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くまもと経済EX 2011

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熊本発、地域活性へ向けた 新たな施設。「たまご庵」に込める 農業生産法人の挑戦
農業生産法人 潟Rッコファーム
農業生産法人潟Rッコファーム(菊池市森北、松岡義清社長)は、
今年に入り複合商業施設「たまご庵」をオープンした。
物産館やレストランを併設し、連日利用者で賑わいを見せる。
この施設には、商業利用に限らない様々な仕掛けや特徴が込められている。
そこに秘められたコッコファームの思いとは。
「60歳現役スタート」
 今年1月、菊池市森北の国道325号沿いに熊本発の地域・農業活性化をテーマにした一つの施設がオープンした。名称は「たまご庵」。運営を手掛けているのは行政などではなく、養鶏業を中心にこの地で地道に業を営んできた農業生産法人潟Rッコファーム(菊池市森北、松岡義清社長)だ。
 2階建てのシックな建物は、一見レストランや物産館を持つ“道の駅”的な施設と捉えられがちだが、その内部には“地域活性”を実践するために様々な仕掛けが盛り込まれている。
 開店前から「朝どりたまご」を中心とした商品を目当てに来店客が列をつくる物産館では、早朝から地元の生産者が畑で採れた新鮮な野菜や加工品を持ち込む。その生き生きとした表情からは、生産者の充実した気持ちが見て取れ、生産現場での活力にもつながっている。そのほかにも店内には野菜や鶏肉の加工品からお菓子に至るまで豊富なラインナップが並び来店客を飽きさせないが、特筆すべきはそうした商品の一部を加工する農産加工室だ。
 直売所に隣接する場所に設けられた農産加工室では、60歳を超えた地域の人々が多く働く。「60歳現役スタート」を掲げ、リタイア後の雇用の場を作ると共に、そうした人々の貴重な経験を生かしてもらうのが狙いだ。同社ではこれに留まらず、社内で年齢別に「ニューリーダーの会」と「シルバーライフの会」を組織し、交流や研修を通じて世代間を越えた技術や知識の継承を実践している。
 物産館とレストランの間には中央ホールを配置。吹き抜けの開放感ある空間の前方には舞台もあり、地域のコミュニティーの場としても開放している。同社の施設には県外からの来館者も多く、そうした域外の人に対しては周辺の観光地などを案内するインフォメーションコーナーを設け、菊池の魅力を発信している。
農業×インキュベーションで地域活性
 1階部分が外に向けた“顔”なら、2階部分は地域活性のためのアクションを考案する頭脳部分になる。民間が運営する施設には珍しくインキュベーションオフィスを設けているのだ。公的なインキュベーション施設とは少しコンセプトが異なり、ここではいわば様々な分野で特化した人たちが入居する。自らの道を探求すると同時に、入居者の横のつながりを持つことで、新たなプロジェクトの開発や推進をしてもらおうというもの。現在は熊本大学の徳野貞雄教授をはじめ、ITコーディネーターの中尾克代代表や農業に関するプランナー等バラエティーに富んだメンバーが入居している。そして、既にたまご庵のインキュベーション発の仕掛けや催しが次々と産声を上げている。
 徳野教授を講師に「地域活性化座談会」を開き、地域の将来のあるべき姿に関して参加者とともに考える取り組みを実施。これまで2回開催しており、様々な意見やアイデアが出された。また、6月11日、12日には同社の松岡義博会長のネットワークで、広島を拠点に全国で活動する地域活性化を考える組織「逆手塾」のイベントが開かれ、初日のリレー講演では講演者の一人として登壇した松岡会長やコーディネーター役を徳野教授が引き受けるなど活躍し会は成功裏に終わった。
 そのほか、熊本市植木町の葛サ農園が立ち上げた熊本産のトマト及び加工品のブランド化を目指す「とまもとプロジェクト」の舞台裏では、入居企業のアグリフード企画の蒔田義一代表が企画コーディネートとして活躍。さらに、同プロジェクトのPRは主に新媒体のフェイスブックを活用するが、そこにはやはりインキュベーションに入居するITコーディネーターが力を発揮している。全く関係ないように思える人々の力が、農業や地域活性をテーマにしたプロジェクト上でリンクし、早速成果を上げる。今後さらに違う特色を持つプロフェッショナルの参画で新たな展開が期待される。
日本農業法人協会会長2期目がスタート
 「たまご庵」は同社の松岡会長が10年前に考案した施設だが、まさに現在の農村地域が直面している問題を捉えその解決に向けた要素が詰まっており、その先見性には驚く。この6月に松岡会長は、(社)日本農業法人協会の会長2期目に選出された。同協会は全国の約1730社の農業法人で組織し、法人間の情報交換や政府の会議に参加し農業経営政策への提言などを行っていく。
 松岡会長は協会長の職を通じて中央と地方の架け橋となり、農業の活性のために汗を流す。一方で、地方の農業法人であるコッコファームが考え形にした「たまご庵」は単なる商業施設に留まらず、今後そこで生み出されていく様々な実績を広く発信していき、全国の地域に活力をあたえていくモデル施設になることが期待される。
企業DATA
[所在地] 〒861-1312 菊池市森北1077
[TEL] 0968-24-0007
[FAX] 0968-24-5056 
[資本金] 1000万円
[設立] 2011年1月
[事業内容] 養鶏及び農産物生産販売、食品加工販売、人材育成事業(実農学園)
[年商] 23億円(平成22年度実績)
[従業員] 160人
[URL] http://www.cocco-farm.co.jp/

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2011年7月1日発行分の掲載内容です。