トップ Companies くまもと経済EX 2006 新工場による生産効率の向上と 首都圏をねらった事業拡大を視野に
くまもと経済EX 2006

熊本の明日を拓く未来創造企業 100の戦略

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製造・農業
新工場による生産効率の向上と 首都圏をねらった事業拡大を視野に
潟Cズミ車体製作所
戦前からの職人技と 心が生きる高度な技術
マンモグラフィー(乳房エックス線撮影装置)検診車両
製作のため一度解体されたトラックベース車体
 高齢化社会が進む日本の医療・介護福祉が改めて重要視されている今、車いす対応車両・検診車両は重要な交通手段・移動型医療設備として頻繁に私たちの目に留まるようになってきた。これら特種車両の製作販売・修理に取り組んでいる潟Cズミ車体製作所(熊本市南高江3丁目、古庄忠信社長)は約20年前から車いす対応車両や検診車両の必要性を考えていた。1988(昭和63)年以降、バス修理事業への依存度の高さを懸念していた古庄現社長の働きかけにより、車いす専用リフト車を九州・全国で初めて開発し、販売へと結びつけた。今日の福祉車両・検診車両事業発展への転機となった。創業当時の同社は、戦前の馬車鍛冶(馬車用車体)や大八車の製造から始まり、常に時代の流れと向き合いながら成長の道をたどってきた。戦後、熊本県・市町村の公用車、九州産交バスやトラック関連の修理、車体加工を中心に事業を展開してきた。
 現在、関西地方以西における福祉・検診車両のシェアはトップクラスの同社、全国から相次ぐ受注により生産稼働率は100%を超えている。阪神・淡路大震災など災害地や緊急地における医療活動を支援するために特種医療救護車両や乳がん検診に使うマンモグラフィー装置(乳房エックス線撮影装置)を搭載した検診車両など需要は高まりを見せている。こうした特需が続く一方で一台一台仕様が異なる車両を高度な技術を持った技術者によって製作される各種車両は大量生産が難しく、納期ぎりぎりまで徹夜の作業が続くことは多いという。
手作りケーキのような繊細な技で 良品質と安全性を追求
古庄 忠信 社長
 事業転換への岐路に立ちバス修理依存の企業体制から一転し、車いす対応福祉車両の開発販売を開始するといった将来を見据えた決断は当時大きな注目を集めた。現在では頻繁に見かけるようになった車いす対応車両・タクシー、医療・介護施設における送迎用バスなど、その利用価値はすでに認められており、高齢者や車いす利用者の重要な生活ツールとして普及している。
 福祉車両についてはピーク時の約75種類から約10種類へと車種を絞り、トヨタなど大手メーカーとの量産・価格競争によるマイナス要因を避け、得意分野に特化し戦略を進めている。一方、より高度で特殊技術を要し、大量生産が困難な車種(緊急支援車・検診車など)を強化し、イズミ車体製作所の経験と技術力を生かした独自の開発・販売ビジョンを主とした事業体制へとシフトしてきている。
 数々の経営選択の岐路に遭遇してきた古庄社長はこれまでを振り返り「バス作りは食パン作り、一方で福祉車両・検診車両作りというものは、ケーキ作りのようなもの」と話す。職人として、パン作りも、ケーキ作りも食べてもらう人に満足される味を追求していくことは同じこと。しかし、高齢者や障害を持った人が利用する車なので細心の注意を払い製作に取り組んでいる点では福祉車両・検診車両はより繊細な技が必要となるケーキ作りのようなものという。
首都圏をターゲットに 熊本空港そばに新工場を建設
進出協定調印式、家入勲大津町長(左)と古庄忠信同社社長(右)
新工場建設予定地の大津町南部工業団地南側敷地(2 万3355 u)
 同社は業界内の競争が激化する状況下、全国区を視野に入れた事業基盤の強化を図っている。現在全国に6カ所の代理店を持ち、アフターサービス・メンテナンスへも細心の注意を払っている同社、そのネットワークを生かした事業拡大と強化への挑戦は続いている。
 現在、イズミ車体製作所では、約8億6千万円を投じ大津町南部工業団地内に新工場を建設する。2007年1月に着工、同年10月の稼動開始を予定している。今年6月には大津町との間で進出協定を調印。新工場稼動開始に向けて計画は動き出している。新工場の建設は、どのような環境の中でも高い生産効率を持続し、安定性の高い設備が必要と決断。生産基盤の強化により全国区における勝ち組み入りを目指している。
 同社は、全国に持つ販売代理店とのネットワーク網のスピード化、製品視察など交通のアクセスの利便性により首都圏からの顧客獲得へもつながっていく利点にかなった立地条件の良さから同地を選択した。同社が製作した車両の故障や問題発生時には専門技術者を即日派遣することも可能となる。
企業DATA
[所在地] 〒861-4106 熊本県熊本市南高江3-3-64
[TEL] 096-357-1633
[FAX] 096-357-1666
[資本金] 1050万円
[設立] 1951(昭和26)年2月
[事業内容] 特種自動車製作販売及び修理 福祉車両レンタカー業務
[年商] 17億円(05年度)
[従業員] 85人(関連も含む)
[URL] http://www.izumishatai.co.jp
[E-Mail] mail@izumishatai.co.jp
[出先] 福岡営業所(福岡県春日市惣利6-67)
[関連企業] イズミ車体東部工場(熊本市長嶺東8-2-11) イズミ車体段山工場(熊本市段山本町6-53)

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2006年7月1日発行分の掲載内容です。