トップ Companies くまもと経済EX 2008 持ち帰り分野を強化、2010年までに 店舗数を50店舗体制へ拡大
くまもと経済EX 2008

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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飲食・サービス
持ち帰り分野を強化、2010年までに 店舗数を50店舗体制へ拡大
潟Wョー・スマイル
総菜や仕出し、鉢盛など持ち帰り分野を強化
 居酒屋業態の「ひゃくしょう茶屋」、「村一番」、「うまか五右衛門」を主力に、日本料理、焼き鳥、自然食、ビアホールレストランなど、消費者の嗜好やニーズに対応した多業種戦略で、主地盤の熊本、福岡で飲食店を展開している潟Wョー・スマイル。
 原油・材料高などによる景気減速感が強まる中、飲食業界は来店数が伸び悩み、加えて飲酒運転による死亡事故や食の安全を揺るがす事件の影響で逆風下に置かれている。同社においても昨年39あった店舗を今期は一旦25店舗まで縮小させ、既存店の業態変更を含め、店舗の効率化に傾注している。
 こうした中、同社が新たな経営の柱として最も力を入れているのが、総菜や仕出し、鉢盛料理など持ち帰り分野の強化である。「これまでは店を構え、お客さまを迎える、いわゆる待ちの姿勢だった。今後は店舗で質の高い料理をお出しすることに加え、総菜や仕出し、鉢盛など持ち帰り料理を強化し、店舗内だけのビジネスから、一歩外に出て外部に対して販売する。この分野を伸ばさなければ、今後利益の伸びは期待できない」と前川社長。和食レストランに仕出し、鉢盛料理などを絡めた展開を図るほか、デパ地下やショッピングセンター、駅ビルなどに総菜を中心とした店舗を展開していく。
 「今期末には30店舗体制に戻す計画だが、この内10店舗程度を和食レストランに仕出し鉢盛料理などを絡めた店舗に、もう10店舗を総菜を中心とした店舗にする。将来の50店舗体制に向けた戦略も同様の方向性で進めたい」と語り、外売り分野を新たな経営の柱に育てる意気込みだ。

