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2026年までにホテル4棟体制を目指す・・セレクトホテルズグループ

2022年12月7日(水)

 「ANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイ」を運営する潟jュースカイホテル(熊本市中央区東阿弥陀寺町、古賀哲馬社長)。コロナ禍での苦戦を乗り越え、アフターコロナを見据えた新たな事業展開に向けて進み始めている。熊本・九州における今後の計画や取り組みについて同社グループのセレクトホテルズグループ代表でもある中村比呂志潟jュースカイホテル代表取締役に話を聞いた。(くまもと経済12月号掲載・宇治野)
  
―新型コロナの影響で苦戦を。
中村 確かに2020年は業界として相当苦しめられました。しかしながら、セレクトホテルズグループ全体では、大都市圏内にそれほど多くの店舗を集中させていなかったということ、そして、どちらかというとインバウンドだけに頼らず、日本国内で働く皆さまを応援するホテルという事業展開が功を奏し、21年度からは既に黒字化を図ることができました。

熊本で新たにホテル2棟を計画

―熊本での展開は。
中村 そうした中で、熊本に絞って考えた場合、桜町の再開発に続き、特にJR熊本駅周辺の再開発による集客効果ではコロナ禍にもかかわらずプラス面のインパクトを受けたと感じています。
今後、熊本のマーケットはTSMCやそれに関連した誘致企業が増えていくと考えており、この先、観光需要よりもビジネス需要の増加が先行するだろうと見ています。
 グループとしては、久留米でもビジネスホテルを運営しています。このことを踏まえて、熊本県内でも新たに2棟ほどのビジネスホテルを出店したいと思っています。

―熊本を見て感じることは。
中村 他県に比べて、長期的に滞在できる電磁調理器や洗濯機などを備えたリーズナブルなホテルが熊本ではまだまだ不足していると感じます。これから県内の広い範囲で生産工場の建設が進んでいきますので、1回の出張で2、3カ月間宿泊する人も増えていくだろうと考えています。
 熊本でもう1点感じるは、ホテルが街中に集中出店し過ぎているように思います。これから工業団地の誘致が進んでいくことで、放射線状に広がっていく街づくりが予想できます。熊本の規模からして、空港から中心地までのアクセス上で、ロードサイド型ホテルが少ないように思います。こうした点からも、熊本のマーケットは今後もさらに伸びていく可能性が高いと考えています。

―新たに出店を計画中の2棟について、具体的には。
中村 来期(23年度)中に新たなホテルの建設予定地を選定し、24年の春から秋口までには150室ほどのホテル建設に着手したいと考えています。また、24年には同時進行で2棟目の予定地選定を開始し、25年の着工、26年の完成を目指したいと考えています。熊本へ誘致される国内外の企業をターゲットにしながらも、九州全域の人流を見て、県北や中心市街地付近などを検討しているところです。
 マーケットを見ることを大切にし、情報を分析するだけでなく、常に自分自身の足を使って実際に見て回り、体感しながら、人流・物流を観察してホテルの立地を考えています。
 ANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカは、セレクトホテルズグループの旗艦ホテルです。26年までに現在のニュースカイホテル、久留米の「ザ・セレクトン久留米」も含め、新たなホテル2棟と合わせた4棟体制を構築し、長崎、鳥栖、八代のグループホテルと共に九州におけるニュースカイホテルのグループ化を推進していく計画です。

地域共生を重視

―「環境イノベーションホテル」への取り組みも。
中村 金融機関さんと連携し、サポートを受けながら、SDGsに取り組んでいますが、単純に革新や改善だけでなく、日本古来からある環境に優しい仕組みも取り込んでいきたいと思っています。
例えば、当グループでは、ホテルのパジャマを化繊ではなく自然で体に優しい日本に昔からあるコットン100%の素材を生かした生地を採用するといった取り組みを広めています。
 また、単にホテルを新設して、ビジネスを展開するだけではなく、地域とのつながりをより大切にしながら、地域共生社会という考え方を経営に取り込んでおり、@地域における雇用創出A食材や商材などの地産地消B災害時の緊急避難先としての貢献、この3点を掲げています。
 特に、災害時にできる地域への支援として、当ホテルの一般的な受水槽サイズである40トンを、60トン、80トンにすることで、緊急時に避難者の皆さまに水の提供ができるように備えています。このように地域との共生を重視しています。
 また雇用の面では、当ホテルに入社して定年まで長く働き続けられるようにしたいと考えています。雇用する責任、成長を導く責任が企業には求められており、こうした職場を作り込んでいくことが、経営者としての責務です。
こうしたホテルの在り方を当グループでは総称して「環境イノベーションホテル」と位置づけ、社会的責任を意識して地域に貢献できるホテルへの成長に取り組んでいるところです。

中村 比呂志(なかむら・ひろし)
東京都出身、1962(昭和37年)1月23日生まれ、60歳。埼玉大学経済学研究科修士課程修了。メーカーや不動産マンションディベロッパーなどを経て2005年に潟Gフ・イー・ティーシステム設立。2014年6月に潟jュースカイホテル代表取締役に就任

「2026年までにホテル4棟体制を目指したい」と話す中村代表
グループの旗艦ホテルでもある「ANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイ」(熊本市中央区東阿弥陀寺町)
同社が運営するホテル「ザ・セレクトン久留米」(久留米市六ツ門町)
長崎市で運営する「ホテルニュー長崎」(長崎市大黒町)
ホテルビアントス(鳥栖市酒井西町)
セレクトロイヤル八代(八代市本町2丁目)
全国のグループホテルを定期的に訪れる中村代表