トップ Companies くまもと経済EX 2008 「味千の輪」5大陸に向け着々と。 国内は質の向上とプランティンク強固に
くまもと経済EX 2008

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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「味千の輪」5大陸に向け着々と。 国内は質の向上とプランティンク強固に
重光産業
11の国と地域からオーナー集結
2月に聞かれた40周年感謝の集いには世界各国からオーナーらが駆けつけた
熊本市水前寺6丁目の味千拉麺本店
 2008年2月14日、ホテル日航熊本「阿蘇の間」の壇土で重先社長は「今日の日が迎えられたのは、支えてくださった皆様のお陰。今後も世界各地に仲間の輪を広げていき、熊本の味を伝えていきたい」と集まった約450人を前にあいさつした。重光産業創業40周年を祝う感謝の集いには、日本各地のオーナーや関係者はもとより、世界各国のオーナーも駆けつけた。1967(昭和43)年から、ごく普通の「ラーメン屋」の切り盛りから始め、先代と二人三脚で歩んできた重光彰子相談役は「県斤前から始主った味千拉麺が、伊界で食べることができるようになるとは夢のよう。先代社長が残した祈りと感謝の気持ちを、次の世イリ)人にも受け継いでもらえれば」とメッセージを述べた。
既存店の質の向上や新たな可能性見出す
熊本市湖東3丁目にオープンしたチャンポン専門店では、新しいチャンポン提供のスタイルを提案
 「味千拉麺」は、国内では北は北海道から南は鹿児島県まで現在107店舗を展開。最近では、高知県に同県4店舗目となる一宮店をオープンした。
 チェーン店の中には、72年から営業している店舗もあり、それぞれの地域に根差した店舗展開をしている。また、老舗店舗では代替わりも進んできており、そうした世代が集まり「ジュニア会」を結成しメールなどを利用した情報交換などに取り組んでいる。本部としては、年に1回全国オーナー会議の場を設け、現状報告や課題、勉強会を開くとともに、味千グループとして気持ちを一つにし、一致団結の場となっている。国内戦略に関しては、今後既存店で徹底したプランディングの追求とさらなる質の向上に努めていきたいとしている。
 また、多様化する消費者のニーズに合わせ、地域にあった店舗リニューアルや他業態への取り組みも進める。昨年、天草市栖本町に「味千食堂栖本店」をオープン。「味千拉麺」の店舗とは異なり、地の魚などを使った刺身定食などのメニューをそろえる「味千の定食屋」だ。今後地域性などを考慮しながら各地に導入していく予定。
 また、今年3月には熊本市湖東3丁目に初のチャンポン専門店となる「千(せん)のちゃんぽん湖東亭」をオープンした。
 県産の野菜などを用いた基本の「チャンポン」に、ニラや卵、シーフードやチーズなど好みのトッピングをオーダーし、1人1人オリジナルのチャンポンを食べてもらうのが狙い。同社では「できるだけ多くの県産の野菜を使い、地産地消に貢献したい。また、お客さまのリクエストに合ったチャンポンを食べていただくという新しいスタイルを提案した」と話す。オープンして間もないが、食事時には多くの来店があり上々の滑り出しをみせている。
 このほか、福岡市の商業施設「キャナルシティ博多」の「ラーメンスタジアム2」に別ブランド「拉麺 劉」を出店。熊本市桜木6丁目の桜本店と合わせ2店舗目となるが、「拉麺 劉」では味千の原点に近い味を作り出しており、多くのファンに支持されている。
“熊本ブランド”に世界が注目
世界オーナー会議の様子。味千の輪は大きな広がりを見せている
 一方、海外は270店舗を展開し、中国・シンガポール・マレーシア・タイ・インドネシア・フィリピン・台湾などのアジア地域のほか、アメリカ・カナダ・オーストラリアといったアジア以外の国にも暖簾が広がっている。今年に入り、オーストラリアのブリスベンに同国3店舗目がオープンしたほか、アメリカではニューヨークに2号店、ロサンゼルスに4号店などの出店が決まっており、その後の追加店舗も計画中と着実に拡大している。
 同社では「単に物珍しさの域を超え、ラーメンという食文化のないその土地の方々にも受け入れられてきている証ではないか」と分析する。年内には、オランダに欧州1号店のオープンを目指し目下準備中。オープンすれば欧州展開の足がかりとなるばかりではなく、夢の5大陸進出に向けても大きく前進することが期待される。
 欧米での積極的な動きも然ることながら、海外展開で外せないのが中国だ。そもそも、同社が最初に海外に店舗を出しだのは1994年の台湾1号店。その2年後に香港に進出しており、そこでの成功が今の中国を中心とする海外展開につながっている。現在中国の店舗展開を束ねるのは、香港に拠点を置く味千(中国)ホールディングス(潘慰=パン・ウェイ社長)。香港を含む中国に239店を構えており、今年度末に300店、2年後には500店を目標に事業を進めている。
 昨年、同社はアメリカのビジネス雑誌で07年のアジア急成長企業1位として紹介されたほか、今年に入り同国の「アーネスト&ヤング」社の「ワールドアントレプレナーオブザイヤー・香港」に選ばれた。同賞は世界で優れた企業に送られるもので、こうした実績からもその成長ぶりと将来の可能性をうかがい知ることができる。

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 40周年記念式典の会場では、参加者は国境を越え、「味千」という暖簾を通じて出会った仲間達と握手を交わし共に語りあっていた。音楽あり、祝舞ありとにぎやかな祝いの宴の締めくくりは、参加者が手を取り合い会場内に大きな輪を作った。今後50年、60年と歴史を積み重ねる毎にこの輪は大きくなっていくことだろう。
企業DATA
[所在地] 〒861-8031熊本市戸島町920-9熊本コスモエ業団地
[TEL] 096-389-7111
[FAX] 096-389-5410
[資本金] 1000万円
[設立] 1972年7月
[年商] 18億円
[URL] http://www.ajii000.co.jp/
[出先] 国内・107店舗(内直営9店舗)海外・270店舗(08年6月現在)

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2008年7月1日発行分の掲載内容です。