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くまもと経済EX 2009

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新病棟建設、施設リニューアル計画進行中 酸化ストレス対策療法を展開
阿蘇立野病院 九州オゾンマグネ療法研究センター
機能回復やリハビリ施設の充実した新病棟を建設
 無医地区・南阿蘇に上村順一理事長が開業し、4月に30周年を迎えた(医)社団順幸会・阿蘇立野病院。地域医療を守るため「ぬくもりと安心の医療」を理念に、地域の中核的医療機関として成長を遂げてきた。
 同院では総事業費約10億円をかけ、新病棟建設および既存施設のリニューアルを計画している。完成予定は2012年4月。新病棟の建設場所は、現施設東側の阿蘇立野歯科裏側。3階建てで、88床中の66床を新病棟に移行する。特長は、機能回復やリハビリ施設の充実。高齢者にやさしい病棟を考案中だ。加えて、南阿蘇地域最大級の医療を構築すべく、診療科目などの見直しや強化項目などを調整している。高度慢性期医療として、慢性期疾患への十分な対応ができるよう、内科、外科、整形外科、脳外科に至る「老年外科」の強化を視野に入れている。
 また、潟純Cズ・リーディングと連携した遠隔画像診断を6月に稼動。高齢化に対応し、質が求められる透析医療など、医療の質向上にも努めている。


上村晋一院長
うえむら・しんいち/阿蘇郡長陽村出身。1965(昭和40)年3月30日生まれの44歳。久留米大学医学部卒外科医。趣味はゴルフ、テニス。座右の銘は「縁」
活性酸素自動分析装置を導入
 同院はこのほど、活性酸素自動分析装置を導入した。県内中小規模の民間医療機関での導入は珍しいという。指先から採血し、短時間装置にかけるだけで、さまざまな疾患に関わるとされる体内の酸化ストレス度(活性酸素・フリーラジカルによる酸化的傷害)と抗酸化力(活性酸素・フリーラジカル消去能)が測定できるというもの。両測定値に応じ、Aゾーン(酸化ストレス度・正常、抗酸化力・正常)、Bゾーン(同・高い、同・正常)、Cゾーン(同・正常、同・低い)、Dゾーン(同・高い、同・低い)に分類・評価される。
脱・酸化ストレス宣言
 酸化ストレスとは、生体の酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れ、酸化状態に傾き生体が酸化的障害を起こすこと。上村院長は「メタボ症候群をはじめとする動脈硬化予備軍の洗い出しなどの医療分野のみならず、アンチエイジングなどの抗加齢にも応用していきたい。若中年対象に一般の健康診断ではわかりえない自分の酸化ストレスを知っていただきたい」と話している。
 では、酸化ストレスの少ない体・血液にするためにはどうすればよいのか。まず「食」をはじめとする日常生活の改善を同院では提案する。そのほか、『ビタミンC大量点滴療法』や、九州では同院が初めて導入、現在医療界で脚光を浴びている『オゾン療法』、『交流磁気療法』など、体内で眠っている人体の免疫力を向上させる効果を持つ自由診療も取り入れながら、ひとりひとりにマッチした医療を展開する。
地域におけるグループの役割
 南阿蘇では高齢化率が30%を超え、高齢者特有の医療やサービスが求められる。上村グループは『医療法人社団・順幸会』と『社会福祉法人・順和会』。グループ内の連携を強化するために、今年から2カ月に一度グループミーティングを開いている。「昨今、医療・介護難民の増加が問題視されている。地域での増加を少しでも食い止めることができるよう密に情報交換し、現状を把握しておくことが重要」と上村院長は姿勢を示す。
 同グループが担う役割には、これらサービスにとどまらない。グループ総スタッフ数は約200人という雇用の創出、医療報酬・介護報酬など、新しい動きに対する情報を俊敏にキャッチし実施するというフロンティア的要素も兼ね備えるのである。事実、重労働で低賃金といわれる介護福祉士などへの賃金改正で、今年度は計3万円アップ(4月に1万5千円、10月から介護報酬により1万5千円)し、いち早く職場環境の改善も図った。
健診バスで予防医学の普及を
 同院では、行政や地元企業で働く人々、農村を担う若者の健康や予防をバックアップするため、健診バスを2台購入した。特定健診や特定保健指導にも力を入れる。若い世代から正しい知識を備え、日常生活を見直し、病気を予防することが、疾患の早期発見につながる。それらを率先して推進することも使命と捉えている。
企業DATA
[所在地] 〒869-1401 阿蘇郡南阿蘇村立野185-1 
[TEL] 0967-68-0111
[FAX] 0967-68-0646
[資本金] 2600万円
[設立] 1979(昭和54)年4月
[事業内容]  [診療科目] 内科、外科、整形外科、人工透析、リハビリテーション科、泌尿器科、胃腸科、循環器科、脳外科、肛門科、心臓血管外科、歯科、人間ドック,訪問診療(居宅療養管理指導)・訪問看護・訪問リハビリテーション、健診センター
[従業員] 148人 [ベッド数] 88床 一般38床(うち亜急性期9床),療養50床(うち介護療養型20床)
[URL] http://www.asotateno.or.jp
[関連企業] 上村医院、居宅介護支援事業所たての、通所リハビリテーションすがる 社会福祉法人順和会/特別養護老人ホーム「陽ノ丘荘」、グループホーム「陽なたぼっこ」、デイサービスセンター「陽ノ丘荘」

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※この記事内容は、くまもと経済EX:2009年7月1日発行分の掲載内容です。