トップ Companies くまもと経済EX 2009 地域密着型金融で、豊かな地域社会の実現に貢献
くまもと経済EX 2009

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

■医療・医療関連・教育  ■飲食・サービス 
■金融・保険・卸・流通・小売  ■情報通信・ICT関連  ■電力・運輸・建設・不動産  ■製造・農業 
金融・保険・卸・流通・小売
地域密着型金融で、豊かな地域社会の実現に貢献
肥後銀行
頭取に甲斐 博氏が就任、新体制がスタート
 金融界は地域金融機関の経営統合や、県域を超えた業務提携の動きが活発化するなど経営環境は厳しさを増している。こうした中、熊本のリーディングバンクである肥後銀行では、6月25日の株主総会終了をもって甲斐博氏が頭取に就任した。今回のトップ交代は、若いリーダーシップによる組織の活性化と急激な環境変化を乗り切る狙いがあり、同行の頭取交代は8年ぶり、生え抜きの頭取は16年ぶりの誕生となった。
 甲斐頭取は、「『伝統は守るべからず創るべし』という精神性を尊重していきたい。健全経営の伝統を守りつつ、環境の変化に適応したイノベーションを経営に取り込み、改革・改善を図っていく。また地域社会の発展のために、地域全体の資源を活用した地域経済活性化に向けた努力をしていく。そして、現場主義的立場に立ち、お客様のお役にもっと立てるようにしていきたい」と意気込みを語っている。

