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熊本第1工場開所、「第2工場」年内着工へ・・・TSMC・JASM

2024年2月26日(月)

 半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は2月24日、菊陽町原水に建設した国内初となる第1工場の開所式を開いた。
 第1工場は、敷地面積約21万3千u。建築面積は約7万2千u。工場棟は鉄骨鉄筋コンクリート造り地下2階地上4階建て。クリーンルームの延べ床面積は4万5千uで国内最大規模。回路線幅12/16nmと22/28nm(ナノは10億分の1)のロジック半導体を生産する。設備投資額は約86億米ドル(約1兆2900億円)で、日本政府が最大4760億円を助成する。
 TSMCは2月6日、県内に第2工場を建設することも発表しており、開所式の当日、政府は最大7320億円を助成すると発表。年内に着工し、2027年末までに稼働させる計画。同時に現地生産子会社JASMにはトヨタ自動車が約2%を出資する。
 第1工場と合わせた投資額は日本円で約2兆9600億円を超える見通しで、第2工場では回路線幅6/7nmのロジック半導体に加え、自動車産業にとって重要な40nmも生産する予定。生産能力は第1工場と合わせ、月10万枚(300ミリウエハー)に高まる。雇用は両工場で3400人を超える見込み。第2工場の敷地面積は約 32万1千u、建設面積は約8万8千uの計画で、場所など具体的な内容は未発表。

 第1工場の開所式にはTSMCの創業者、張忠謀(モリス・チャン)氏や劉徳音(マーク・リュウ)会長、魏哲家(シーシー・ウェイ)CEOの 3人がそろい踏み。工場を運営する子会社JASMに出資するソニーグループの吉田憲一郎代表執行役会長CEO、デンソーの林新之助社長、トヨタ自動車の豊田章男会長をはじめ、齋藤健経済産業大臣、蒲島郁夫知事、吉本孝寿町長らも出席した。
 劉会長は「現地調達を活用して強力な半導体サプライチェーン(供給網)を構築し、100%再生可能エネルギーを使用し、環境に配慮した半導体製造に取り組む」とあいさつ。創業者の張忠謀氏は「日本における半導体製造のルネサンス(再生)の始まりになる」と期待を込めた。
 岸田文雄首相はビデオメッセージで「半導体はデジタル化や脱炭素化に必要不可欠なキーテクノロジーだ」と強調。「先端半導体の国内生産体制整備に前例のない大胆な支援を講じ、第2工場についても支援を決定した」と述べた。続いて齊藤大臣が「1号棟が生み出した投資と賃上げの好循環をさらに加速し、熊本・九州から日本全国にまで希望与える起爆剤になってほしい」とあいさつ。
 地元を代表して蒲島知事は「ビジネスが円滑に進むよう後押しし、道路、鉄道、工業用水、下水道処理などのインフラ整備にスピード感を持って取り組む」と強調。財源確保についても岸田総理から追加的に複数年かけて安定的に対応できる支援を受ける仕組み創設に触れ、「JASM工場が恵まれている」と述べ、令和5年度補正予算で創設された「地域産業構造転換インフラ整備推進交付金」(30億円)についても謝意を示した。そのほか、魏哲家(シーシー・ウェイ)TSMC CEO、甘利明 自民党半導体戦略推進議員連盟会長、萩生田光一 元経済産業大臣、吉田憲一郎 ソニーグループ会長CEO、林新之助 デンソー社長があいさつした。その後、来賓および関係者によるテープカットが行われた。(甲木・宇治野)

熊本を訪れ「半導体はデジタル化や脱炭素化に必要不可欠なキーテクノロジーだ」と話すTSMC創業者のモリス・チャン氏
「現地調達を活用して強力な半導体サプライチェーンを構築し、環境に配慮した半導体製造に取り組む」と話すマーク・リュウ会長
「第2工場についても支援を決定した」とビデオメッセージで述べる岸田首相
「熊本・九州から日本全国にまで希望与える起爆剤になってほしい」とあいさつする齋藤大臣
「ビジネスが円滑に進むよう後押しし、道路、鉄道、工業用水、下水道処理などのインフラ整備にスピード感を持って取り組む」と述べる蒲島知事
「TSMCから学ぶことは多い。ソニーから200人以上がTSMCに出向している」と話す吉田ソニーグループCEO会長
「新工場の立ち上げが地域の発展、子どもたちの笑顔につながっていくことが大切」と話す林デンソー社長
最後に来賓・関係者が登壇し、フォトセッションが行われた
地元経済界からも多くが出席した
菊陽町原水に完成したJASM「第1工場」。手前が工場棟、奥にオフィス棟