トップ Companies くまもと経済EX 2008 熊本、久留米両市に支店開設ヘ エリア戦略に大きな一歩
くまもと経済EX 2008

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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電力・運輸・建設・不動産
熊本、久留米両市に支店開設ヘ エリア戦略に大きな一歩
潟Gスケーホーム
独自の営業戦略で強い企業体質に
山鹿市鍋田の潟Gスケーホーム本社。2年前、社員の増加に伴い2階建てに増築した。同社は同市郊外の静かな環境の中にある
 瀬口力社長が熊大大学院在学中に家業である住宅建築業を引き継いだのが1999(平成11)年。09年には1O年の節目を迎えるが、「単に拡大路線に走るのではなく、常に30年後の将来を見据え着実な経営手法を選択してきた。少しもどかしさもあるが、多少の障害でも揺らぐことのない、強い会社に育ったと思う」と、瀬目社長はこの10年間を振り返る。この間、8期連続の増収増益を達成するなど着実な成長を遂げてきた同社だが、社長が言う強い会社への軌跡はエスケーホーム独自の営業戦略を実践してきた足取りそのものでもある。
 エリア戦略は代表的な例だ。これは人目5万人未満の小規模商圏においてシェアナンバー3に入る戦法で、強いポジションを確保すれば他社を寄せ付けにくくするという判断に基づいたもの。実際に同社では着工棟数が地元の山鹿・植木地区では9年連続1位、玉名・荒尾地区で3位、大牟田地区でも2位を確保。ナンバー3に入るまでは次のエリアに動かないといった手法を徹底させ、これまで県北地区で強固な営業基盤を築いてきた。また有利子負債を抱えない、いわゆる無借金経営を実践するほか、ユニークかつ同社のローコストオペレーションを後押ししているのが、住宅展示場を持たない営業スタイルだ。「建設費用や運営に伴う人的コストの問題はもとより、取り壊しの際に発生する環境負荷も相当なもの」と瀬口社長。そこで実際にエスケーホームが建てた家を見てもらおうと取り入れている手法が見学会方式。
 同社が建築した実際の施工物件を家主から週末だけ借り受け、見学会告知のチラシで集客する方法で、同社では週末になると営業エリア内の各所で見学会を開いている。実際に人が住む住宅だけに来場者にも説得力があり、反応も上々だという。瀬口社長は「今は上質なモノが低価格で求められる時代。そうしたニーズに応えるためにも不要なコストは徹底して抑える必要がある」と、展示場を持だない営業が顧客へのサービス還元につながることも強調する。このほか、追加料金が不要な「パッケージ価格」といった坪単価の概念が存在しない価格表示など顧客の信用を得てきた、同社独自の営業戦略は数知れない。

瀬口力社長
せぐち・ちから 山鹿市鍋田出身、1973(昭和48)年12月14日生まれの34歳。鹿本高校―熊本大学大学院法学研究科修了。同院在学中の1999(平成11)年瀬口工務店に入社し、翌年代表取締役社長に就任。座右の銘は「向上心」(サミュエル スマイルズの作品より)、趣味はアイデアの素でもある読書(経営に関する本を1日1冊読む)、映画鑑賞、会社の野球チームでは選手兼監督を務めるスポーツマン
08年12月にも熊本支店を開設
コストが掛かる住宅展示場を持たない同社は施工物件を見てもらう見学会方式で見込み客を集めている。実際に人が住む家だけに来場者には好評という
08年度は大卒11人を採用。優秀な人材確保が同社の生命線でもある。09年度も10人程度を採用予定(写真は08年4月1日入社式)
 07年10月、同社はエリア戦略において大きな一歩を踏み出した。熊本市への本格進出である。県北のエリア展開が順調に進行してきたことと八代といった県南への展開を見据え進出に踏み切った。施工実績が全く無かったわけではないが、マーケットとして初めて照準に入れたのである。年間20棟程度の施工を見込み、見学会方式で現在営業を本格化させている。進出からまだ1年にも満たないが、「認知度も出てきた。手応えは感じている」と瀬口社長。そして早ければ08年暮れにも市内に支店を開設する予定だ。
 県南の宇城、八代までをカバーする拠点の位置付けで、開設場所は市内南部を見込んでいる。スタッフは8人程度、同社初の支店となる。「アフターフォローなど山鹿からは距離的に迅速な対応は難しい。遅くとも09年1月にも開設したい」と、開設で営業効率を高める方針だ。また、現在市場開拓中の久留米市にも支店を開設する予定で、開設時期は09年末になる見通し。大市場の福岡都市圏進出に向けた試金石ともなりそうだ。
08年度は大卒11人を採用
インターネットの戦略活用も同社独自の営業スタイル。契約者の30%から40%がHPで同社と初めてコンタクトを取っているという
説明会ではトップ自ら会社のビジョンを語り採用の最前線に立つ。面接にも必ず立会うほど採用には時間と労力を惜しまない(写真は07年12月の説明会)
 08年4月1日。司社会議室であった大礼式には初々しい表情をした11大のフレッシュマンたちの姿があった。同社は事業拡大に伴う新卒採用を06年度からスタート、08年は初めての2ケタ採用となった。09年度採用も10大程度の大卒採用を予定している。同社の成長を支えるのは人材であることを瀬口社長自身が確信しているだけに採用活動にはひと際力を注ぐ。説明会から最終に至るまで幾度にわたる面接に必ず社長自ら立ち会う姿勢も熱意の表れだ。「プロ野球チームをつくるのと同じ。いかに素質を見抜きレベルの高い人材に育てていくか。つまりイチローレベルの人材の発掘が私の仕事」。さらに「社員の期待に応え、方向性を見せるのが経営者としての努め」とも。インセンティブ制度やギフト制度など努力に見合った評価制度の導入はその実践でもある。インターネットを戦略的に活用した全国展開や株式公開など瀬目礼長の夢は、熊本の一住宅会社にとどまらない領域にある。だが、着実にそこまでの距離は縮まりつつあるようだ。
企業DATA
[所在地] 〒861-0541熊本県山鹿市鍋田192-1
[TEL] 0968-44-3559
[FAX] 0968-43-8804
[資本金] 4500万円
[事業内容] 注文住宅施工・販売
[年商] 20億円(グループ合計)(売上高)
[URL] http://www.sk-home.com
[出先] 熊本県北部(山鹿地区、荒尾・玉名地区、菊池、植木)、福岡県南部
[関連企業] エスケ一不動産

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2008年7月1日発行分の掲載内容です。