トップ Companies くまもと経済EX 2006 日本一の地域金融グループ目指す
くまもと経済EX 2006

熊本の明日を拓く未来創造企業 100の戦略

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金融・保険・卸・流通・小売
日本一の地域金融グループ目指す
熊本ファミリー銀行
福岡銀行と経営統合へ
5月12日、同行と福岡銀行は、業務・資本提携を行うこと並びに共同持株会社設立等、経営統合に向けた検討を開始することに基本合意した。両行は、業務・資本提携並びに将来的な経営統合を通じて、営業ネットワークの拡大による顧客サービスの向上、地域社会への貢献、企業価値の持続的成長、従業員満足度の向上を図ることを目的としている。福岡、熊本両県で九州の経済力の5割以上を占める中、双方の強みを生かし「九州一」というだけにとどまらず、「日本一の地域金融グループ」を目指していく。
 業務提携の内容は@事業再生支援AATMの相互無料化BビジネスローンC法人ソリューション営業D個人向け営業E業務効率化の6項目で、経営統合に向け設立された統合準備委員会で具体的な協議を進める。
 同行の今年3月期決算ではコア業務純益138億1300万円、当期利益46億8200万円を計上、昨年に引き続き良好な利益を確保しており、預金残高で1兆2058億円(個人残高8768億円)とここ数年増加基調で推移している。自己資本比率についても04年の7.17%からこの3月には9.33%と2年間で2.16ポイント
上昇、ここ数年の経営健全化計画が確実に成果を上げていることがうかがえる。
 「ひと言で答えれば、業績が回復したからこそ、この決断ができた。ベス
トの選択だと確信した」と河口頭取は福岡銀行との経営統合を振り返る。
「地域になくてはならない銀行」
 こうした中、第6次中期経営計画(06年4月〜08年3月)を策定した。
「Power up plan 2008」(躍進)をスローガンに収益力の強化、取引シェアの拡大や不良債権問題の終結、CSRの推進を柱とした「攻めの経営」と、コンプライアンスの徹底やリスク管理の一層の強化、人材の育成・職場の活性化を柱とした「規律ある経営」の2本の柱を基本としている。具体的な数値目標として自己資本比率10%以上、不良債権比率3%台を掲げ企業価値の向上を図る。経営の基本方針である「地域貢献No.1銀行」・「お客様満足度No.1銀行」を標榜し「地域になくてはならない銀行」として躍進を目指す。
 一方、経営の重要課題として取り組んでいる「地域密着型金融推進計画」でも数々の成果が上がっている。中小企業再生支援協議会を積極的に活用し、取引先の昨年度1年間の再生承認先は12先に。今年1月には崇城大学と業務提携し目利き機能を強化、毎年開催している大規模商談会では1年間でM&Aが1件、ビジネス・マッチング8件が成立。中小企業金融公庫と提携した第2回熊本ファミリー銀行CLOでは10先2億1600万円の融資を実施した。経営改善支援取組み先250先のうち36先の債務者区分がランクアップしている。
環境問題への取組み鮮明に
 地域密着の姿勢、またCSRの取組みの中で柱にしているのが環境問題へ
の取組みと「小さな親切」運動への能動的関わり、そしてユニバーサルマイ
ンドの向上だ。
  04年8月に「できることから始めよう」をスローガンに「エコ宣言」を行
い、05年9月にISO14001を認証取得、近年環境への取組みを本格化している。エコ関連預金商品も充実してきた。預金残高に応じて県内の環境支援団体に寄付する「ふるさと環境応援定期」を発売、第2回は総額300億円に対し今年3月末で販売額は326億円となり、応募された環境支援団体27団体に総額900万円の寄付金を贈呈した。今年度も第3回(販売総額400億円)を実施する。
今夏には個人向けプレミアム商品「夏の涼風定期」を福岡銀行との業務提
携を記念し発売した。今年8月の熊本市の平均気温が昨年同月と同じか低かった場合年0.4%に、高かった場合年0.25%になるという気温動向で金利が決まるユニークな商品だ。顧客の地球温暖化防止への意識・関心を高める狙いがあるという。
 その他、エコプランの住宅・リフォーム、カーローン、介護エコローンも
金利優遇で販売、04年に3億1900万円だったエコ関連ローンも今年3月末には100億円を突破している。 省エネの取組みとしては、政府の「チーム・マイナス6%」に参加し、「クールビズ」「ウォームビズ」を実践、消費電力や紙の使用量削減に成果を上げている。
収益で地域ナンバー1目指す
 6月12日には福銀との経営統合へ向けた提携第1弾として相互のATMを利用して預金を引出す際の「他行利用手数料」を無料化するサービスを開始した。今後はビジネスローンや法人、個人営業の業務提携もスピーディに展開
し、来年の統合に先立ち新商品を投入する構えだ。
 「当行は業務純益ベースで高い収益力があり、地域1番を狙える可能性が十分ある。両行が共同歩調を取り、付加価値の高い提案をするなど、新規先開拓の機会を増やしたい」(河口頭取)として「熊本ファミリー銀行の看板を掲げ、これまで以上に地域に根差しながら地域の活力向上を図っていく」と地域貢献強化に全精力を傾注する覚悟だ。
企業DATA
[所在地] 〒862-8601熊本市水前寺6-29-20
[TEL] 096-385-1111
[FAX] 096-387-1906
[資本金] 342億円
[設立] 1929年1月
[事業内容] 銀行業
[年商] 1兆2,058億円
[代表者] 河口和幸
[従業員] 1121人
[URL] http://www.kf-bank.jp
[出先] 77店舗

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2006年7月1日発行分の掲載内容です。