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くまもと経済EX 2010

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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運輸・建設・不動産
創業30周年。「明和スタイル」によるビジネス展開で未来へ飛躍
竃セ和不動産
30年間着実に前進2010年も躍動の年に
 今年で創業30周年を迎えた竃セ和不動産(熊本市辛島町、川口雄一郎社長)。5月に開催された創業30周年記念パーティーでは、約900人もの出席者を前に壇上に上る川口社長の姿があった。
 「たくさんの人の協力と支え、見習うべき人との出会いがあり、30年間続けられた。入居者、事業主、社員、パートナー企業を大切にし、地域に支持される会社でありたい」川口社長の創業からの変わらぬ信念により、30年間着実な前進を続け、独自のビジネススタイルを確立。そして九州新幹線全線開業を間近に控えた2010年も、『明和スタイル』によるさまざまなビジネスを展開。同社にとって躍動の年になろうとしている───。
通町筋の飲食テナントビルが来春オープン
 まず注目されているのが、現在通町筋に建設を進めている飲食テナントビル。何より入居者が「ここに店舗を出店したい!」と思えるような環境にすることを念頭に置き、デザイン・施工されるこのビルは、間口を広くとり、フロアごとに天井を高くしているのが最大の特徴。下通りの入口角にエントランスやエレベーターを設け、ビル上方の壁面にはLEDで時刻を表示する機器を設置する予定。また、道向かいの同社自社ビル(アパマンショップ上通店)に設置しているビジョンを活用したサービスを考案中。これらは全て来店促進に繋ぐための仕掛けであり、ビルを訪れる人々を楽しませる仕掛けにもなるだろう。
 「消費者心理がわかるのは地権者ではなく、消費者目線を捉えられる営業側の人間だけ。入居者や来店客のニーズを把握したテナントを用意することが不動産業者の任務。入居テナントは現在全くの白紙だが、熊本の美味しいものを食べられる飲食店に入ってもらい、地元の方にも観光客にも熊本の良さをPRできるビルにしたい」と語る川口社長。新たな注目スポットとして、中心市街地への集客が期待される。
12月に福岡進出『明和ブランド』の商材を続々創出
 今年12月には、福岡市中央区薬院に福岡店出店を予定。熊本の不動産業者では初の福岡進出となる。「やがて熊本と福岡は商圏としても際がなくなり一体化するだろう。当社で展開するコンテンツは福岡にはないもので、その斬新さが武器になると考える。入居者の気持ちさえ捉えられれば、場所はどこであれ関係ない。積極的に福岡市場を切り拓きたい」と意気込む川口社長。
 今年1月からは「チョイス」という新たな部屋選びサービスを開始。壁紙、天井、カーテン、照明などを入居者がカスタマイズチョイスでき、他にはない自分だけの空間を作れるというものだ。最近では「ハル・インテリア・ステッカー」という、何度も貼って剥がせるステッカーの取り扱いを開始。壁、窓、家具などに張ることで、自由に部屋をデコレートできるもの。入居者は自らの感性やこだわりを表現でき、オリジナリティに溢れた世界に一つだけの部屋を作れるのだ。
 さらに新たな商材として打ち出すのがメゾネットタイプのコンセプト賃貸マンション「Lキューブ」。居室を横並びではなく上下に作ることで間口を広く取らずに済み、空間を有効活用している。この居室の配置がプライバシー面を強化し、採光・防音面を向上させた。共用灯はLEDを使用し環境配慮も怠らない。初期費用がかからないように全室照明器具とエアコンをつけるなど、入居促進に繋げるためのサービスを展開する。
 「これまでは利回り重視の画一した居室が多かった。入居者が選択でき、長く住んでもらうことをコンセプトに、多種多様なニーズに応えられる物件を生み出したい」と方針を語る川口社長。今年12月に向けてコンシェルジュ付きの賃貸マンションも準備中。今後も入居者が思わず住みたくなる『明和ブランド』の商材が次々と誕生していきそうだ。
日報ソフト「CMS」導入で不動産会社の利益向上へ
 九州新幹線全線開業で商圏の際がなくなり、さらには昨今のIT社会において情報の際もなくなると考える川口社長。同社では07年に賃貸斡旋業務を効率化する「AOS(アパマンショップ・オペレーション・システム)」を稼動、現在は賃貸管理業務の一元管理システム「ATS(アパマンショップ・トータル・システム)」の稼動準備を進めている。「ATS」とは入居者のデータや明和不動産のグループウェア、オーナーの情報を一元管理し、管理会社の生産性向上に大きく貢献するシステム。この2つのシステムと連動させるのが、現在導入準備中の日報ソフト「CMS(賃貸管理マネージメントシステム)」。不動産会社の営業支援、利益向上を目的に全国賃貸管理ビジネス協会(本部・東京都)から販売されるもので、経営者における数字管理が一目瞭然となる新システム。「業務の見える化」、「数字の見える化」を目指した川口社長のアイデアがフルに生かされている。現在特許申請中で、同社では全店に導入することが決定している。
 「今後入居者、管理会社など皆が情報共有でき、情報の際がなくなってくる。本社で一元管理できることからも、場所はどこであろうとビジネス展開は可能になる」と語る川口社長。次々に生まれる情報を素早く、そして的確に入手し、ビジネスに生かす川口社長の姿勢が、同社の発展の源となっているようだ。
過去最高利益を目標にさらなる高いハードルに挑む
 今期過去最高利益を出すことを目標に掲げる川口社長は、今こそさらなる投資をするべき時だと踏み、特に人材教育には注力している。「社員に対し研修、ロールプレイングを毎週行っています。営業はまさに科学。聞く力・企画力・提案力・クロージング力、これらを身に付けるため営業教育に取り組んでいますね。知恵を出し、汗を流す大切さを伝えたい」と語る川口社長。
 常にメリットとデメリットを話して説明責任を果たすことを重視し、業務内容日本一の会社を目指すという川口社長。会社を発展させようという情熱と、さらに高いハードルに挑む姿勢を感じさせられる。今年度末にかけて、或る『大型プロジェクト』を進行させている同社。「九州に明和あり」と全国から認識される日も遠い将来ではなさそうだ。
profile
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川口雄一郎 社長
かわぐち・ゆういちろう/昭和27年8月29日、熊本市薬園町生まれ、57歳。熊本商科大学(現熊本学園大学)付属高校卒。昭和49年兜カ明建設入社。昭和56年明和不動産創業。今年5月に(社)全国賃貸住宅経営協会の会長に就任
企業DATA
[所在地] 〒860-0804 熊本市辛島町4-35ラ・シック辛島
[TEL] 096-322-5555
[FAX] 096-322-8706
[資本金] 7160万円
[設立] 1986(昭和61)年4月
[事業内容] 不動産賃貸・斡旋・売買、資産運用コンサルティング
[従業員] 180人
[関連企業] 竃セ和アシュランス、竃セ和プランニング、竃セ和ファンド、竃セ和エステートリース、滑ヌ理センター

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※この記事内容は、くまもと経済EX:2010年7月1日発行分の掲載内容です。