トップ Companies くまもと経済EX 2008 「創業60周年」−積み重ねた“伝統” ベースに新時代の企業づくりに邁進
くまもと経済EX 2008

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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飲食・サービス
「創業60周年」−積み重ねた“伝統” ベースに新時代の企業づくりに邁進
大森産業
昭和23年、逓信省への物品納入事業社として創業
熊本市水前寺2丁目の「オーファス水前寺」
 建物総合管理業の大森産業(熊本市月出1丁目)は、1948(昭和23)年に創業、今年12月には創業60周年を迎える。大森敏雄社長は「創業以来、多くの方々に支えられ、またご愛顧いただき事業を続けてまいりました。ありかたく思い、大変感謝しております」と感謝の思いを述べる。
 県内企業として有数の業歴を誇る同社は、大森昭一前社長が、当時の逓信省への物資納入事業を行う企業として創業。1953(昭和28)年の熊本大水害後には、全九州の郵便局や電話局の内装工事を行っていたが、設備の維持・管理・メンテナンスが付帯事業として発生したため、本格的にビルメンテナンス事業に進出した。その後、警備業務、清掃管理業務、設備管理業務、環境衛生管理業務アウトソーシング業務、コ・ジェネレーション業務など、業務の内容を拡充させながら現在まで着実な歩みを続けている。

大森敏雄社長
おおもリ・としお/熊本市田崎町出身、1960(昭和35)年7月6日生まれ、48歳、真和高校−熊本商科大学商学部卒。83年オリエンタル警備保障取締役、84年大森産業取締役、87年日本ビルサービス鞄社、89年大森産業入社、91年オメックス取締役、92年大森産業(水俣)取締役、97年代表取締役専務を経て02年7月社長に就任
業務品質向上のためISO、OHSASを同時取得
社員大会の様子
 2002(平成14)年に前社長からバトンを継ぎ、2代目として指揮を採る大森敏雄社長は、就任当初から業務品質の向上を目標に各種施策を実行してきた。2004(平成16)年には、全国の業界でも初めて、全業務・全事業所でIS09001、同14001、労働衛生管理システムOHSAS18001の認証を同時取得した。「業務品質の向上には終わりがありません。日々の業務を一つ一つ点検、修正しながらお客様の多様な要望にお応えしたい。それが企業としての“信頼”につながってくると考えます」と話す大森社長は顧客満足度の向上に余念がない。これらの認証も昨年には初めての更新を終了、今年もサーベイランスが終わり、業務システムとしても一層の磨きがかかった。
 また医療関係施設の業務も行っている同社は、県内外の多くの総合病院での実績をもとに、(財)[医療関連サービス振興会の医療関連サービスマーク(院内清掃サービス)も取得している。「アメニティ・ホスピタリティ・ノーマライゼーションの実現を目指す」と病院事業においての基本理念を話す大森社長は「当社がこれまで培った専門性、管理技術などをベースに、病院様の運営理念に沿った高品質のサービスを提供したい」と意欲を見せる。
社内管理システムの構築も着手
日常清掃業務
特別清掃業務
 しかし同社の業務品質向上のための歩みは、これだけに止どまらず社内の管理システムにも及ぶ。2005(平成17)年には「平成17年度IT活用型経営革新モデル事業」の採択を受けた。これは、県内でも唯一の採択事業となった。内容は「EA(エンタープライズ・アーキテクチャー)手法による総合ビルメンテナンス業における『標準化』を実現するための管理システムの開発」。EAとは、業務手順や情報システムの標準化、組織の最適化を進め、効率良い組織運営を図るための方法論。これを導入することにより、従来別々に運用されていた、複数の業務システムが標準化され、導入・運用コストの削減、重複した業務の統合が行われるため、組織の運営コストの削減が可能になるといわれている。
 さらに会社全体の基幹業務の統合管理システムを構築するなど、社内のIT化も推進している。このシステムは経済産業省が中小企業のIT化推進を目的に事業化している「IT経営百選」の2006年度優秀賞を受賞した。こういったシステムをベースに社内でのQC活動も活発化している。各事業部別に社員自らが日々の仕事の中での問題点を抽出し、その改善を実施。その内容は同社の社員大会時に各グループから発表され、社員全員の採点により表彰を行っている。大森社長は「社内のシステム整備は様々な業務コストの削減と同時に、問題意識を全社員で共有できるようにするという目的があります。社員一人一人が、問題を共有し解決に向けて努力を続ければ、それは業務品質の向上につながります。QC活動も、これらのシステム導入後、社員の自主性や問題意識が高まり年々レベルアップし、現場での業務に反映させています。突き詰めれば社内のシステム整備も、最終的には顧客満足度を追及するための方法の一つなんです」と自信をのぞかせる。
着実な多角化と県外進出で環境の変化に対応
電話交換業務
設備遠隔監視業務
 一方で本業拡大に向けては、県外への展開も進めている。一昨年2月、福岡市博多区に、佐賀支店を統合した福岡支店を新設。同支店の開設で、熊本本社、鹿児島営業所と併せ、九州の縦軸での展開が実現、全九州を視野に入れた事業展開も着実に推進している。
 本業のレベルアップを続ける同社だが、業界の現状は他業種からの参入や、全国のダンピング業者の暗躍が続き、競合が激しさを増している。このため、事業の多角化も着実に進めている。昨年3月には子会社の潟Iメックスが建設・管理・運営するマンション「オーファス水前寺」が完成した。部屋の設計に工夫を凝らした同マンションは、立地の良さもあいまって順調な運営を続けている。同社ではこのマンションを一つのモデルケースとして、今後も自己資産の有効活用を積極的に進める構えだ。また4店を運営するコンビニエンスストア事業も出店ペースを徐々に加速させる予定だ。「あくまでも無理をせず本業から派生するものか、自己資産の活用を目的とした方針で、多角化を計画したい」と慎重な姿勢を見せる大森社長だが「創業60周年はあくまでも通過点です。事業環境の変化にはグループの総力を結集して立ち向かいたい。そして時代の波に耐え得る柔軟な“対応力”を持った、業務品質の高い企業を目指したい」と次の時代を見据えた企業づくりに取り組む。
設備運転監視業務
機械警備業務
貯水槽清掃業務
企業DATA
[所在地] 〒862-0920熊本市月出1-7-13
[TEL] 096-384-0251
[FAX] 096-382-7752
[資本金] 3、000万円
[設立] 1955(昭和30)年12月
[事業内容] 建物総合管理業
[年商] 売上高:16億円(07年9月期決算)
[代表者] 大森敏雄社長
[従業員] 423人
[URL] http://www.ohmori-fm.co.jp
[関連企業] 潟Iメックス、大森産業(水俣市)ほか2社 出先/福岡支店、鹿児島営業所 事業所/八代、芦北、水俣、阿蘇、玉名、菊陽、嘉島

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※この記事内容は、くまもと経済EX:2008年7月1日発行分の掲載内容です。