トップ Companies くまもと経済EX 2007 安心・安全・健康で価値ある豊かさ、 生鮮魚介類を田崎市場から食卓へ
くまもと経済EX 2007

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

■製造・農業  ■電力・運輸・建設・不動産 
■情報通信・ICT関連  ■金融・保険・卸・流通・小売  ■飲食・サービス  ■医療・医療関連・教育 
金融・保険・卸・流通・小売
安心・安全・健康で価値ある豊かさ、 生鮮魚介類を田崎市場から食卓へ
熊本魚
田崎市場の歴史と共に生きる熊本魚
井上 健二 社長
 豊饒の海で知られる有明海や東シナ海に面した熊本は、古くから豊かな天然漁獲物を中心に数多くの水産物に恵まれた土地柄にあり、新鮮でおいしい生鮮魚介類を人々は口にしてきた。
 熊本魚鰍ヘ1959年7月にそれまで小規模に運営されていた荷受8社が合同で設立。1963年に水産食品関連大手の大洋漁業梶i現在のマルハ梶jの資本参加を受け田崎市場へ移転。その後、1972年に熊本県認可の下、全国でもまれな民設・民営の形態で地方卸売市場として発足し、今日に至る。2006年4月には活魚センター、冷凍品選別場を建設するなど同社と田崎市場は共に成長を続けている。
 長寿国日本の食文化において貴重な蛋白源である魚は、煮魚、焼き魚、刺身を基本の料理方法として食卓を飾ってきた。少子高齢化や地方と中央の経済格差が拡大する中で簡便食品の普及など日本の食文化が乱れている今、健康や美容に良いとされる魚食文化への評価が再び高まってきている。


井上 健二 社長
いのうえ・けんじ 鹿児島市出身、1949(昭和24)年1月1日生まれの58歳。慶應義塾大学法学部卒。1972年大洋漁業梶i現在のマルハ梶j、貿易部で25年間、年100日以上をインド、東南アジア・南米・中東・中国などエビや各種水産物の買付・取引のため単身海外を飛び回る、その後中国の合弁会社副社長を経て本社水産直販部長、2004年6月熊本魚且ミ長に就任、現在に至る。「田崎市場を九州一活気ある台所にするぞ」と熱意を見せる。趣味はゴルフ、温泉、旅行。
Bear Fish(熊魚)で親しまれる熊本の生鮮台所
 豊富な海の幸を県民・市民の食卓へ運ぶ生鮮食品の台所として、田崎市場では毎朝早くから「せり」の声が響き渡る。天然から養殖魚、冷凍魚、塩干魚、冷凍食品まで多彩な魚介類が「せり」「相対取引」を経て熊本県下一円に運ばれていく。
 同社は田崎市場の一員として市場の活性化を目指し、特に熊本県産、地場の魚を中心に消費の啓蒙活動に力を注いでいる。旬の魚をおいしく鮮度を保持したまま冷凍加工や各種加工をすることで九州・全国へ熊本のおいしい魚を発信し続けている。
 また、2006年度より営業企画室を新たに設立した同社、若手社員5人で構成された新部門は量販店や外食店など末端との接点となり、仲買人、買参人と共に商売が発展するよう潜在的ニーズの調査、企画立案やネットワーク構築など多岐にわたる業務に挑戦している。これまで受身であった営業分野でも自由にそして積極的に進めている。その他、魚拡販のパンフレットや会社ロゴの熊魚(Bear Fish)シールなど地域に親しまれ、全国に知ってもらう熊本魚を目指した新展開を通じ、魚食文化の浸透に貢献している。
「厳選ぶり」・「厳選タイ」の独自ブランドに挑戦
 地産地消および熊本の安心・安全でおいしい水産物を全国へ向けて発信していく両視点から、同社では稚魚の捕獲、育成から給餌、出荷まで責任を持った一貫管理体制の基、同社の独自ブランドとして育てられた養殖魚の販売を開始、新たな試みとして県内・全国から現在注目を集めている。今後も刺身でもおいしく食べられる新鮮な天然魚の一回凍結品や熊本各地の地産品・各種加工品など他にない商品展開にチャレンジしていく。
人を育て、人をつなげる魚ネットワークの中核地
 同社は「人材こそ宝」をキーワードに人材教育・育成に徹底した指導と研修制度を確立しており、マルハ本社、大都市市場での研修・実践や全国あるいは全世界への出張、買い付け研究開発など社員自身がアジア・中国など自分自身の足でまわり、五感を使った現場経験を積み重ね知識の向上を図っている。自由で開放的な社内システムづくりの効果があり、多くの社員が新しい発想を求めて研修制度などを利用、自己革新に力を注いでいる。
 早朝の仕事として知られる田崎市場の業務、その利点はいうまでもなく時間の有効活用といえる。勤務開始が早く、帰宅時間も早いといった生活習慣を生かし、運動、趣味、レジャーなど仕事とプライベートのバランスを保っている。
 熊本魚は生産者と仲買人・消費者との中間に位置し、水産物を適正評価し、迅速かつ大量に流通させるという重要役割を担っており、公共性の高い仕事といえる。一方で、変化の激しい競争・流通環境に直面しており、あらゆる環境の変化に臨機応変に対応できる新しい時代をリードする人材の育成が重要と同社は考えている。ベテランと若手社員が意見を交えながら人間形成、知識・経験の伝承に力が注がれている。
安定供給を目指して常に前進
 2008年4月、親会社マルハ鰍ヘ、潟jチロとの経営統合を予定しており、水産物のグローバルな調達や商事に強みを持つマルハグループに、食品開発・製造に強みを持つニチログループの新たな力が加わる。グループ売上高1兆円を目指す両社の得意とする専門知識とネットワークをフルに活用し、同グループに属する熊本魚も新たな品揃え、新商品の開発に挑戦していく。
 健康・美容に良く栄養価の高い魚は、世界市場において買付競争が激化しており、これからは国産品と輸入品のバランスの取れたマーケティング知識が必要となっている。全国の市場が100年以上培ってきた経験や知識を更に発展させ、古くても良いものは残し磨きをかけ、悪い風習やシステムは改善し、信頼に基づく魚の安定供給を同社の役割と考え日々前進していく。
 今後も田崎市場の一員、グローバルな水産・食品企業の一員として、熊本魚は地球上の70%を占める海からの恵みを、漁業、養殖、加工、保管、物流および販売といった各シーンを通じて、熊本・全国・世界各地の安心安全で新鮮な価値ある商品を食卓に届け続けるに違いない。
企業DATA
[所在地] 〒860-0058 熊本市田崎町484番地
[TEL] 096-323-2204
[FAX] 096-211-2258
[資本金] 3000万円
[設立] 1959(昭和34)年7月
[事業内容] 水産物総合卸売業(生鮮・養殖魚介類、冷凍・塩干魚介類、冷凍食品、養殖飼料など)
[年商] 161億円(2007年3月期)
[代表者] 井上 健二 社長
[従業員] 81人(2007年3月現在)

[採用情報]
現在、登録がありません。
※この記事内容は、くまもと経済EX:2007年7月1日発行分の掲載内容です。