2000円)として全国のドラッグストアなどで販売する。
 竹下英徳氏(44歳)は、地場医療品メーカー、リバテープ製薬鰍フ研究開発部門勤務を経て2013年10月に同社を設立。現在、スタッフは役員、従業員合わせて6人。2017年12月期の売上高は約5000万円。2016年7月に県の「くまもと雇用創出総合プロジェクト補助金(高付加価値商品開発支援事業)」に採択され、藤原講師と共同で「排塩サプリ」の開発に着手。県・肥後銀行・熊本大学・県工業連合会・潟潟oネスで組織する「県次世代ベンチャー創出支援コンソーシアム」が、昨年7月開催した次世代ベンチャーコンテスト「熊本テックプラングランプリ」で「排塩サプリ」の開発プランを発表、ファイナリスト(最終選考対象)に選ばれ、同プランのFS(実現可能性調査)が県の補助事業に採択されるなどの支援を受けた。竹下氏は「県内ではモノづくりベンチャーが出にくい状況があるが、今回のコンソーシアムの支援は有り難かった。今後の地域活性化にもつながると思うので、何とか『排塩サプリ』事業を成功させたい」などと話した。(香月)

県庁で会見する(左から)トイメディカルの前田涼子執行役員(研究開発担当)、竹下英徳社長、熊本大学大学院の藤原章雄講師(同社技術顧問)
「人工透析の患者さんに『ラーメンが食べたい』と言われたことがきっかけ」と、「排塩サプリ」開発の経緯を話すトイメディカルの竹下英徳社長
発売した排塩サプリメント「Del Salt(デルソル)」