トップ Companies くまもと経済EX 2008 たまごづくりに込めた“地域づくり”と“人づくり”
くまもと経済EX 2008

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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製造・農業
たまごづくりに込めた“地域づくり”と“人づくり”
農業生産法人泣Rッコフアーム
おいしい「朝取りたまご」安心安全に
 同社の直売所の陳列棚に所狭しと並べられた「朝どりたまご」のケース。卵は、盛り上がった黄身と白身が際立ち、その鮮度と旨みを物語る。また、形や大きさで振り分け、箱で“キロ売り”する販売方法は特徴的だが、暑い季節には通常の段ボール製の箱から発泡スチロールのものに“衣替え”する。卵の入れ物を保冷性の高いものにすることで、少しでも鮮度を保ち安全安心でおいしい卵を顧客に提供したいという同社の取り組みの一つだ。当然、徹底した衛生・品質検査や国際規格の品質管理により、成分バランスに配慮したエサと天然ミネラル豊富な阿蘇の地下水で育まれた「紅うどり」が産んだ新鮮な「朝どりたまご」を提供。遠方から来園し「近所の人にも」と車一杯に積んで帰る客も多いが、それらを可能にしているのも同社のそうした努力や工夫のたまものだ。


松岡義博社長
まつおか・よしひろ/1949年1月30日生まれ、59歳。菊池市の農家に4人兄弟の長男として生まれ、中学校卒業と同時に農業の専門学校(熊本県経営伝習農場)に1年間修学し、農業後継者としての道を歩み始めたが、中山間地での農業の難しさに触れ離農し、横浜へ上京する。11種類の職を転職した後、田舎の自然の素晴らしさを改めて実感し、20才の時「過疎こそ宝」を合言葉に故郷に帰り現在に至る。
 06年に高齢者雇用開発コンテストで優秀賞、県農業コンクール大会でグランプリとなる個別経営部門賞を受賞、その後の全国大会でもグランプリを受賞。第1回再チャレンジ支援功労者表彰を受賞している。
全国区で注目集める「コッコのバナナ園」
既存の3kg朝取りたまご
夏季7〜9月は発泡スチロール箱にて対応している
 コッコファームと言えば「朝どりたまご」が有名で、多くのファンに支持されているが、今同社で話題性を集めているのは園内で一際目を引く「バナナ園」の存在だ。「バナナ園」に足を踏み入れるとそこは亜熱帯そのもの。青々と茂る本の枝には、黄色いバナナがたわわに実る。
 この全国的にも珍しい熊本のバナナ園は注目度も高く、3年前には愛知万博のパビリオン「熱帯バナナ村」からオファーを受け出展。今年は、女優の吉永小百合さんらが出演する映画「まぼろしの邪馬台国」の製作サイドから依頼があり、50本の苗木をロケ地の島原へ輸送した。コッコのバナナは菊池を飛び出し、全国で活躍している。
 バナナ園では、1本1本にオーナー制をとりワンシーズンの成長を見守り収穫体験できるのもユニークな取り組みなのだが、“たまご屋さん”のコッコファームがバナナ栽培に取り組むのは、何も話題づくりのためだけではない。バナナの成長に重要なカルシウムは、卵の殻で補い、さらに自社生産の鶏ふんがバナナ園の微生物増殖に役立つ。本業である養鶏業を生かした循環型農業の一つの取り組みが「バナナ園」という形になっている。
地域と共に“たまご屋さん”のエコ活動
コッコファームのバナナカが「まぼろしの邪馬台国」島原ロケに登場。
 さらに、最近では環境・エコに対しても積極的に考え、取り組む姿勢を見せる。背伸びしすぎるのではなく「環境保護が叫ばれる中、農業を主体とする当社に何かできるか」という観点から試行錯誤の中で“行動”を始めた。
 6月から、家庭で出る廃食油を回収しバイオディーゼル燃料(BDF)化し、自社で利用する取り組みを開始。同社敷地内の園芸コーナーや、年間多くの来場者が訪れるふれあい館の人目に、エコ活動への啓発を促す看板やポスターを設置するとともに、毎週月、水、金曜日に一般家庭から持ち寄られる廃油を回収。社外でBDF化したものを、自社の農機具や運搬車両などで利用する予定。廃油回収時にはエコカードを発行し、回収状況の把握と、エコヘの関心を高めてもらえるよう工夫している。
 また、5月には菊池郡大津町の環境活動に取り組む団体と共同で食用油用のヒマワリを作付けした。
 8月頃に収穫を予定しており、作った食用油は自社で加工商品の製造時などに利用する考えだ。「地域と共に出来ることを一歩ずつ」豊かな恵みを与えてくれる自然への恩返しがスタートした。
食用油用のヒマワリの作付。地域と共にエコヘの取り組みを始めている。
作付けした食用油用のヒマワリは8月頃に収穫を予定している。
2010年完成に向け動き出した「マルチメディア(仮称)」構想
「マルチメディアセンター(仮称)」建設や、産直を通じて都市と農村の交流を図る施設の立ち上げなど、地域との共生による街づくり構想を描く
 3年後には舵取り役を次の世代へ受け渡すことを表明している松岡社長。あらゆる人材が集う「マルチメディアセンター」の構想や、通販部門の確立のための「バーチャルふれあい館」の立ち上げなどまだまだチャレンジは続くが、最も重きを置きたいのは“人づくり”と話す。「お客さまから見て、自分に何か必要とされているかを感じ取れること。そのためにも、自社の魅力や特徴を誰もが話をでき、その中で自分のセクションで出来ることを修得して欲しい」とする。社員一人一人が主役となることで、さらに魅力あるコッコファームを全社一丸で築き上げていく。
企業DATA
[所在地] 〒861-1302 菊池市下河原2818
[TEL] 0968-24-0007
[FAX] 0968-24-5056
[資本金] 1000万円
[設立] 1995年10月
[事業内容] 養鶏及び農産物生産販売、食品加工販売、人材育成事業(実農学園)
[年商] 24億5700万円(売上高)
[代表者] 松岡義博社長
[従業員] 119人
[URL] http://www.cocco-farm.co.jp/

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2008年7月1日発行分の掲載内容です。