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くまもと経済EX 2007

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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医療・医療関連・教育
患者さんに元気を与えられる病院作りを
(医)社団 英山会 平山泌尿器科医院 ひらやまクリニック
地域に根ざした医療をモットーに
平山泌尿器科医院
ひらやまクリニック
 1994年の開業以来「地域に根ざした医療」をモットーに掲げ、患者中心の医療活動とベテラン医師による確かな診療実績で泌尿器科のスペシャリストとして名高い(医)英山会。平山泌尿器科の外来患者は1日平均約100人、1か月では延べ2500人にのぼり、診療圏外である天草や人吉、遠くは中津や大牟田からも口コミで患者数を増やしている。これから泌尿器科が取り組んでいくべき課題は1:前立腺癌の早期発見治療、2:尿路結石に代表される生活習慣病、3:若年者の性感染症予防、4:高齢者の医療対策だと平山理事長は考えている。
ライフスタイルに合った専門性の高い治療を
 「一口に泌尿器科と言っても、診療範囲は多岐にわたります。初診の患者さんとはじっくり話をして、より症状やライフスタイルに合った、専門性の高い医療機関で治療が受けられるように気を配ります」と話す平山英雄理事長。
 高齢者医療では現在、中高年者の間で排尿障害・尿失禁の増加が問題になっている。過活動膀胱(OAB)は様々な要因で膀胱が過敏な状態になる病気。急に起こる抑えきれないほどの強い尿意(尿意切迫感、週1回以上)、トイレに行く回数が増える(頻尿、1日8回以上)、トイレまで間に合わず漏らしてしまう(切迫性尿失禁)等の症状がみられる。またこれらの症状のほかに、尿が出にくい場合は、前立腺肥大症などの病気が合併している場合がある。OABの患者さんは40歳以上の12.4%(約810万人)と推定されているが、実際に治療を受けていると思われる患者さんは70〜80万人ほどで、過活動膀胱が病気であるということを知らない人が多くいる。この疾患はQOL(Quality Of Life)が著しく損なわれるため、問題は深刻だ。「受診率は年齢とともに増加するが、困っていない、恥ずかしい、病気のせいであることを知らずに年をとれば当然と受診しない人もいて、受診率は22.7%と少ない。この病気は、患者一人一人に合わせた原因を究明し治療を行うことでコントロールできる。一人で悩まずに受診してほしい」と平山理事長。過活動膀胱の症状である頻尿や尿もれは、デリケートな問題だけに患者さんは一人で悩みがち。「皆さんが恥ずかしがらずに病院に受診すれば患者さんの不安が解消できます」と啓蒙活動にも意欲を見せる。
積極的に性教育についての啓蒙活動
熊本県健康福祉部健康危機管理課の「熊本県感染症発生動向調査事業報告書」より。熊本県内での性器クラミジア感染症患者数グラフ。20代に一番多く、特に女性は15〜19歳に142人(24.9%)の患者が見られた。
 性感染症については新聞やテレビでもよく報道されているが、今10〜20代の若者を中心に、STD(性感染症)が急増している。性器クラミジア感染症をはじめ、淋菌感染症、梅毒、性器ヘルペスウィルス感染など、その種類はさまざま。特に若者の間で増えているのは“クラミジア・トラコマティス”という微生物が原因で性行為によって感染する「クラミジア感染症」で、全国で100万人以上の感染者がいると推定されている。非常に症状が出にくいのが特徴で、「女性の場合特に無症状のことが多く、感染の有無を確認した方が良い場合もあります。治療しないで放置しておくと男性の場合、精巣上体炎や前立腺炎や不妊の原因に、女性の場合は不妊症や母子感染の危険性があります。医師の指示に従って治療のステップをきちんと踏めば治療できます」と平山理事長。現在、県内の高校を中心に「性感染症について」の講演をするなど積極的に性教育を行っている。「今後、性感染症の予防取り組みとして、10代の若い人を中心とした、特に中高生に対する性教育を強化・情報メディアへの啓発・性風俗関係者へのアプローチ・行政主導での10〜20代の若者に対し気軽に医療相談できるシステム作り、またパートナーの把握と同時に必ず一緒に治療を行うといった具体的な解決法を勧めていく必要があると考えています。自分自身を大切にし、行動を起こす際にこれでいいのかしっかり考え、自分を守っていってほしい」というメッセージを一貫して訴え続けている。
すべての努力は「患者様のために」
平山 英雄 理事長
 2つのクリニックの経営者として、「スタッフが仕事をしやすい、風通しのよい職場環境を作ることが経営者としての責任」と定期的に専門の講師を招いて研修を実施しているほか、学会に出席して専門知識の研鑽に励むなど、医療サービスの質を向上させるために全スタッフが一丸となって日々努力を重ねている。「勉強が必要なのは医師も同じこと。開業医は、どうしても新しい知識に触れる機会が少なくなりがちなので、自ら積極的に学ぶ姿勢が必要だ。すべての努力は『患者様のために』という大前提にもとづいています」と語る。
 診療圏内での確かな病―診・診―診連携を取り、地域ぐるみで患者様のサポートをすることが医療従事者の使命。患者一人一人の選択肢を増やし、患者の満足度を高め、「ここを受診してよかった」と思われる病院であり続けるために。「患者さんに元気を与えられる病院つくり」を目標に、同会は今後よりも一層のレベルアップに向け邁進していく。


平山 英雄 理事長
ひらやま・ひでお 医学博士、1951年玉名市生まれの56歳。県立熊本高校から熊本大学医学部に進学、76年卒業、同大学病院泌尿器科入局し、79年7月から81年6月まで国立熊本病院泌尿器科に勤務。再び熊本大学病院泌尿器科に移り、92年3月まで勤務する。同年開業、95年3月に現所在地に移転し、現在に至る。趣味は読書。座右の銘は「忍耐」と「寛容」。
企業DATA
[所在地] <平山泌尿器科医院>〒861-8064 熊本市八景水谷1丁目24−32
[TEL] 096-345-8588
[事業内容] 泌尿器科・性病科
[代表者] 平山 英雄 理事長

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※この記事内容は、くまもと経済EX:2007年7月1日発行分の掲載内容です。