トップ Companies くまもと経済EX 2008 こころの故郷(ふるさと)づくり通して 地域の高齢者医療・福祉を支える
くまもと経済EX 2008

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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医療・医療関連・教育
こころの故郷(ふるさと)づくり通して 地域の高齢者医療・福祉を支える
(医)桜十字 桜十字病院
斬新な思考で経営改革
敷地内に完成した新病棟・さくら館
 (医)桜十字 桜十字病院(熊本市御幸本部1丁目、西川通子理事長)が現体制での経営になって約3年が経過。「現在の日本発展の礎を築いてきた熊本県の高齢者が、尊厳と幸福に満ちあふれた人生のやすらぎを迎えることができる、“こころの故郷(ふるさと)”をつくりたい」を経営理念に、斬新な思考で様々な経営改革を行っている。今年4月には、新病棟Fさくら館」、6月には高齢者マンション「ホスピタルメント桜十字」がそれぞれ完成。療養型病院に逆風が吹き荒れる中での同院の積極姿勢に大きな注目が集まっている。

西川朋希理事長代理
にしかわ・ともき/1976(昭和51)年6月7日生まれ、32歳。熊本県出身、London School of Economics・BSc(学位)取得後、MSc(修士)課程修了。2001年野村総合研究所(英国法人)Researcherとして入社。03年野村総合研究所(本社)に入社、経営コンサルタントとして情報・通信・製造業のコンサルティングを経て、06年桜十字病院理事に就任、07年から現職
新病棟・さくら館が完成
さくら館1階ロビーには、小国町出身の坂本善三画伯の大壁画「阿蘇」(1842mmX4929mm)が飾られている。写真は除幕式で記念撮影に応じる西川通子理事長と坂本阿蘇彦さん(坂本画伯の子息)
 4月に完成した新病棟「さくら館」は、同院の理念を凝縮した病院の新しい顔としての機能を持たせている。建築面積は3122u、鉄筋コンクリート造り5階建て、延べ床面積は1万1836u。1階は、受付、社員食堂を兼ねた外来者用レストラン、売店、講義室などの共用スペース。2階から5階は病棟で、スタッフステーションを中央に配し、四つ葉のクローバーをモチーフにした十字型になっており、細やかなケアを実現できる設計になっている。入院病床は264床。病室は、個室が中心となっており「私の家」をコンセプトに、家庭的な雰囲気の内装と家具を配置したインテリア設計、天井から床に長く延びるスリット式の窓を設置している。
 また、1階の講義室は約300uあり、最大300人まで収容可能。地域住民、医療関係者、ボランティアなどにも開放し、地域医療を支えるための情報発信センターとしての機能を果たしている。
高齢者専用マンション・ホスピタルメント桜十字
高齢者専用マンション・ホスピタルメント桜十字。同規模の施設の全国展開も計画している
 6月には、病院近くに高齢者専用マンション「ホスピタルメント桜十字」が完成した。コンクリート造り2階建て、延べ床面積は5144u。居室はAタイプ(18u)が92戸、Bタイプ(32u)が9戸の全101戸。全居室にナースコールを設置するとともに、24時間365日マンション内に専門スタッフが常駐している。また、入居者の要望に応じたヘルパーサービス、デイサービス、訪問リハビリ、訪問看護、医師による訪問診療など卜−タルケアの提倶により、介護度が高い入居者にも対応。一生涯の居住を目指している。
 同法人では「介護が必要な方の生活の、ひとつの理想の形を追求した。『自宅のやすらぎと、街のようなふれあいのある、尊厳と安心安全が守られた生活』を実現したい」と話している。
地域連携も前進
 また、昨年11月、院内に回復期リハビリテーション病棟を開設。急性期から回復期への円滑な移行、早期の自宅復帰に向けた医療を提供している。リハ病棟では、週に1回NSTラウンド(栄養サポート回診)を行い、病態の把握、現在の問題点、栄養投与量、投与経路、薬(副作用対策)などについて検討し、その結果に基づいた栄養療法や対策を行っている。
 さらに、今年度中を目標に開放型病床の開設も準備が進む。病床の一部を地域の診療所のかかりつけ医に開放。同院の医師と共同で治療にあたる体制を整え、地域との連携を着実に推し進める。
生の声を病院運営に反映
 「患者さまとご家族の声が“こころの故郷づくり”への道しるべとなる」との考えのもと、患者やその家族の生の声を病院運営に反映させるため、「患者さま満足室」を設置(フリーダイヤル・0120-300-570)。その他、「理事長直行使」「“ほっ”とライン」「私のノート」といった独自の取り組みも行っており、ひとつひとつの要望にしっかりと対応できる体制を整え、問題の共有・改善に取り組んでいる。
桜十字グループでのトータルケア推進
 (医)桜十字では、桜十字病院のほか、高齢者専用マンション「ホスピタルメント桜十字」、居宅介護支援事業所「ケアーセンター桜十字」、訪問介護ステーション「訪問介護ステーション桜十字」、通所リハビリテーション「デイケア桜十字」の関連施設を運営。訪問看護・訪問リハの開設も検討中だ。これら関連施設も含めた「桜十字グループ」としてのトータルケアを推進することで、地域の高齢者の医療・福祉・介護を支える“こころの故郷”づくりを進めている。
 経営の指揮をとる西川朋希理事長代理は「患者さまや地域の方々の必要に応えるために、ハード面の投資や医療機能の充実を図ってきた。今後も地域の高齢者医療・福祉を支える病院としての役割を担っていきたい」と意欲を語る。「建物は投資すれば出来るが、そこで働くスタッフの心を作るのは時間がかかる」と、今後ともじっくり腰を据えて患者さま満足を追求し続ける構えだ。
企業DATA
[所在地] 〒861-4173熊本市御幸木部1-1-1
[TEL] 096-378-1111(代表)
[FAX] 096-378-1119
[事業内容] 診療科目:内科、小児科、循環器科、呼吸器科、外科、小児外科、消化器科、肛門科、脳神経外科、神経内科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、歯科、生活習慣病、産業医、各種健康診断
[従業員] 561人(医局21人、歯科3人、薬局9人、理学療法±15人、作業療法±10人、言語聴覚±6人、看護師212人、ケア・ワーカー147人、その他従業員138人)
[関連企業] 関連施設:居宅介護支援事業所「ケアーセンター桜十字」、訪問介護事業所「訪問介護ステーション桜十字」、通所リハビリテーション「デイケア桜十字」

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※この記事内容は、くまもと経済EX:2008年7月1日発行分の掲載内容です。