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世界遺産登録、集落に期待感・・・春日集落(長崎県平戸市)

2018年5月17日(木)

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関・国際記念物遺跡会議(イコモス)から世界文化遺産登録が勧告された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」。長崎、熊本の両県にまたがる12の構成資産のうちの一つ、「平戸の聖地と集落」の春日集落(長崎県平戸市)では勧告を受け、観光客の呼び込みに向けた準備が進められている。

 佐世保市の中心部から北西に約50km、東シナ海に面する平戸島西端の海岸に潜伏キリシタンゆかりの集落はあった。江戸時代の禁教期には、多くの潜伏キリシタンが存在し、神仏信仰を掲げながらも秘密組織をつくり、密かに守りぬいていった。山岳や島を聖地や殉教地として崇敬しながら信仰を続けた事例としては珍しいという。
 世界文化遺産登録の勧告があったGW中日の5月4日には50人、翌日の5日には200人の観光客が集落を訪れた。「今までにない勢いを感じる。知名度が高まっているということの表れ」と集落の住民は手ごたえを口にする。
 集落では地域おこしに向けた準備が進められる。その一つが集落の棚田米を原料とした日本酒の製品化。平戸市内の酒蔵とともに売り出すことで棚田の維持にもつなげたい考えだ。また、ことし4月には民家を改装した観光案内所を集落内にオープン。資料館や土産物コーナーなどを併設した、おもてなしの拠点も完成した。
 集落出身の案内員・寺田賢一郎さんは「現在集落内には18世帯あるが、高齢化で棚田の維持も容易ではない。多くの観光客に来てもらうことで地域振興につなげていきたい」と話し、さらなる認知度向上に期待を込めた。(松本)

「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つとして、世界遺産登録が決まった春日集落(長崎県平戸市)
ことし4月、集落内にオープンした観光案内所
観光案内所内の資料館
案内所隣りの古民家には、地元住民によるおもてなしのコーナー
昨年11月には、春日集落の棚田米をローマ法王に献上。世界遺産登録へのアピールにもなった
観光案内所の営業時間は8時30分〜17時30分
海岸に面する春日神社
当日はあいにくの雨で、観光客の姿はぽつぽつ(5月13日)