トップ Companies くまもと経済EX 2009 深い専門性と広い多様性で各種ニーズに、的確に対応
くまもと経済EX 2009

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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深い専門性と広い多様性で各種ニーズに、的確に対応
熊本交通運輸
鹿児島空港営業所は今年10月に開所予定
 1972(昭和47)年に誕生した熊本交通運輸梶i上益城郡益城町、住永金司社長)は、「長距離輸送」、「倉庫」、「専属専門輸送」を事業の柱として、着実な成長を遂げている。
 業界を取り巻く環境は、昨年から始まった世界的不況の影響から輸送商品の減少、輸送単価の下落、各種法令・条例の度重なる変更など、厳しい状態が続いている。そんな中、同社の09年3月期決算の売上高は、グループ全体で約94億円を達成した。「業界を巡る状況が厳しい中、これまでの業務を見直し、無理をせずに従来の仕事を丁寧に実行し、事業の品質強化を図った結果ではないでしょうか」と住永社長は振り返る。
 同社では現在の鹿児島空港内の事務所を移転する予定。場所は霧島市で敷地面積は1320u。鹿児島空港に近い立地を生かし、主に航空貨物を扱う事業所になる予定だ。名称も鹿児島空港営業所(仮称)で、今年10月の開所を見込んでいる。住永社長は「九州北部では福岡空港内に事業所がありますし、今度の鹿児島空港営業所開設で、九州北部と南部の航空貨物の拠点が完成します」と新事業所の位置づけを説明する。さらに同社では佐賀県鳥栖市の九州自動車道鳥栖インター横にある「グリーン・ロジスティクスパーク鳥栖」内にも用地を確保。九州の物流の中心部への進出も視野に入れている。

住永金司社長
すみなが・きんじ/上益城郡御船町出身、1947年5月15日生まれの62歳、熊本商業高校卒。72年熊本交通運輸鰍設立。熊本トラック運輸事業協同組合理事長、社団法人熊本県トラック協会副会長、益城町商工会会長
観光バス事業、タクシー事業も本格化
 同社では本業に付随した新規事業にも着手している。2006年からは観光バス事業に参入。熊交観光バス鰍設立し、現在10台体制で稼動している。また、昨年には熊本市に熊交観光タクシー鰍設立し、事業を本格化させた。今年は熊交観光バスのタクシー事業部と熊交観光タクシーを合併し、規模の拡大と業務の効率化に取り組む。合併後は稼動台数40台、社員80人の規模になる。「バス事業も稼働率が上がってきており、財務内容も改善しています。タクシーは、現場も『接客サービス日本一のタクシー会社を目指す』と言っており、士気は高いですね。当社事業の柱の一つとなるべくサービス内容や人材育成をしっかりと行いたい」と手応えを感じている。
分社化を推進し機動力の高いグループづくり目指す
 また現在、社内体制の再構築にも取り組んでいる。福岡営業所を福岡熊交汲ニして独立したほか、2007年には長距離輸送部門を分社化し熊交エクスプレス鰍設立した。さらに鏡営業所と八代営業所を統合し、新会社として独立させる構想もある。両事業所では専属専門輸送と青果物の小口輸送を行っており、独立することで食品部門の新規荷主の開拓に期待がかかる。住永社長は「業界全体が厳しい中、分社・独立することにより業務を特化させ、スピードある対応で、一層のキメ細かなサービスの提供と新たなニーズの開拓を行いたい」と分社化の理由を説明する。
オリジナルの企画を投入する「くまもとエミナース」
 同社は多角化にも積極的な動きを見せる。昨年、「ホテル&リゾートくまもとエミナース」を取得、今年2月6日から「ホテル&リゾートくまもと空港エミナース」としてリニューアルオープンした。「エミナースが入札されると聞き、地元からもなんとか残してほしいと強い要望が当社に寄せられました。そのため、これまで当社を育てていただいた地元へのご恩返しの意味もあり、入札に参加しました」と住永社長は取得の動機を語る。リニューアル後は、各ゴルフ場とコラボレーションした宿泊パックやファミリーで楽しめる様々な企画を投入。7月からは県内唯一の屋外ウォータースライダー完備のプールを利用し、午後6時までの開園など様々なサービスを実施し“新生エミナース”の活性化を図っている。
全社を挙げてコンプライアンスを推進
 「物流を通じてお客様に信用される“ビジネスパートナー”としてお役に立ちたい」と、“信用・信頼”を経営方針の柱に据える住永社長は、コンプライアンスの推進にも積極的な姿勢を見せる。一昨年からは熊本と福岡でグループ全社員を対象にした安全推進大会を実施している。さらに安全マネジメント担当者が各営業所を抜き打ちで検査するなど、徹底して安全・安心管理を行っている。また長距離部門の大型車全てに特殊なアルコール検知器を装着。これはドライバーがエンジンをかける前に検知器に息を吹きかけ、反応が出るとエンジンが始動しない機能と、4時間を越える連続運転ができない機能を併せ持っているため、遠隔地にいて対面点呼ができないドライバーの管理を可能にしている。これらの取り組みは業界でも例がないほど厳しいもので、マスコミなどにも取り上げられた。
「お客様の繁栄が当社の繁栄」
 「今は耐える時期」と捉え「原点に戻ろう」を目標として掲げる住永社長は「各分野でハイレベルになってきているお客様のニーズをしっかり受け止め、深い専門性と広い多様性を活用し、付加価値の高い提案を行っていきたい。お客様の繁栄が当社の繁栄につながると考えているので、一層仕事の質を磨き、物流という仕事を通して地域の発展に貢献したい」と、さらなる業務品質の向上に向け、新たな挑戦を続ける。
企業DATA
[所在地] 〒861−2212 上益城郡益城町黒石崎2240
[TEL] 096-286-2304
[資本金] 9,000万円
[設立] 1972年4月
[事業内容] 一般貨物自動車運送事業、貨物運送取扱事業、倉庫業、通運事業、産業廃棄物収集運搬業、バス事業、タクシー事業
[年商] 94億円(グループ)
[従業員] 760人(グループ)
[URL] http://www.kumako.co.jp/
[出先] 東京事務所、中部(三重)営業所、広島営業所、福岡営業所、益城物流センター、八代営業所、鏡営業所、鹿児島営業所、沖縄営業所
[関連企業] 熊本旭運輸求A熊交観光バス梶Aサンコー・コミュニケーションズ梶A福岡熊交求AKMKコーポレーション求A熊交エクスプレス梶A熊交観光タクシー梶A拠央タクシー

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2009年7月1日発行分の掲載内容です。