トップ Companies くまもと経済EX 2007 “伝統と実績”をベースにマネジメント体制を強化し“サービスの高品質化”を追求
くまもと経済EX 2007

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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飲食・サービス
“伝統と実績”をベースにマネジメント体制を強化し“サービスの高品質化”を追求
大森産業(株)
来年創業60周年迎える老舗企業
 建物総合管理業の大森産業鰍ヘ1948(昭和23)年に創業、来年創業60周年を迎える。逓信省への物資納入から始まった業務は、昭和28年の熊本大水害後から形を変え、本格的にビルメンテナンス事業へ進出。九州内の業界各社を見渡しても、一、二の歴史を有する老舗企業だ。
 ビルメンテナンス事業は、社会・経済環境の環境の変化に伴い、業務内容が多様化している。近年では高度情報化社会の進展により「ビル管理サービス」へと概念が変化してきた。環境衛生の維持管理、保安警備サービス、建築物の総合維持管理など、ニーズの多様化が進み、より高い品質・技術・サービス、さらに環境に対する配慮までが求められるようになってきた。
業界初のISO、OHSAS同時取得
 同社では2004年に、全国の業界でも初めて全業務・全事業所でISO19001、同14001、労働安全衛生管理システムOHSAS18001の認証を同時取得、今年初めての更新検査が終了した。現在2代目として同社の指揮を採る大森敏雄社長は「事業環境が大きく変化している中、実際に認証に則した業務運営を行ってきましたが、社員のコンプライアンス意識も確実に高まり、業務品質も向上してきているようです」と手応えを感じている。
 顧客ニーズに対応し、高品質業務を維持するためにマネジメント強化を推進する同社は、05年に県内で唯一となる「平成17年度IT活用型経営革新モデル事業」の採択を受けた。採択内容は「EA(エンタープライズ・アーキテクチャー)手法による総合ビルメンテナンス業における『標準化』を実現するための管理システムの開発」。EAは業務手順や情報システムの標準化、組織の最適化を進め、効率よい組織運営を図るための方法論。導入により別個に運用されていた、複数の業務システムが標準化され、導入・運用コストの削減、重複した業務内容の統合により組織の運営コストの削減が可能になると言われている。
 さらに同社では、会社全体の基幹業務の総合管理システムを構築するなど、社内のIT化を積極的に推進。経済産業省が、中小企業のIT化推進を目的に事業化している「IT経営100選」の06年度優秀賞も受賞するなど、社内体制の整備に高い評価を受けている。
 社内マネジメントシステムの確立に向け先頭に立つ大森社長は「これらの体制を構築することで、より高い顧客満足度の追及が可能になると考えています」と多様化するニーズへの対応に自信をのぞかせる
医療分野でも高い実績
 これらのシステムは、通常の建物総合管理の分野だけでなく、同社が得意とする医療関係施設の業務でも真価が発揮されている。(財)医療関連サービス振興会の医療関連サービスマーク(院内清掃サービス)を取得している同社は、これまで県内外の総合病院で多くの実績を積み重ねてきた。先述の社内マネジメントシステムをベースに現場ではベストなサービス提供のためQC活動にも取り組み、日々業務の改善を続けている。
 「院内清掃は、院内感染、針刺し事故及びそれに伴う感染、薬品による作業事故、感染性廃棄物による感染などの危険性が伴うため、高度な専門性と管理技術が必要とされる業務です」との認識を持つ大森社長は「アメニティ・ホスピタリティ・ノーマライゼーションの実現をベースに、高い技術力と豊富なノウハウの蓄積を生かし、病院様の運営理念に沿った高品質のサービスを提供したい」と意欲を見せる。
支店開設、事業多角化にも積極的な姿勢
今年3月に完成した「オーファス水前寺
大森 敏雄 社長
 規制緩和の促進、大手企業の地方への積極的な進出など、業界を取り巻く環境は厳しさを増している。この難局に対し、同社では昨年2月福岡市博多区に、佐賀支店を統合した福岡支店を新設した。同支店開設により、鹿児島営業所、熊本本社と連携し全九州を視野に入れた展開も可能になった。
 一方で大森社長は事業多角化の推進にも意欲的だ。今年3月には、子会社である潟Iメックス(同社長)が建設・管理・運営するマンション「オーファス水前寺」が完成。今後もマンション建設など自己資産の有効活用に積極的に取り組む姿勢を見せる。
 さらに「将来的に収益の柱となる可能性のある事業をじっくりと育てていきたい」(大森社長)との思いから、コンビニエンスストア事業の拡大も模索している。現在4店を運営している同社だが、今年からは店舗開設のペースを若干加速させる予定だ。
 「関連会社とも一体となりグループ総力を結集したい」と変化する事業環境への対応を示す大森社長は「この荒波を乗り切るためにも社内体制強化・業務品質の向上を進め、変化への対応力を高めたい。今年は体制構築の総仕上げにかかります」と固い決意で経営の舵取りを行う。


大森 敏雄 社長
おおもり・としお 熊本市田崎町出身、1960(昭和35)年7月6日生まれ、47歳、真和高校−熊本商科大学商学部卒。83年オリエンタル警備保障取締役、84年大森産業取締役、87年日本ビルサービス鞄社、89年大森産業入社、91年オメックス取締役、92年大森産業(水俣)取締役、97年代表取締役専務を経て02年7月社長に就任
企業DATA
[所在地] 〒862-0920 熊本市月出1-7-13
[TEL] 096-384-0251
[FAX] 096-382-7752
[資本金] 3,000万円
[設立] 1955(昭和30)年12月
[事業内容] 建物総合管理業
[年商] 15億6,900万円
[代表者] 大森 敏雄 社長
[従業員] 415人
[URL] http://www.ohmori-fm.co.jp
[出先] 福岡支店、鹿児島営業所 事業所/八代、芦北、水俣、阿蘇、玉名、菊陽、嘉島
[関連企業] 潟Iメックス、大森産業梶i水俣市)ほか2社

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※この記事内容は、くまもと経済EX:2007年7月1日発行分の掲載内容です。