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くまもと経済EX 2010

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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運輸・建設・不動産
〜2021年、100年企業へ〜
九州・熊本 随一の歴史を誇る観光タクシー
褐F本駅構内タクシー
大正10年創業の老舗企業、来年90周年へ
 褐F本駅構内タクシーは1921(大正10)年創業の老舗企業で来年には創業90周年を迎える。
 日本国有鉄道(現JR)熊本駅前で3階建ての観光旅館「春日屋旅館」を営んでいた創業者稲葉延四郎氏はT型フォード3台を購入して個人営業の許可を取得、熊本はもちろんのこと九州で最も早く開業した。
 「熊本の玄関を預かる責任者として、お客さまにお喜び頂く親切日本一なタクシー会社になろう」これは延四郎氏の決意・創業の精神であり、1世紀弱の年月が経った今も脈々と受け継がれている。
「親切日本一を目指して安心のスーパーシートをご提供」
 1985(昭和60)年、延四郎氏の孫に当たる稲葉伸一郎社長が4代目の社長に就任。経営理念の「親切日本一を目指して 安心のスーパーシートをご提供」や基本方針「日々新たな革新への挑戦」を掲げ、全社一丸となって来年の新幹線全線開業さらには11年後の100周年を見据えた挑戦を続けている。
 社会のニーズに敏感な同社のサービスは先進的かつ革新的で他の追随を許さない。クレジットカード決済、ポイントカードなどすべて熊本で最初に取り入れた。車内外にドライブレコーダーの全車両搭載を計画し「事故ゼロ」を同社のブランド化まで高めて行く。車体の外装を高級感のある黒塗りに変更した同社だが、他が追随すれば、今度は熊本の観光名所などのイラストをデザインしたラッピングタクシーをデビューさせた。郷土色豊かなラッピングタクシーは観光客や外国人はもちろん、市の観光課などからも喜ばれたという。
 そのほか介助タクシーやストレッチャーのまま移動出来る病院車なども用意、一人ひとりの細やかなニーズにも対応している。「福祉関連の車両は採算面ではなかなか難しいものがあります。しかしタクシーは、困られたときに使うものです。そうしたお客さまの必要性に適応するのが私達の仕事だと思っています」と、タクシー事業者の使命・目的だと語る。
プロフェッショナルな観光ドライバー
 本物のプロドライバーに育てるため接客教育や観光教育、地理教育、態度教育を重んじ、徹底した指導を行っている。社員の半数以上が熊本・観光文化検定を取得、新幹線開通までには135人すべての取得を目指す。「熊本の玄関をお預かりしている私たちは、県人の代表として最初に出会う責任あるプロドライバーです。その自覚を強く持って最高のおもてなしをする必要があります。新幹線全線開通で県外からのお客さまが増えると思いますが、熊本に来てよかった、と感じていただけるようサービスをさらに進化させ、熊本の観光立県をサポートしていきたい」と熊本の観光に対する熱い思いが滲み出る。
地球に優しいタクシーづくり
 また同社では地球の未来のためにECO対策に積極的に取り組んでいる。全車両にEMS(エコドライブ管理システム)機器を装着し、国土交通省と目標数値を定めCO2削減に取り組んでいる。07年〜08年では前年比5%の燃費省エネ目標をはるかに超える約15%もの省エネを達成。そのうえ09年にはCO2排出が少なく環境にやさしいハイブリッド車プリウスを3台導入した。
 稲葉社長は「環境に対する社会的使命から取り組み始めたのですが、目標を大幅に上回れたのは、全社員一丸となって取り組んでくれた結果だと思う。アイドリングストップなどのエコドライブを推進することで地域環境に貢献していきたい」と話す。
民間のリーダーとして熊本駅前再開発を引っ張る
 同社は09年4月に熊本駅前東A地区再開発に伴って本社を熊本市春日1丁目から同市田崎本町に移転しているが、稲葉社長自身も民間のリーダーとして再開発に携わっている。現在行われている「熊本駅前東A地区第二種市街地再開発事業」の前身である準備組合の理事長を93年から05年まで務め、13年もの長い間地権者との交渉にあたった。複雑な問題が山積している中、相当な労力と資金も投入したという。その後、市の施行に切り替わり、熊本駅前東A地区の新しい街並みはその姿を見せつつあるが、その発展を支えた氏の功績を忘れてはならない。
 「駅前はお客さまをお迎えする玄関口ですから、やはり文化的施設の充実が不可欠。加えて居住性のあるマンションや市の公共施設に情報交流施設と長年温めてきた構想が実現しつつある。開業まで残りわずか、官民一体となって熊本を盛り上げていきたい」−。言葉に力を込める稲葉社長の瞳には「熊本の明るい未来」が映っている。
profile
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稲葉伸一郎 社長
いなば・しんいちろう/熊本市出身。1949(昭和24)年12月1日生まれ、60歳。熊本商科大学付属高校(現・熊本学園大付属高校)−日本大学商学部卒業。76年入社。85年、35歳の時に代表取締役社長就任。熊本商工会議所観光振興委員会副委員長。熊本経済同友会幹事、インフラ整備部会副部会長、IT活用部会運営委員、地方行財政部会運営委員。(社)熊本青年会議所第35代理事長(89年)。また霊山歴史館(京都)で開かれる鞄本創造教育研究所主催の「社長塾」で7年間論語を学び、同社の講師を務めるなど中小企業の社員育成にも力を注ぐ。趣味は読書、音楽と映画鑑賞。座右の銘は「一以て之を貫く」。
企業DATA
[所在地] 〒860-0052 熊本市田崎本町8-30
[TEL] 096-352-4325
[FAX] 096-353-5068
[資本金] 1,000万円
[設立] 1940(昭和15)年 [創業] 1921(大正10)年
[事業内容] 一般乗用旅客自動車運送事業
[従業員] 135人
[URL] http://www.kounai.co.jp/
[関連企業] 鋸a興商事、蛎iaiaiくまもと観光

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2010年7月1日発行分の掲載内容です。