トップ Companies くまもと経済EX 2007 「AOS」「ATS」稼働で、賃貸業務の“改革元年”に
くまもと経済EX 2007

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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「AOS」「ATS」稼働で、賃貸業務の“改革元年”に
竃セ和不動産
ITと不動産の不可分な関係
07年6月19日、東京・帝国ホテルであった全管協総会で壇上に立つ川口社長
川口 雄一郎 社長
 2007年6月19日、東京・帝国ホテルで開かれた国内約1000の不動産会社で組織する全国賃貸管理ビジネス協会の第15回定期総会。会では山本有二金融担当大臣の記念講演も催された中、壇上には協会副会長を務める川口雄一郎社長の姿があった。全管協が立ち上げた、不動産会社同士を結び付けるいわゆるBtoBのWEBサイト「賃貸管理ビジネスナビ」の将来像について報告するためだ。このサイトには社長自身のアイデアがフルに生かされているだけに、熱く語る川口社長の話に会員らは熱心に聞き入っていた。
 “インターネットと不動産ビジネスの不可分な関係”についていち早く察知、自社のビジネスモデルに取り入れた川口社長。独自の経営ノウハウをプラスし成長速度を速める竃セ和不動産にとって、もはやITは欠かすことのできない重要経営戦略ツールでもある。


川口 雄一郎 社長
かわぐち・ゆういちろう 1952(昭和27)年8月29日生まれ54歳。熊本市出身。熊本商科大学附属高校卒。(社)全国賃貸住宅経営協会(専務理事・熊本県支部長)、(財)日本賃貸住宅管理協会(副会長・保証制度部会長)、全国賃貸管理ビジネス協会(副会長・新事業新商品開発委員長)
8月から効率化図るAOSが稼働
今年8月からアパマンショップ全店でAOSによる接客がスタートする。導入に際し教育・研修にも力を入れたという。写真は06年10月にオープンした「光の森店」
 その同社が今年8月から、賃貸斡旋業務の効率化、生産性向上を目的にITを駆使した新システムを稼働させる。AOS(アパマンショップ・オペレーション・システム)がそれだ。同社も加盟し国内最大級ともいわれる不動産店舗のフランチャイズ組織「潟Aパマンショップネットワーク」(東京都)が2年前から準備を進めてきたものだ。加盟する約900店のうち200店が既に導入を終え効果を上げているが、川口社長が「業務のオペレーションが劇的に変わる」と絶賛するAOSの「効率化」とはどのようなことなのだろうか。
 例えばAさんが賃貸マンションを探しに店舗窓口を訪ねたとする。これまでは、まずAさんは差し出された「来店者カード」に希望のエリアや間取り、家賃などを記入。そのカードをもとに受付嬢は奥の棚に並んだ台帳から希望の物件を探し出し紹介する、といった流れだった。これがAOSならAさん自ら受付でパソコンに希望を入力すれば、画面には条件にマッチした、熊本だけでなく全国の物件がズラリと表示される仕組みだ。
 ちなみにアパマン加盟の国内900店がAOSを稼働させれば登録賃貸物件は約45万戸にも上るという。要するに熊本に居ながらにして札幌の賃貸物件検索を瞬時に可能にしてしまうのがAOSなのである。また物件周辺に点在するコンビニや病院、銀行などをマップで表示し、ビジュアルなサポート機能も充実させた。ネットからの物件検索も可能で、そうなればわざわざ店舗窓口に足を運ぶ必要もなくなるわけだ。
データベースを武器に
 さらにAOS最大の特徴ともいえるのがデータベース化。間取りやエリア、家賃など顧客が入力した情報は自動的に集計、蓄積され数字に基づいた顧客ニーズの分析が可能となる。正確な分析結果をベースに物件の供給にも生かせるなど、その導入効果は計り知れない。店舗スタッフの業務進捗の状況までリアルタイムに把握でき、管理職のマネジメント業務にも一役買いそうだ。明和不動産では約1万戸の管理物件を登録し07年8月中旬からアパマンショップ全7店で本格稼働させる。
“オーナー支援”のATSは12月稼働
新本社ビルには顧客満足度を高める機能を充実させた。セミナールーム(100人収容)はオーナー対象の経営セミナーなどに活用されている(写真は07年6月、賃貸住宅経営セミナー)
今年3月に完成した大型賃貸物件「ビヴォ辛島」。2階には関連のロハス・クラブ梶i川口圭介社長)が運営する女性専用フィットネスジム「ビーライン辛島」、1階にはセブンイレブンが入居し一帯の雰囲気を大きく変えた
 AOSが入居希望者向けのシステムなら、不動産オーナーに有益な新システムが07年暮れに動きだす。ATS(アパマンショップ・トータル・システム)は、送金明細や物件収支、募集状況などをリアルタイムに確認できる専用ポータルサイトの開設も予定しオーナーを支援する。AOSや管理業務の標準化を目指すAPS(アパマンショップ・プロパティマネジメント・システム、07年12月稼働)とも連動し、「スピーディーに、タイムリーに情報を提供していきたい。これこそ今の不動産ビジネスにおける顧客志向」と川口社長。
 さらに同社長の顧客志向は、クレームや反響などを含めAOSやATSで蓄積したデータの公開という姿勢に繋がっていく。同社長は「細かなデータを公開することでオーナーは物件の経営状況、いわゆる資産管理の現状がリアルに理解できる。つまり従来のように感覚的ではない、データに裏打ちされた信頼関係を築くことにつながる」と、システム導入を管理業務にもフル活用しオーナーの『なぜ?』に答えていく考えだ。
 分譲マンション「アドバンス21・タイムズスクエア辛島公園」、新本社ビル「ラ・シック辛島」、300戸の大型賃貸物件「ビヴォ辛島」の3棟からなる辛島町プロジェクトで同町一帯の様相を一変させ、常に話題提供に事欠かない明和不動産。07年は賃貸業務の“改革元年”とすべく、ITの新システム稼働で業界に新風を送り込む。
企業DATA
[所在地] 〒860-0804 熊本市辛島町4-35
[TEL] 096-322-5555
[資本金] 7,160万円
[設立] 昭和61年4月
[事業内容] 資産運用コンサルティング、不動産賃貸管理・斡旋・売買
[年商] 50億円(グループ合計、2007年5月期)
[代表者] 川口 雄一郎 社長
[従業員] 159人
[URL] http://www.meiwa-f.com/
[出先] 大江店、下通店、平成店、県庁東店、熊本大学前店、藤崎店、光の森店
[関連企業] 明和アシュランス、明和プランニング、明和エステートリース、明和ファンド、管理センター、日本管理センター、アパマンショップネットワーク、アパマンショップホームプランナー、モノモノ、ロハス・クラブ

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※この記事内容は、くまもと経済EX:2007年7月1日発行分の掲載内容です。