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くまもと経済EX 2009

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県下初の128列マルチスライスCTなど最新鋭機器を導入し心臓血管センターを開設
医療法人杉村会 杉村病院
済生会熊本病院から心臓カテーテルの権威・堀内賢二医師を招き
 医療法人杉村会 杉村病院(熊本市本荘3丁目、杉村邦明理事長)は、6月1日から心臓病など循環器系疾患の治療を専門に手掛ける「心臓血管センター」を開設した。
 全国でもトップレベルの心臓病治療の実績を持つ済生会熊本病院心臓血管センターからカテーテル治療の中心的役割を果たしている堀内賢二副部長を招くとともに、最新のマルチスライス(128列)CT、バイプレーン型血管撮影装置などを導入し、急性期、亜急性期の疾患へ対応するため総投資額10億円を超える全館のリニューアルを実施した。県内では済生会熊本病院、日赤熊本病院、熊本医療センター(旧国立熊本病院)の大規模病院以外では初の開設になる。

杉村邦明理事長
すぎむら・くにあき/1957年10月5日生まれ。真和高校ー帝京大学医学部(1984年卒)。1984年11月医療法人杉村会常任理事就任、85年4月同会理事長就任。92年6月潟Gフエム熊本取締役就任、2001年5月潟Cンターイメージ設立代表取締役社長就任、06年5月学校法人鎮西学園評議員就任、08年4月学校法人神田女学園理事就任。趣味:大の愛犬家で現在犬6匹と生活。リゾートホテル探訪
土日にも検査を行うオーダーメイドの診療を
 同院の杉村理事長は「心臓カテーテルの権威である堀内賢二先生との出会いが大きな契機でした。“一貫性のある患者さんのための医療を”という先生の思いを受けて最先端の医療設備環境を整えました。人口の高齢化や疾病構造の変化により、虚血性心疾患は年々増加の一途を辿っています。心臓や特に冠動脈の血管内治療には高度な専門性が求められると共に、常時の緊急対応が求められます。特に土日などの休日の対応が課題とされており、その臨機応変な受入体制が私ども民間病院の強みにできる部分でしょう。最高水準の診療体制を築き、地域医療の中で当院の新たな役割をつくり上げていきたい」と開設の経緯と抱負を語る。
「一貫性のある医療」の実践を
 堀内賢二医師(54歳)は、防衛医科大学卒、1981〜89年まで同大学校、自衛隊中央病院循環器科系第一内科に勤務。89年から済生会熊本病院循環器科勤務、臨床工学部部長代行なども兼務し2001年から循環器科副部長、さらに臨床工学部部長に就任。専門領域は循環器一般、心血管インターベンション。済生会熊本病院時代は、心血管カテーテル治療においては、年間約600例以上の内、3分の1を占める約200例以上を担当しその中核を担ってきた。
コンパクトで小回りの効く医療体制
 堀内センター部長は「永年にわたり、心疾患治療の第一線で診療しながら思い描いていた夢を、杉村理事長はじめ多くのチームスタッフの協力で実現できたことは望外の喜びです。急性期の大病院と慢性期の中小病院では余りにもギャップが大きく、患者さん本位ではありません。その点、杉村病院では、老健施設など同法人グループで運営していますから、急性期から慢性期の対応まで、“一貫性のある医療”が実践でき、さらに患者さんのニーズにあった“テーラーメイドの医療”を目指していきます」と理想の医療を掲げる。
 心臓血管センターのスタッフ陣容は、来年4月までに、堀内部長を筆頭に循環器科医師4人、看護師10人、臨床工学士2人、臨床検査技師4人、X線技師4人の24人体制(法人総スタッフ数は250人)に拡充、万全の体制を敷いて24時間救急対応へシフトしていく計画だ。
 院内の構成も、急性期、亜急性期に対応するため全館改築を実施した。1階が、受付(会計、薬局)、ER救急外来・血管撮影室、カテーテルモニター室(家族相談室)、2階が、外来受付、診察室、最新鋭MSCT室、生理機能検査室、内視鏡室、X線室、医局(院内LAN接続52インチ液晶モニター設置)、心臓専用エコー室、観察室、臨床検査室、3階が、HCU(ハイケアユニット)、4階〜6階が慢性期病棟となった。特に救急対応としては、1階の救急外来、血管撮影室、2階のCT室、3階のHCUがエレベーターで直結され縦の動線がスムーズに利用できるような構造となっている。
最新鋭のマルチスライスCTを導入 心臓ドックを8月より開始
 導入した最新鋭のマルチスライスCT(シーメンス社製)は世界最高クラスの128スライスで、一度に頭から足先まで全身を1つのボリュームとして短時間で行うことが可能。ガントリー回転速度も世界最速の0.30秒で撮像(息止め)時間も従来の20秒程度から5秒以内へ大幅に短縮。さらに1つの臓器を一度に多時相で撮影することが可能となるため、4次元データからの画像評価も可能となる。心臓検査はもちろん、今後は、全脳や肝臓全体の灌流画像、心拍動、嚥下運動、呼吸運動などのさまざまな機能観察にも威力を発揮するものとして期待されている。全国的にもまだ数施設しか導入例がなく、県内では初となる最新鋭の医療機器である。
 さらに血管撮影検査装置も国内に1台しかない特注の最新鋭機器である。東芝製のバイプレーン型血管撮影装置で、クリアな透視、撮影画像と高度な専門的技術により侵襲が少なくなりより安全なカテーテル検査・治療が可能になった。
 同病院では177床の内、20床を循環器の急性期の病床として、さらに26床を亜急性期の病床として稼動させていく予定で、初年度は300例程度の治療実績を目安にしている。さらに4年後には心臓血管外科もスタートしたい意向だ。老人保健施設などグループ施設の連携を図りながら中小規模病院として小回りを効かせ「オーダーメードの医療」の実現を目指す。
企業DATA
[所在地] 〒860-0811 熊本市本荘3丁目7-18
[TEL] 096-372-3322
[FAX] 096-371-0886
[設立] 1956年6月
[事業内容]  [診療科目] 心臓血管センター/循環器内科・内科・代謝内科・総合内科/総合診療科・消化器内科・小児科・外科・消化器外科・整形外科・リハビリテーション科
[従業員]  [病床] 177床
[関連企業] 介護老人保健施設「のぞみ」、ヘルパーステーション「のぞみ」、居宅介護支援事務所「のぞみ」、熊本市南1・地域包括支援センター「輝き」、児保育室「キンダーハウス」、指定認知症対応型通所介護サービス事務所「デイハウス カスタネット」、指定認知症対応型共同生活サービス事務所「グループホームピース」、小規模多機能型居宅介護サービス事業所「島崎山荘」

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※この記事内容は、くまもと経済EX:2009年7月1日発行分の掲載内容です。