トップ Companies くまもと経済EX 2006 高い品質と豊富なノウハウで“4PL”事業の構築にも意欲
くまもと経済EX 2006

熊本の明日を拓く未来創造企業 100の戦略

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高い品質と豊富なノウハウで“4PL”事業の構築にも意欲
熊本交通運輸
06年売上高は対前年4.4%増の54億円
 1972(昭和47)年に誕生した熊本交通運輸梶i上益城郡益城町、住永金司社長)は、「長距離輸送」、「倉庫」、「専属専門輸送」を事業の柱として、着実な成長を遂げている。
 業界を取り巻く環境は、軽油価格の異常な高騰、各種法令・条例の変更、輸送単価の下落など、厳しい状態が続いている。そんな中、同社の06年3月期決算の売上高は54億円で、対前年比4.4%増の伸びを見せた。「昨年度は倉庫事業が好調だったため、なんとか売上高が前年を上回ることができました」と住永社長は増収の内容を明かす。
 同社は1978年に熊本輸送団地内に入居後、1980年に同地に初めて倉庫を建設。1994年、97年には八代市港町、同鏡町、福岡県糟屋郡に相次いで建設し、2001年益城町に、同社物流部門の要ともなる益城物流センターを開設した。さらに昨年4月には嘉島南工業団地、今年4月には広島県三次市のみよしハイテク団地に相次いで倉庫を設置した。
倉庫事業から派生した精密機器の一貫輸送事業
 住永社長は「当社の倉庫業は単なる倉庫ではありません。基幹の運輸事業から派生した事業なので、どの倉庫でも24時間の入出庫が可能です。さらに商品保管・管理など、荷主様のニーズに的確に対応できます」と同社の倉庫事業の特徴を説明する。中でも益城物流センターを起点に一昨年から始めた精密機器の一貫輸送は、大きな伸びを続けている。
 同社では半年以上の期間をかけ、同事業に携わる人材を育成したほか、専用車両(13トン・総輪エアサス・空調、落下防止パワーゲート、GPS搭載など)を導入。デリケートな商品に対し、安心できる輸送・荷扱いの豊富なノウハウ、そして最適な据付・レベル調整までの一貫した作業などが評価され、半導体製造装置、同検査装置、各種医療機器と、取り扱い内容も多岐に渡ってきた。取引先も、国内はもとより韓国、台湾、北米にまで拡大している。「倉庫には積極投資を行いたい」と話す住永社長は「今年度中には県内に新しい倉庫を開設したい」と意欲的だ。
花き類輸送、観光バス事業にも着手
 また昨年には全県下での「花き類」の集荷・輸送を開始した。商品自体が少量多品種であること、また生き物のため徹底した温度管理などが必要なことなどから、「花き類」の輸送には特別なノウハウが必要になってくる。しかし各種輸送で培った高い技術と「郷土・熊本の生産品をぜひ全国市場に届けたい」という住永社長の商品に対する深い愛着で、実績を積み重ね、現在では生産者からの信頼も厚い。
 今年4月からは観光バス事業にも着手。熊交観光バス鰍設立し、大型(53人乗り)3台、中型(29〜34人乗り)4台を保有。うち4台には熊本城築城400年のラッピングを施し、観光振興にも一役買っている。
既存のノウハウをベースに「4PL」へ挑戦
 住永社長は「4PL(フォース・パーティ・ロジスティクス)事業にも取り組んでみたい」と新規事業の方向を明かす。「4PL」は優れた「3PL(企業の流通機能全般を一括して請け負うアウトソーシングサービス)」の
ノウハウを持つ物流企業が、別の物流企業にそのノウハウを伝授すること。すでに、社員に独自研修を実施し“提案営業”を展開している同社では、現場で集めた情報を基に、それぞれ取引先独自のロジスティクスを開発している。このノウハウをベースに、より高いステージへの挑戦を目指す。
 「今年の目標は前年比で“プラマイゼロ”です」と笑う住永社長だが、運輸業の今後については「厳しさはますます大きくなると思います」と表情を引き締める。同社では内部体制強化の一環として、今年中に福岡営業所の分社化を計画している。「今一度、原点に戻り、それぞれ仕事の内容を精査したい。本当にお客様から満足いただいているのか、仕事の質は上がっているのか、これらを見極めた上で次のステップに踏み出したい」(住永社長)と、事業全般を見直した上で、多角化する本社事業部の分社化も視野に入れている。「お客様の繁栄が当社の繁栄につながると考えています。そのためにも分社化を含め、社内の管理体制を再構築し、“仕事の質”を磨きたい。そして物流を通して地域の発展に貢献したい」と止どまることなく、一歩一歩着実に歩を進める。
企業DATA
[所在地] 〒861-2212上益城郡益城町黒石崎2240
[TEL] 096(286)2304
[FAX] 096(286)8486
[資本金] 9,000万円
[設立] 1972年4月
[事業内容] 一般貨物自動車運送事業、貨物運送取扱事業倉庫業、通運事業、産業廃棄物収集運搬業、バス事業
[年商] 83億円(グループ)
[代表者] 住永金司
[従業員] 530人(グループ)
[URL] http://www.kumako.co.jp/
[出先] 東京事務所、中部(三重)営業所、広島営業所、福岡営業所、益城物流センター、八代支店、鏡営業所、鹿児島営業所
[関連企業] 熊本旭運輸求Aサンコー・コミュニケーションズ梶AKMKコーポレーション

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※この記事内容は、くまもと経済EX:2006年7月1日発行分の掲載内容です。