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くまもと経済EX 2006

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熊本の味と感謝の気持ちを世界に 「味千拉麺」の“のれん”通じた食の交流
重光産業(株)
熊本ラーメンのルーツ「味千拉麺」は世界各地で展開
 中国、タイ、フィリピン、アメリカ、カナダ、オーストラリア・・・歴史も文化も違うこれらの国々で受け入れられ親しまれている“熊本の味”というと、何が思いつくだろうか。白濁の豚骨スープにやや太目の麺、そしてニンニクの風味が効いた熊本ラーメンは、「味千拉麺」の“のれん”のもとに熊本を飛び出し、現在海外8カ国116店舗に広がり世界各国で食されている。
 熊本に本格的なラーメン店が出店し始めたのが、およそ50年ほど前とされている。当時玉名にあった久留米ラーメンの「三九」という店に、熊本から訪れた数人の客がその味に興味を持ったのがきっかけであり始まり。当初その味は、久留米ラーメン系に近い味で現在の“熊本ラーメン”とは程遠いものだったという。「三九」を訪れた中の一人だった重光産業の創業者重光孝治は、豚骨のスープにニンニクというスパイスを加え、深いこくと風味を出した。それから数十年、さらに原料や素材にこだわり洗練されたこの熊本ラーメンのルーツともいえる「味千拉麺」は、2代目重光克昭社長のもと国内を合わせ230を超える店舗展開する企業として受け継がれている。
わずか7坪、8席の店からスタート転換期は常連客の出店要望
 「味千拉麺」の歴史は、1968年にオープンした熊本市水前寺6丁目の小さなラーメン店から始まる。移転して間もないまだ真新しい県庁舎の南側、県庁通り沿いにわずか7坪程のラーメン屋が「味千拉麺」の起源だ。今でこそ20種類以上のグランドメニューに加え豊富なサイドメニューを持つが、当初のメニューは「ラーメン」のみ。席数もわずかに8席で、数人の従業員で対応していた。開店後も味の追及はなされ、オリジナルの濃縮スープを作り上げていった。その味は次第に評判を呼び、県庁からくる出前の注文と来店客とで店はにぎわいを見せる。そして数年後、「味千拉麺」の味にほれ込んだ一人の客が「ぜひ自分にも出店させてもらえないだろうか」との申し入れをきっかけに、72年に生麺、調味料、スープなどの製造工場を整備、ラーメン専門のフランチャイズシステムを確立し本格的なFC展開の始まりとなった。
中国では08年400店目標出店バックアップ体制整える
 海外出店は、94年6月の台湾が第一号。九州のラーメン業界ではいち早い海外進出となった。その後着実に店舗数を増やし、「熊本の味」を世界に広げる同社。2008年400店構想を掲げる中国では、昨年上海市内にFC展開の新たな拠点を設立、年内には主にスープ製造を目的とした工場の稼動も控える。また、香港には店舗出店のアドバイスや海外メニューの開発を行う新会社を設立しており、海外出店のバックアップ体制を整えている。そのほか、各国のオーナーが集い情報交換や交流を深めるために「味千拉麺世界オーナー会議」も開催。今年1月には第2回大会を熊本で開き、2日間にわたり研修を行った。店舗展開はアジア圏に限らず、01年にはアメリカ・ニューヨーク、05年にはカナダ・メルボルンに上陸、年内にはオランダとイギリスにも出店を予定しており、「熊本の味」が着実に世界へと広がっている。
広がる熊本の味変わらない感謝の心
 国内の動きとしては、今年に入り7店舗目となる直営店を東京都の歌舞伎町にオープン。新宿コマ劇場そばのテナントビル1階部分に入居。フロア面積は約191u、席数はカウンター7席を含む27席。客単価は800円程度で、初年度の月間売上目標は1200万円に設定している。
 東京では池袋店高田馬場店に続く3店舗目となるが、都心部では初。今後の都市部展開のモデルケースにする狙いもあり、競合の中で奮闘している。国内の目標としては、将来的には各都道府県最低一店舗を目指していきたいとする。
 また、熊本ラーメンのルーツ「味千拉麺」ができた当時の原点に立ち返り、その時の味に近いラーメンを提供するため、第2のブランド店「拉麺劉」を熊本市佐土原の第二空港線沿いで営業している。熊本ラーメン誕生当時のレシピを参考にしながら味を再現。とんこつの“劉ラーメン”(580円)は、白濁のとんこつスープが、こってりとしていながらマイルドな味わいに仕上がっており好評を得ている。そのほか、とんこつをベースにした塩や醤油味のラーメンやぎょうざなどのサイドメニューも提供。“原点の味”を食べようと、店はにぎわいを見せている。
 同社では、時代と共に移り変わる、消費者の好みや素材への要求、それらに応えるべく味を洗練し、店舗設備も時代の流れに合ったものへと変化をさせてきた。しかし、創業当時から一貫して変わらないものもある。
 「お客さまへの感謝の気持ち」とそれを形にした毎月22日の「味千感謝デー」がそれだ。お客様や取引業者様への感謝の気持ちと、いつまでも夫婦仲良くという発想からスタートし、今も各店で受け継がれており、今後も開かれていく世界の味千各店舗にその理念は浸透していく。
企業DATA
[所在地] 〒861-8031 熊本市戸島町920-9 熊本コスモ工業団地
[TEL] 096-389-7111
[FAX] 096-389-5410
[資本金] 1000万円
[設立] 1972年7月
[事業内容] 味千ラーメンチェーン展開、ラーメンスープ・食堂用原材料の製造
[年商] 18億円
[代表者] 重光 克昭
[URL] http://www.aji1000.co.jp/

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2006年7月1日発行分の掲載内容です。