トップ Companies くまもと経済EX 2009 「お客様第一主義」を貫き、医療事務IT化を推進
くまもと経済EX 2009

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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医療・医療関連・教育
「お客様第一主義」を貫き、医療事務IT化を推進
叶シ日本メディカル
レセコンの県内シェアトップ企業
 医療事務用コンピューターシステム販売の叶シ日本メディカル(熊本市平成3丁目)は、昭和51年の創業以来、熊本県におけるレセプト(診療報酬請求用)コンピュータメーカーのパイオニア企業として、県内シェアトップの座を誇っている。
 今年4月から、介護関係の改正と診療所のオンライン請求の義務化がスタートした。「こうした時期こそ、私ども全社を挙げて、サポート体制を採っていく」と語る辻社長。医療機関、保険調剤薬局などに対するサービスの質の低下を防ぐため、営業スタッフの増員や、お客様にストレスを感じさせない迅速な対応をするためにサポート部門の人員も増やすなど体制の強化を進めている。こうした対応が多くの顧客に支持されている理由の一つで、電子カルテの運用実績が永年県内トップを誇るのもうなずける。創業期を経て、第二創業期に入った同社は、辻社長を先頭に社員一丸となってこれまで30年間余にわたり築いてきたユーザーとの信頼関係に、さらに磨きをかけている。

辻正治社長
つじ・まさはる/1969(昭和44)年9月25日生まれの39歳。熊本市出身。辻詔一郎会長の長男。熊本商科大学付属高校−熊本電子ビジネス専門学校情報処理科卒。90年三洋電機入社、主に商品の企画・開発を担当する。97年に企画室長。趣味はスポーツ全般。「義理を欠かさない。人情を忘れない」が生活信条であり仕事のスタンスでもある。
「電子カルテ」が医療IT化の主役に
 国の総医療費抑制が大きな流れとなり、医療機関の経営環境も大きく変化している。こうした中、医療IT化のメインツールとして注目されているのが「電子カルテシステム」。レセプトコンピューター導入による院内業務の効率化は、既に医療経営のスタンダードとなっており、辻社長は、「医療IT化のポイントは、“患者主体の医療”を実現するメインツールとなる電子カルテの活用」と見ている。
 この“患者に選択してもらえる医療機関”となるための有効な対策の一つが、電子カルテ導入によるインフォームドコンセントの推進である。検査や治療の結果を画像やグラフで、受診者に分かりやすく提示できるのが電子カルテの大きな特徴であり、コミュニケーションも図れる。「様々な診療・検査機器との連携が進み、患者データを一元的に管理する方向にある電子カルテは、これまで以上にインフォームドコンセントの推進能力を高めている」と辻社長は話している。
 2008年4月からは、一定の猶予期間を持ってレセプトのオンライン請求が義務化されたため、医療機関、薬局ではレセプト電算処理システムの導入が必要となっている。「経営環境が厳しさを増す中、各医療機関も“受診者に選ばれる医療機関”になれなければ生き残れません。レセプト電算化や電子カルテ導入など、当社が先生方のお役に立てる環境は広がっているとも言えます」と、時代の変化に応じたサービスを心掛ける。
信頼のアフターフォロー体制
 医療IT化の主役になると見られている電子カルテシステムだが、運用するのは「人」である。そのため辻社長は、「ドクターやスタッフなど使用する側の要望を反映させた形での保守・メンテナンスの専門的なスキルと、一定数のスタッフを揃えたバックアップ体制が必要」と企業としての総合的な運用サポート体制の必要性を指摘する。
 創業以来、同社は病医院や調剤薬局との信頼関係の構築に努めてきた。県内業界では同社だけが開催している医療機関関係者を対象とした説明会も、今回は3月に『経営分析セミナー』と『レセプト電算処理システム』のテーマで開催した。こうした積み重ねが、病医院関係者の間で評価の高いアフターフォロー体制を生み、同社への信頼の基礎となっている。
現場主義でサービス向上へ
 辻社長は、06年9月に創業者である父・辻詔一郎氏(現会長)からバトンタッチを受け、社長に就任した。「就任して約3年が経つが基本は現場主義。私自身がお客様の声を直接うかがう機会を増やしている」と精力的に出向いていく。「ドクターや調剤薬局経営者などにお目にかかって直接聴く話は大変勉強になる」と顧客の意見や要望を社内にフィードバックして、サービスの向上に生かしている。
『お客様第一主義』を実践
 業界内の競争も激しくなっており、県外企業の参入で価格競争にもなってきた。こうしたときこそ同社が掲げる“安心と信頼”の経営理念が光を放ってくる。「価格は安いが、アフターフォローなしの売りっ放しという無責任なビジネスはしたくないし、長続きもしません。先生方との間に信頼に裏打ちされた永続的な関係を築けるとは思えません」と辻社長は言い切る。専門知識を持った自社スタッフによる安心感のあるサポート体制の提供がまず基本にあり、その上で初めて『電子カルテ』など病医院の健全経営に向けた新システムの提案が可能となる、というのが辻社長の考え方であり、「万全のサポート体制の上にしか、“先生方のお役に立てる西日本メディカル”は存在しません」と徹底した『お客様第一主義』を採っている。
 加えて辻社長は、もう一つの企業像を持っている。それは「地域に貢献できる会社を目指す」ことだ。「スタッフともに常にお客様のそばにいて、頼りにされる存在でありたいと思う。会社も私自身も熊本に育てられた。多くの先輩方にもお世話になっており、皆様に何とかお返しをしたい」。この気持ちが、会社も辻社長自身も大きく飛躍させる原動力となっている。

辻詔一郎会長
つじ・しょういちろう/1942年(昭和17年)10月8日生まれ66歳。熊本市出身。県立済々黌高校卒。昭和51年、日本メディコムの特約店として個人創業。「機械を売るのではなく、人間性を買っていただけ」「買っていただいた時から、本当のお付き合いが始まる」が信条
企業DATA
[所在地] 〒860-0833 熊本市平成3丁目16-13
[TEL] 096-379-6611
[資本金] 1,000万円
[設立] 1978(昭和53)年2月 
[事業内容] 医療事務用コンピュータ「サンヨーメディコム」の販売、電子カルテシステムの販売、メンテナンス、プログラム開発、情報処理サービス、医療事務養成校「日本メディコム学院」の運営、医療事務に関するコンサルティング業務
[年商] 4億8,000万円(平成21年6月期)
[代表者] 辻詔一郎会長 辻正治社長
[従業員] 30人
[URL] http://www.n-medical.co.jp/
[関連企業] (有)ワーク情報システム

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2009年7月1日発行分の掲載内容です。