トップ Companies くまもと経済EX 2007 「地域一番店」の好循環システムを構築し 県内屈指の高収益企業へ
くまもと経済EX 2007

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

■製造・農業  ■電力・運輸・建設・不動産 
■情報通信・ICT関連  ■金融・保険・卸・流通・小売  ■飲食・サービス  ■医療・医療関連・教育 
飲食・サービス
常に変革にチャレンジし、自由で創造性豊かなリーディングカンパニーを目指す
「地域一番店」の好循環システムを構築し 県内屈指の高収益企業へ
椛蛹
売上高727億円、経常利益21億円で過去最高の好決算を記録
昨年3月にオープンした浜線店(熊本市)
 椛蛹の2007年3月期決算は売上高で前年比4%増の727億円、経常利益で同38%増の21億円と過去最高の好決算を記録した。増収増益の要因としては、昨年3月にオープンした浜線店の売上げが上げられる。同店の立地条件は熊本市内で最後の“勝てる立地”といわれる。大手の進出等によりオーバーストア状態の中、し烈なシェア争いが繰り広げられている業界で“勝てる立地”へのビルド&スクラップ戦略にこだわってきた。大半の店舗で地域一番店の座を獲得してきたことが高収益企業としての好循環システムを支えている。
 同社の15年前、92年の売上高は235億円、10年前の97年が462億円、5年前の02年が583億円と着実に業績を伸ばし続け、今年727億円と15年前の実に3倍強の売上げ規模に成長、収益でも県内トップクラスの高収益企業としての座を確立している。
 そうした企業体力を背景に「顧客還元を実践できる店」としての評判が集客に繋がり、さらに繁盛店(地域1番店)としての好循環システムを構築しているわけだ。
高収益企業への戦略は「勝てる立地」へのビルド&スクラップ
 同社の高収益体質の背景には、徹底したエリアマーケティングとコストダウン戦略が貫かれている。「勝てる立地」と「効率的な設備投資」である。その勝てる立地が八代、天草、人吉と、過当競争状態が続いている熊本都市圏から南進策をこれまで執ってきた。一方では「地域1番店になることが最大の命題。オンリーワンになれなければ撤退の覚悟も時には必要」と以前には菊陽店と田崎店を売却、その代わりに人吉などへの南進策を進めた。いわゆる「勝てる立地」へのビルド&スクラップ戦略を徹底することにより高収益体質をキープし続けている。
無担保私募債で資金調達高い企業信用基盤
 同社の資金調達方法も特筆すべきものがある。県内企業や全国の遊技業界に先駆け、私募債やシンジケートローンなどを利用した資金調達を行ってきた。新規店出店時など、これまで5回に亘り私募債を発行。第1回目の発行から数えると調達額19億6100万円。いづれも主要取引行のみずほ銀行、三井住友銀行が引受先となる銀行保証付無担保私募債。無担保私募債は、通常の担保付き私募債に比べ、自己資本比率や利益率など厳しい審査基準が設定されている。同社はその基準値をクリアする財務内容であることが証明されたわけで、その企業信用力は極めて高い水準に達しているといえよう。
 資金需要旺盛な業界の中で、借入金比率も6%以下という超健全経営。これも年々減少しており、数年のうちには無借金経営になる見込みだ。
厳しい業界淘汰の時代「勝ち組の中の勝ち組へ」
山口 徳洋 社長
 「しかし、今後業界環境はさらに厳しさをます。パチスロの人気機種の撤去など遊技機のスペックの低下、レジャー消費支出の減少などでパチンコ人口が下降線をたどっている。オーバストアの状況でかなりの店舗が淘汰されるのでは」(山口社長)とのピーク時に全国で約18000店だったのが06年には14000店に、この年末には12000店を割るのではと懸念されている。
 「勝ち組の中の勝ち組へ」、地域1番店としての座をキープし続ける企業としての収益体質が“生き残り”の鍵となる。強い企業を支えるのは人材。15年前、山口社長は「業界変革」を唱え、企業改革に着手した。合言葉は「パチンコ屋からサービス業へ」。ホテルや百貨店にもひけをとらない「サービス」を提供する。「質の高いサービス」こそ、お客さまに選ばれるための条件と考えている。そのサービスを体現する人材こそが、大劇の財産であり武器ともいえる。まさに企業は人なり。


山口 徳洋 社長
やまぐち・とくひろ 熊本市坪井出身。1950(昭和25)年1月30日生まれの57歳。血液型O型。立教大学法学部卒。85(昭和60)年社長就任。(社)日遊協相談役。趣味は旅行、読書、ワイン。座右の銘は「懸命不動」(揺るぎない信念を持って事にあたれば何事も成就するという意)
大卒採用から14年、先進的な人事評価システムが企業成長の原動力に
今期は大卒8人を含む計151人を採用した
 ガラス張りの経営を実現するために、CR機、プリペイドカードを導入し、翌93年からは業界に先駆け大卒の新規採用を開始した。
 その後、全店共通「接客マニュアル」、ホールスタッフ用教育ビデオを作成、能力に即応した人事評価制度、給与システムを導入、昇進試験制度も設けた。こうした先進的な組織システムを積極的に取り入れてきた結果が、今日の高収益企業としての基盤を支えている。
 大卒採用から14年、これまでの店舗展開と企業業績拡大も優秀な人材の獲得とその成長によって実現してきたものだ。前期の定期採用では大卒を含む新卒者51人を採用した。今期も大卒15人を含む50人規模の採用を予定してしている。
 「パチンコ屋からサービス業へ」、そして、さらにワンランク上の業界のリーディングカンパニーを目指し変革の時代に挑戦し続けている。
企業DATA
[所在地] 〒860-0808 熊本市手取本町4‐1
[TEL] 096-354-0611
[FAX] 096-352-4476
[資本金] 1000万円
[設立] 1983(昭和58)年
[事業内容] 遊技場経営
[年商] 727億円
[代表者] 山口 徳洋 社長
[従業員] 404人
[URL] http://taigeki.com

[採用情報]
●募集要項:店舗運営スタッフ (ホール、カウンタースタッフ) 50人 
●応募資格:大卒見込者、短大・専門卒者
●問い合わせ先:096-354‐0611  http://www.taigeki.co.jp/
●担当者:総務部  杉本
※この記事内容は、くまもと経済EX:2007年7月1日発行分の掲載内容です。