甲斐博頭取
かい・たかひろ/熊本市出身、1951(昭和26)年4月生まれの58歳。慶応義塾大学商学部卒業後、75年同行入行。大津支店長、福岡支店長などを経て2000年4月理事福岡支店長兼福岡事務所長、01年6月取締役、03年6月常務、06年6月専務、07年6月代表取締役専務、08年6月代表取締役副頭取。09年6月頭取に就任。
「第四次中期経営計画」の仕上げの年に
 肥後銀行は、08年4月にスタートした「第四次中期経営計画」(以下、第四次中計)の最終年度、仕上げの年に入っている。第四次中計では、これまでの「第三次中期経営計画」で取り組んできた「風土改革・構造改革」をさらに継続・強化し、「お客様との接点強化による地域密着」という基本テーマをさらに深め、「現場力の品質強化」を基本コンセプトにお客様へ最適な金融サービスを提供し、お客様や地域との関係を一層強固なものにすることを目指している。
地域経済活性化に向けた事業支援を強化
 地元企業の様々なニーズに対応するため情報営業部を中心に、上海駐在員事務所、東京・福岡事務所による情報営業態勢の整備を行い、現在もビジネスマッチングによる事業支援などに積極的に取り組んでいる。
 同行では、食品関連産業の販路拡大支援策として、社団法人熊本県物産振興協会等との共催で、「くまもと“食”の商談会」を開催している。08年10月の第3回目となる商談会には、首都圏、九州の食品スーパー、百貨店などのバイヤー38社と熊本の食品メーカー、生産者など57社が参加し、個別の商談件数は460件余りとこれまでで最大規模となった。さらに、09年6月には、『異業種からの農業参入』をテーマとした「第3回アグリビジネスセミナー」を開催。定員数を超える応募があり、関心の高さがうかがえた。
 また、熊本県は全国有数の農業県であることから、同行でも農業分野への取り組みを強化している。09年5月に熊本県農業信用基金協会と債務保証契約を締結し、6月から受付を開始するなど農業生産者の資金ニーズに、より一層円滑に応えることが出来る態勢も整えた。
 一方、九州内外の自動車、半導体、ソーラー、IT、バイオ、環境関連のビジネスマッチングの場として、09年2月5日、6日には第2回目となる「くまもと産業ビジネスフェア」をグランメッセ熊本で開催した。従来からの生産連携や技術協力などの企業間の交流支援、燃料電池・太陽光発電等の先端技術の紹介に加え、「人材」をテーマに将来の技術力を担う県内工業高校生約1,000名を招待し、研究発表会を開催した。また、熊本県の農商工連携イベントを同時開催するなど、地域経済の発展に向けた取り組みを強化している。来場者は2日間で約8,000名にのぼり、県内企業を中心に、昨年を上回る171社・団体が出展し、活発な商談が行われ、新ビジネス創出につながるステージを提供した。
利便性向上のためのチャネルの充実
 地域のお客様に対する利便性の向上のため、店舗の新築移転や店鋪新設を進めている。08年7月に地域の拠点店舗である天草支店を新築移転し、08年9月には12年ぶりの新設店舗となる嘉島支店(上益城郡嘉島町)をオープンした。09年7月には楠団地支店を楠支店への店名変更と新築移転を実施し、8月には小峯支店を新築移転する予定だ。ATMなどの非対面チャネルにおいては、従来からのコンビニATMとの提携に加え、09年2月からは「九州地銀10行によるATM利用手数料相互無料提携」をスタートするなどATMネットワークの拡大にも努めている。またインターネットバンキングも機能を拡大し、09年4月からはインターネット投資信託サービスを開始するなど、「より身近で、安心・便利な肥後銀行」を実現するためのチャネルの充実にも力を入れている。
豊かな地域社会づくりに向けた環境保全活動などの積極的展開
 同行は環境保全活動や福祉・文化活動への支援など、豊かな地域社会づくりへも積極的に取り組んでおり、財団法人肥後の水とみどりの愛護基金とともに水資源保全活動への取り組みの顕彰活動やシンポジウムの開催等の環境保全活動を継続的に実施している。
 また、銀行本来業務における環境保全活動として、04年に九州の金融機関として初めて、環境ISO14001の認証を取得、08年10月には本店本館・別館に加え田崎の事務センターに認証範囲を拡大するなど全行を挙げて環境負荷の軽減に取り組み、成果を上げている。
 このような取り組みを発展強化させるため、06年2月には「阿蘇大観の森」を取得し、水源かん養林の育成・保全に継続的に取り組んでいる。さらに同行単独での植樹活動に加え、08年から九州電力梶ATOTO鞄凾ニ共同で植樹活動を行うなど着実に広がりを見せており、「阿蘇大観の森」における植樹累計は約5万本に上っている。
 一方、環境啓発活動においては、07年から「自分たちのまちに興味を持ち、足元から見直し、社会的な行動につなげる」官民一体となった企画として「わたしのまちの○と×・熊本」環境フォトコンテストを実施し、事務局として参画している。
 また、全国レベルでの業界ネットワーク造りとして、同行は、08年7月に発足した「日本の森を守る地方銀行有志の会」に発起行8行のうちの1行として参画しており、こうした活動は先進的な事例として注目を集めている。
熊本のリーディングバンクとして地域貢献を
 同行の09年3月末での総預金残高は、前期末比697億円増で3兆3,164億円(増加率2.1%)となった。この内、熊本県内の総預金残高は3兆1,315億円で、全体の94.4%を占めている。また、総貸出金は、地元中小企業や個人に対して積極的に対応した結果、前期末比838億円増加し、2兆2,664億円(増加率3.8%)となった。熊本県内向け貸出金残高は1兆6,570億円で、全体の73.1%を占めている。こうした点からも同行の地域社会の発展に寄与するという積極的な姿勢が見て取れる。地域経済の発展と地域社会への貢献という地元銀行としての使命を果たすべく、着実に取り組んでいる。 
企業DATA
[所在地] 〒860-8615 熊本市練兵町1
[TEL] 096-325-2111
[資本金] 181億円
[設立] 大正14年7月
[事業内容] 普通銀行業務
[代表者] 甲斐博頭取
[従業員] 2,019人
[URL] http://www.higobank.co.jp
[出先] 拠点数:126

[採用情報]
現在、登録がありません。
※この記事内容は、くまもと経済EX:2009年7月1日発行分の掲載内容です。