トップ Companies くまもと経済EX 2006 生産者と消費者をつなぐ“使命”を持つ県内最大の青果卸売市場
くまもと経済EX 2006

熊本の明日を拓く未来創造企業 100の戦略

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金融・保険・卸・流通・小売
生産者と消費者をつなぐ“使命”を持つ県内最大の青果卸売市場
熊本大同青果
1日に約450トンの青果物が入荷
 熊本大同青果鰍ヘ、県内最大の取扱高を誇る青果卸売市場だ。1961(昭和36)年に4つの野菜問屋が合併し誕生した同社は、同39年に現在の田崎市場の開設事業者の一社として移転。以後、熊本の“食”を支える企業として成長を続けている。
 同社の月田社長は「当社の役割は生産者と消費者の橋渡し役です。野菜や果物を生産する農家には安定経営の面から支援し、安定価格を維持しながら、『安心・安全』で美味しい農産物を消費者に届けること」という経営方針を実践し、生産者・小売店・消費者をつなぐ重要な役割を担ってきた。
 現在、同社が一日に扱う青果物は約450トン。これら青果物の価格と供給量の安定化を図るため、多くの仲卸業者に競わせる「セリ」、取引条件を事前に決める「相対取引」、「契約取引」などの方法で売買する。
 また全国の青果物を集荷するため、営業の社員が全国の産地を飛び回り安定供給のための努力を続けている。月田社長は「市場は物流基地」という位置付けで、物流システムの改善も進め、生産者の努力を減らすためトマト、ナス、のパッケージをし、生協等に納品する物流センターなども開設している。
オリジナルブランド「お野菜百科」を開発
 「“食”は“命”に直結する重要な問題」ととらえる月田社長は4年前からオリジナル野菜「お野菜百科」の販売を始めた。現状では「県外からも引き合いがきており、少しずつではありますが、消費者の皆さんから欲しがって頂ける商品になってきたようです」と振り返る。
 「お野菜百科」は同社と「食と農を考える熊本の会」が統一ブランドとし
て販売。熊本県が策定した慣行レベルを基準として、さらに厳しく化学合成材の種類、量、使用方法を制限して育成した「特別栽培農産物」だ。しかし「減農薬という表示ができずに、特別栽培農産物という表示になっています。この部分が消費者の皆さんには少し分かりづらいのかもしれません」と課題を挙げる月田社長は、玉名市出身の力士・「普天王」をイメージキャラクターに採用したほか「お野菜百科」を使用した試食会・料理教室の開催、産地視察研修、家庭菜園教室、収穫体験ツアーなどを企画。昨年は“食育”をテーマに、家族で参加する「産地視察研修及び交流会」、10アールの農場を活用した「お野菜百科の家庭菜園教室」、「お野菜百科」の売り場で参加者を募った「パプリカ収穫体験ツアー」、一般消費者を交え約150人が参加した「夏野菜試食会」など数々の具体的な活動を行った。
5年後には売上高50億円目指す
 これら知名度向上に向け努力を続ける「お野菜百科」は、2011年売上高50億円を目指している。
 「体験農場などに参加していただくと、実際に作物を作る苦労、特に消費者の関心の高い農薬の問題などがわかってくると思います。厳しい規制がかかっている農薬の現状と、安定供給維持のため最低限でも農薬を使用しないと確保できない収穫量。また、できるだけ農薬の使用頻度を抑え、害虫や病気などから作物を守るための努力・工夫を重ねる生産者の姿に触れることにより、農業の置かれた現状を少しでも理解していただけるのではないでしょうか」と訴える。
「地域貢献」を目的に地元野菜の復元にも着手
 同社では「地域社会への貢献」の観点から、地元野菜の掘り起こしにも着手。「肥後青太キュウリ」、「芋の芽」、「赤ダイコン」、「水前寺菜」などの復活栽培に成功した。一方で市場のイメージ改革と環境向上を目的に、
セリ場の全面禁煙、電動フォークリフトの導入など積極的に各種施策を実施する。
 社内において「全従業員の物心両面の幸福を追及する」という理念を掲げる月田社長は、「会社は良い意味での“ムラ社会”であってほしい。社員全員の協力、助け合いがあり、意識のつながった職場づくりを目指したい」と社員の結束を強め、組織力の強化を図り、新たなビジネスチャンスに挑戦を続ける。
企業DATA
[所在地] 〒860−0058熊本市田崎町484熊本地方卸売市場内
[TEL] 096(323)2500
[FAX] 096(323)2503
[資本金] 3,000万円
[設立] 1961年3月
[事業内容] 青果物卸売業(市場)
[年商] 228億円(06年3月期)
[代表者] 月田求仁敬
[従業員] 216人(グループ全体)
[関連企業] 旧F果物流センター 椛蜩ッリース 熊本大同冷蔵

[採用情報]
●問い合わせ先:096(323)2078
●担当者:嶋田、河添
※この記事内容は、くまもと経済EX:2006年7月1日発行分の掲載内容です。