トップ Companies くまもと経済EX 2010 世界の人に熊本の味を、世界の各地で味千拉麺
くまもと経済EX 2010

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

■医療・医療関連・教育  ■サービス 
■金融・卸・飲食  ■情報通信・ICT関連  ■運輸・建設・不動産  ■製造・農業 
金融・卸・飲食
世界の人に熊本の味を、世界の各地で味千拉麺
重光産業
「味千拉麺」を熊本発のグローバルブランドへ成長目指す
 日本も含め13の国と地域に暖簾が広がる味千拉麺は、その数600店舗になり海外でもその看板とイメージキャラクター「チィちゃん」にばったり出くわすことも珍しくなくなってきている。今年は「味千拉麺」をグローバルブランドに成長させるべく、本部と各国のFCオーナーとが意識を統一しブランドのブラッシュアップに余念がない。店舗数も着実に増え、最近でもカナダのトロントにオープン、オーストラリアのアデレード、マレーシアのクアラルンプールとジョホールなど出店地はバラエティーに富んでいる。
 そうした中で象徴的なのが、5月から世界の耳目を集め多くの来場者でにぎわう上海万博に「味千拉麺」の店舗が参画していることだ。1日に多いときで6000人が来場し4000杯近くが食されている。まさに世界の祭典の中で熊本の味が紹介される、ミニ熊本パビリオンといったところか。店舗は重光産業とライセンス契約を結ぶ味千(中国)HDが出店しているものだが、万博での成功で各国からの問い合わせが増えることが予想されると本部国際部は予想する。
 そんな活気溢れる上海から、6月初旬に中国味千の社長含む幹部スタッフ約30人が来熊。福岡空港からバスで熊本本店の視察に直行した一行は、旅の疲れも見せずバスから降りるなり店舗前で記念撮影を開始。さらに店内に入ると今度は味千拉麺や餃子などを注文し、真剣な表情で箸を進め味や風味の確認を怠らなかった。香港の市場に上場し、店舗数を破竹の勢いで伸ばす中国味千だが、そのスタッフの味千発祥の地である本店に対する敬意や、元祖の味への深い探究心をみると今後のグローバルチェーン展開に曇りはないと感じた。
直営店オープンなどで国内店舗の基盤も強化
 グローバル展開を支えるには、国内店舗の充実が不可欠。同社では5カ年計画の中で直営店のオープンも着実に進めている。昨年6月の県内「光の森店」に続き、8月に福岡県直方市のショッピングセンター「イオンモール直方」内に「イオンモール直方店」をオープン。さらに11月には県内「富合店」を国道57号沿い、九州新幹線熊本総合車両基地東側にオープンした。また今年の2月には長崎1号店となる「ミスターマックス時津店」を同地の「ミスターマックス時津ショッピングセンター」敷地内にオープンし、味千拉麺ゼロ地帯にも出店し挑戦を続けている。
 そうしたハード面の充実に加え、新商品・新メニューの開発にも力を入れる。これまでお土産拉麺などには登場していた「カレー拉麺」を、期間限定で店内メニューに追加するなど味千ファンの要望に柔軟に応えるよう努力している。
 また、今年3月に熊本製粉とコラボで開発した米粉の新メニューにおいては、同社の思いもひとしおだった。同社の先代社長の出身地、台湾では米粉を使った麺料理がポピュラーで米粉麺の拉麺に挑戦した過去があった。今回は「米麺馬肉炸醤麺」と「熊本こめ拉麺」の2種類を期間限定の販売となったが、どちらも米粉特有のつるつるでもっちりとした新食感が好評で、今後もメニュー化に取り組んでいきたいとしている。
 そのほか、安全安心な食の供給の理念のもと、3年前から取り組んでいるニンニクの栽培も順調。委託栽培ではじめた無農薬のニンニクを、本社社員らが週末を利用して泥汗にまみれながら今年も無事収穫された。収穫したニンニクは商品の一部に採用される予定だ。熊本拉麺の要の一つと言って過言ではないニンニクの栽培という取り組みには、少しずつではあるが、出来ることから一歩一歩進めたいとする同社の方針をうかがい知ることができる。
西原の春雨工場引継ぎ自社ブランドで販売開始
 今年1月から、他社より受け継いだ西原村にあるはるさめ工場を同社西原工場として稼動。さらに商品ブランドを「皇帝はるさめ」「皇帝くずきり」に統一し、消費者への普及・浸透を図る。ブランドイメージには、力強く安心・安全を追求し、高品質の商品開発を進めるという決意を表しており、同社の意気込みを感じる。
 約3500uの敷地に建つ約1400uの工場は、ISO14001、ISO9001のほかHACCP認証を受けており徹底した品質安全管理のもとに稼動している。春雨やくずきり商品は、家庭向けや業務用など多様なラインナップが揃うが、特に国内産はるさめは学校給食などからの引き合いが多く九州内外に発送している。当然のことながら、味千拉麺の国内店舗で提供する太平燕などのはるさめも同工場で製造したものを供給している。
 また、7月には、新商品「皇帝太平燕 和風はるさめスープ」を発売。原料には国産しょうがやごま、しいたけ、ミツ葉を使用。科学調味料や保存料を使わない安全安心で、はるさめを使ったヘルシーな熊本ブランドとして太平燕を全国に販売していく。
 同工場の金子健統括部長は「国内の工場生産という安心安全を付加価値に、様々な商品開発にチャレンジして消費者の方においしいはるさめ商品をお届けしていきたい」と話した。
 国内外のあらゆるシーンで多彩な展開を見せる重光産業。熊本生まれの「味千拉麺」をキーワードに、今後も大きな可能性のもとグローバルな展開が期待される。
企業DATA
[所在地] 〒861-8031 熊本市戸島町920-9 熊本コスモ工業団地
[TEL] 096-389-7111
[FAX] 096-389-5410
[資本金] 1000万円
[設立] 1972年7月  [創業] 1968年3月
[事業内容] 味千ラーメンチェーン展開 ラーメンスープ・食堂用原材料の製造 第2のブランドとして創業当時の味を再現した「拉麺 劉」を第二空港線沿い、福岡のキャナルシティ内「ラーメンスタジアム」で運営。また、新業態のチャンポン専門店「千のちゃんぽん」を展開する。
[年商] 16億8千万円
[URL] http://www.aji1000.co.jp/
[出先] 国内・102店舗 海外・498店舗(10年6月現在) 合計600店

[採用情報]
現在、登録がありません。
※この記事内容は、くまもと経済EX:2010年7月1日発行分の掲載内容です。