前川浩幸社長
まえかわ・ひろゆき/阿蘇市(旧阿蘇郡一の宮町)出身、1960(昭和35)年9月14日生まれ、47歳。熊本商科大学卒業後、潟jコニコ堂入社。95年潟Wョー・スマイル取締役営業本部長、97年常務、99年4月代表取締役社長就任。趣味は読書、映画
新業態の「城南太郎」は売り上げ2.8倍に
仕出し、鉢盛料理などを絡ませた新業態の居酒屋レストラン「城南太郎」(下益城郡城南町)
 こうした業態変更は既に売り上げ効果に現れている。自然食バイキングレストラン「ヘルシーキッチン開 城南店」(下益城郡城南町)を業態変更し、海鮮料理を中心としたメニュー構成に加え、仕出し、鉢盛料理などを絡めた新業態の居酒屋レストラン「城南太郎」は、月の売り上げベースで約2.8倍と好調だ。同様に「ヘルシーキッチン開 福岡空港通店」(福岡市博多区半道橋)は居酒屋レストラン「半道太郎」に変え、利益率を改善しているという。
 さらに、「ヘルシーキッチン開 第二空港通店」(熊本市佐土原2丁目)は、和食レストランに業態変更する予定で、ゴールデンラインとも呼ばれる第二空港線の特性を活かし、夕方・夜間の集客率向上と共に、仕出し、総菜、鉢盛など外売り分野の強化で店舗効率を上げる。
保証付き無担保私募債1億円を発行
ビアホールレストラン「元気にドント!」(熊本市下通1丁目)
 同社は3月31日、三菱東京UFJ銀行の保証付き無担保私募債を発行した。発行総額は1億円で、全額を三菱東京UFJ銀行が引き受けた。この資金は3月17日にオープンした居酒屋市場「安笑」(熊本市白藤3丁目)、同24日にオープンしたビアホールレストラン「元気にドント!」(同市下通1丁目)の出店資金に充てた。
 「私募債の発行は資金調達のほか、企業信用度を上げるという点でもメリットかおる。当社は株式上場も視野に展開しているが、財務体質など厳しく審査した上での発行であり、社会的信用度も上がり、人材の採用面でも優位になる」と前川社長。
 サービス業の原点である優秀な人材の確保という面でも積極的な同社は、来春、新人社員を25人程度採用する計画だ。今後、社員比率を上げ、仕事へのモチベーションを高めながら、育った人材を新店舗へ役人する。さらに、1週間のリフレッシュ休暇の導入や、基本給の底上げ、スキルに応じた手当てなど、福利厚生の改善にも積極的に取り組み、飲食のプロを育成する。
完食・完飲キャンペーンなどユニークなイベントを提案
 一方、同社の新たな取り組みとして注目されるのが、キャンペーンやイベントなどソフト部門の強化である。お客さまとの交流を深める目的で、4月にボウリング大会、6月にはゴルフ大会を初めて実施した。また、メーカーとタイアップしたビール工場の見学会や韓国、北海道、沖縄旅行のプレゼントなどエンドユーザーを大切にした企画を随時提案している。
 さらにユニークな取り組みが、飲み放題宴会コースを予約のお客さまを対象に、宴会で出された料理・飲み物を残さず完食・完飲したグループ全員に10%割引券をプレゼントする「完食・完飲キャンペーン」である。
 多くの食べ残しが出る飲食業界で、日本の食糧自給率がカロリーベースで40%を切る背景から食の資源を大切にし、廃棄物削減という環境への配慮をお客さまと共に考えようという狙いで開始したもので、熊本地区は居酒屋「村一番」の駕町店と銀杏店の2店舗、福岡は「麦うさぎ大名店」で実施しているが、今後9月までには全店舗に広げる予定だ。
50店舗へ九州内外でM&Aもすし業態への進出も計画
麦うさぎ博多祇園店(福岡市博多区店屋町)
 主力の居酒屋「ひゃくしょう茶屋」、「村一番」、「うまか五右衛門」を中心に、多業種の飲食店と総菜や仕出し、鉢盛料理など持ち帰り分野を新たな経営の柱に育て、熊本、福岡での経営基盤を強化する同社。厳しい経営環境にある飲食業界の中で、食べさせ方や新しい価格帯、そして手間隙をかけ、他にはない魅力を出すことで一層の差別化を図っていく。
 さらに前川社長の構想には、すし業態への進出もあるようだ。こうした新規事業に加え、九州内外で同業の飲食チェーン店のM&A(合併・買収)を積極的に手掛けることで、2010年までに店舗数を50店舗に拡大する計画だ。「今後は都市部や人目集積地などを中心に、経営効率を重視した店舗展開を進め、目標を達成したい」と前川社長。将来の50店舗体制を見据え、新たな挑戦は続く。
企業DATA
[所在地] 〒860-0807熊本市下通1-4-9ニコニコビル7F
[TEL] [営業]096-356-2482 [管理]096-312-9178
[資本金] 9、000万円
[設立] 1993(平成5)年2月
[事業内容] 飲食店経営
[年商] 売上高:18億5千万円(2008年3月期決算)
[従業員] 正社員97名、アルバイト・パート340名
[URL] http://www.johsmile.co.jp
[出先] 店舗数:28店舗(2008年7月現在) 店舗ひやくしょう茶屋、村一番、うまか五右衛門、かごめ家、麦うさぎ、ゆめ畑、花ほたる、こもれび家、焼鳥平蔵、伊達祭、ヘルシーキッチン開、常笑気流、安笑、元気にドント、城南太郎、半道太郎

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※この記事内容は、くまもと経済EX:2008年7月1日発行分の掲載内容です。