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くまもと経済EX 2008

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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製造・農業
100億円かけ新工場を建設、 エンジン部品の一貫生産へ
アイシン九州
今年9月に新工場を稼動へ
 自動車部品製造及び電器・電子生産装置組立のアイシン九州梶i下益城郡城南町、加藤肇社長)は、1993年にトヨタ九州の一次サプライヤーとして熊本に進出。アイシン精機鰍フ子会社としてドアフレームやパワーシートなど自動車ボディー部品を主に生産し、05年からは一部エンジンの組み立ても始めるなど、九州地区の供給拠点となっている。
 現在、同社では、トヨタ九州の増産に合わせ、既存工場の北側に約100億円をかけて自動車エンジン部品工場を建設。今年9月の稼動開始を予定し、11月にはフル稼働を見込んでいる。
 新工場は、一部高屋根の鉄骨造り平屋建てで、建築面積は約1万4000u。アイシン軽金属(富山県射水町)とアイシン精機西尾工場(愛知県西尾市)が行っているトヨタ九州向けエンジン部品の生産を集約し、エンジン用のアルミダイキャスト製品(タイミングチェーンカバー、オイルパン、シリンダーヘッドカバー)の鋳造から加工、組み立てまでの一貫生産体制を整える。運営会社は、去年8月にアイシン九州の全額出資子会社としてアイシン九州キャスティング梶i木村俊幸社長)を設立。同社の従業員は現在、アイシン九州鰍ナエンジン部品生産に従事する50人に加え、新たに150人の採用を予定。2010年までに200人体制を整え、売上高は78億円を見込んでいる。
トヨタ、ダイハツ、マツダ向けに製品を供給 半導体・液晶装置も増産体制へ
 トヨタ自動車九州が九州を国内「第2の生産拠点」と位置づけ、生産台数を従来の2倍にあたる43万台に増やしていることや、アイシングループの国内生産拠点の再編などを背景にライン増強に取り組んできたアイシン九州。現在、既存工場では、フル稼働が続いており、トヨタ自動車九州で生産するレクサスのパワーシートやドアフレームなどを中心にボディー用の約32アイテムを生産。05年には、既存工場を延長する形で、約34億円をかけて部品工場を増設。フロア面積ベースで約9200uを増床し、約1200トンの処理能力を持つ大型プレスを導入した。現在、トヨタ自動車九州向けの製品をはじめ、ダイハツ九州梶i大分県中津市)や、マツダ鰍フ広島県の本社工場と山口県の防府工場に製品を供給している。また半導体・液晶装置の受注も好調で、東京エレクトロン九州梶i合志市福原、三浦昭社長)向けの製品供給についても、増産体制を整えている。
地場企業に技術指導、 現地調達の拡大を支援
 また自動車関連産業における「地場企業の育成」という点においても、重要な役割を果たしている。同社では、昨年6月からの1年間、県工業連合会などを通じて、精密機械加工の潟}トリクスファクトリー(菊池郡大津町外木塲朋晃社長)、金属プレス加工の安高金属工業梶i荒尾市、吉田哲夫社長)、ゴム製品製造の、つちやゴム梶i上益城郡嘉島町、倉田雄平社長)、電子部品製造の潟Vマヅテック(宇城市松橋町、島津研三社長)の計4社に技術指導を行ってきた。さらに2年目となる今年6月からは、指導先を10社(福岡の企業を含む)に拡大し、地場企業を育成。また同社においても、現地調達率を進めてきた。加藤社長は「現地調達が進むことは発注側としても、リードタイムのに短縮や物流コストの軽減などメリットは大きい。今、九州に自動車産業の大きな波が来ている。2010年にもなれば、九州の完成車メーカーのフル生産体制が整う。今がチャンスの時」と語り、現地調達の拡大に向けた支援や地場企業の育成などに積極的に取り組んでいる。
世界に通用する メイドイン九州の品質水準へ
 自動車部品や半導体・液晶装置の増産により、熊本進出以来、増収を続けているアイシン九州。08年3月期決算の売上高は、前年比5%増の342億8千万円、経常利益は同5.7%の14億1千万円の増収増益を達成した。さらに今年9月には、アイシン九州キャスティングが操業する。「当社設立から15年間、培ってきた人材や生産機能、地域連携などのリソース(経営資源)を積極的に活用し、“メイドイン九州”の製品を世界に通用する最高水準の品質にまでもっていきたい」と語る加藤社長。今後は、自動車関連部品をはじめ、自動車エンジン部品の受注拡大や、半導体・液晶装置などの生産拡大を進め、2010年度までにアイシン九州キャスティングと合わせ、売上高450億円を目指している。「毎年約15億円の設備投資計画もある。愛知はスペースや労働力が不足しており、九州との生産分担が必要となる。親会社で生産していうるドア部品などの移管についても話し合いを進めており、売上高450億円は達成できる」と自信を見せる加藤社長。“メイドイン九州”をリードする生産拠点として、アイシン九州の挑戦は続いている。

加藤 肇 社長
かとう はじめ/1945(昭和20)年8月14日生まれ、62歳。愛知県高浜市出身。近畿大学卒。68年アイシン精機鞄社。生産部門、工場長などを経て98年より現職。趣味はゴルフと読書(歴史小説)。熊本県工業連合会の輸送機器グループ代表世話人、熊本県自動車取引拡大推進協議会の副会長なども務める。
企業DATA
[所在地] 〒861-4214
[TEL] 0964-28-8181
[FAX] 0964-28-8155
[資本金] 14億9000万円
[設立] 1993(平成5)年4月
[事業内容] 自動車部品の製造、電器・電子装置および商品組立、設備・型設計製作
[年商] 342億8000万円(08年3月期)
[代表者] 加藤 肇
[従業員] 915人(07年9月現在)
[URL] http://www.aisin-kyushu.co.jp/

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2008年7月1日発行分の掲載内容です。