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くまもと経済EX 2006

熊本の明日を拓く未来創造企業 100の戦略

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電力・運輸・建設・不動産
多様化するニーズ見極めソフトとハード両面の充実図る
昭和タクシー(資)
公正なサービス提供に向け環境整備の重要性説く
 バブル経済の崩壊後、景気の低迷とともにタクシー利用者が減少している。運賃収入は低迷し、比例して乗務員の給与収入も依然減少傾向にあるという。タクシー業界における規制緩和が始まった2002(平成14)年2月以降は、タクシー事業への新規参入や既存業者の増車による営業車両台数の著しい増加を背景に、営業エリア確保のための違法駐停車や威力業務妨害等の違法行為、さらに顧客確保のための違法な料金値引き合戦など、数多くの問題を抱えるようになった。劣悪な労働環境による乗務員の質の低下も懸念されている。
 このような状況下、角谷会長は「輸送の質の確保のためには、行政による新規事業者や増車への規制が必要なのでは」と語り、違法行為を行う業者・乗務員を業界から排除すべく、乗務員登録制度の発足や業務適化センターの設置などを訴える。また、「適正な営業車両数と業者数で労働環境を整えなければならない」とし、公正なサービス提供に向けた環境整備の重要性を説く。
サービスの向上第一義に乗務員の教育・育成に尽力
 熊本市南西部を中心に営業活動を展開する昭和タクシー(資)。1955(昭和30)年の創業以来、地域拠点の拡充を図り、輸送実績を着実に積み上げている。角谷会長は、顧客へのサービス向上を第一義とし、その実現に一意専心。社員の就業環境の充実がまず必要との立場から、就業意欲を高めるために利益配分給与システムの研究に取り組み、独自の利益配分方式を盛り込んだ給与体系を採用。利益の分配を実践し、努力する社員への給与面での処遇を行っている。
 「顧客の信頼に、より高い次元で応えるために、乗務員の教育・育成には特に力を入れている」と語る角谷会長。優良な乗務員を新たに確保するため、今年1月には新規採用を担う新部門も設置した。「毎月定期的に行う社員教育セミナーなどを通し、乗務員の教育と質のさらなる向上を図りたい」と、固定客確保に向けた布石も忘れない。
各部署業務の電子化を推進
 1994(平成6)年8月、熊本市近見の国道3号沿いに日吉営業所・配車センターを新設。同市野田の本社機能を移設し営業を開始した。ステンレス鋼板をドーム型(アーチ状)にした銀色の屋根が特徴の同センターでは、1階にタクシーの待機場・点検場を設け、2階に事務室と通信室、食堂、休憩室などを配置。シャワールームや男子専用バスのほか、今後増加が見込まれる女性ドライバー対策として、女性専用のビューティールーム(洗面所)や更衣室、シャワー室を設けている。同社が女性ドライバーを積極的に採用する背景には、こうした福利厚生面の充実も大きな理由の一つに挙げられる。
 同営業所の完成により、各タクシー車両の情報を一元的に管理することで、配車指令が効率的に行えるようなった。現在、業務の合理化・簡素化とリアルタイム情報の確保を目的に、各部署業務の電子化を推進中。従来型の人的手腕に頼っていた配車システムを見直し、コンピューターによる新たなネットワークを構築。様々な条件を考慮した、最適な配車プランを創出できる包括的システムが完成する日も、そう遠くはない。これも、顧客に質の高いサービスを適時・迅速に提供するための取り組みの一つといえる。
規制緩和は新たなビジネスチャンス
 2001年、タクシー事業が免許制から許可制に移行し、同業界にも規制緩和による急速な自由化のうねりが押し寄せた。同社はこの本格的な自由競争時代への突入を前に、00年12月、ポイントカードサービス事業を開始。顧客の固定化を図り、リピーターへの還元と販路の拡大を図った。同サービスは、乗車金額500円ごとにスタンプを1個捺印、20個集まれば乗車券500円分、40個で乗車券1,000円分を提供するもの。開始から6年目を迎えた今でも、顧客からの評判は上々のようだ。
 規制緩和を新たなビジネスチャンスととらえる同社。02年4月には、得意先からの強い要望に応え、タクシー車両を使用した24時間体制での代行運転サービスを開始した。タクシー伴走によるこの代行運転サービスは、タクシー料金が4,000円未満の場合代行料金はプラス800円、同様に4,000円以上でプラス1,000円、7,000円以上でプラス1,500円という料金システム。「当サービスは、時代の要請でもある」と語る角谷会長は、同事業を「将来性が十分に見込める分野」と位置付け、新規需要の開拓に努めるなど積極展開の姿勢を崩さない。全車代行運転保険に加入している安心感、さらにプロドライバーによる安全性が受け、顧客からは利便性の面でも高い評価を受けている。
“安心”と“利便”を提供地域から信頼される会社へ
 同社は、迅速な移動に有用な小型車を主力に、乗員含め10人が乗車できるジャンボタクシーや、車両後部にリフトを備えた患者搬送用の福祉タクシー、VIP送迎にも対応する大型車など、計66台を保有する。99年9月には、他社に先駆けて、県内初となる禁煙タクシーも導入した。
 車両バリエーションの豊富さは、多様化するニーズに応えようとする同社の姿勢そのもの。「タクシーの営業を通して、地域の方々に“安心”と“利便”を提供していく。当社の運輸業務におけるノウハウとシステムを存分に活用し、地域で最も信頼されるタクシー会社を目指したい」と熱っぽく語る。
企業DATA
[所在地] 〒861-4114
[TEL] 096-357-9678
[FAX] 096-357-9679
[資本金] 140万円
[設立] 1955(昭和30)年3月
[事業内容] 一般乗用自動車旅客運送事業(タクシー業)
[代表者] 角谷 キヨ子
[従業員] 132人
[URL] http://www.showa-taxi.co.jp
[E-Mail] info@showa-taxi.co.jp

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2006年7月1日発行分の掲載内容です。