トップ Companies くまもと経済EX 1 創業60周年を迎え、 目指すは豆菓子づくりの“巨匠”
くまもと経済EX 1

創業60周年を迎え、 目指すは豆菓子づくりの“巨匠”
叶逅ャ堂
企業ブランドとして「センナリドー」を確立
 同社は1946(昭和21)年の終戦後まもなく、現在の河口哲雄社長の実父が熊本市安政町で落花生の製造販売業として創業。74(同49)年実父死去に伴い、社長に就任した。84(同59)年には千成堂河口商店として設立した。社名の由来は縁起物として親しまれているひょうたん。その中でもたくさんの実をつける『千成びょうたん』を、創業者が夢の中で見たことから命名された。98(平成10)年に千成堂に社名変更し、社名変更と同時に企業ブランドとして『センナリドー』を打ち出し、消費者への浸透を図っている。
「グリーンピスタチオ」は全国8割のシェアに
 創業以来、数百種類のピーナッツ・ナッツ菓子造りの研究開発に邁進。看板商品となったピスタチオを原料とした「グリーンピスタチオ」は、「競争激化の中でも研究開発を重ねた結果、ナッツ菓子では全国シェアの約8割を占めるまでなりました。また、今では当たり前ですが豆菓子類の大きな袋の中に入っている、小袋の三角パックのピロー包装を、全国で初めて取り入れて世に送り出した企業なんですよ。鮮度を保ちながら食べたい分だけ食べられるようにする発想から生まれました」と河口社長は話す。
 新製品開発に積極的に取り組むと同時に、毎年経営方針書を作成し、それに基づき経営面や技術面で戦略を具体化していることなどが評価され、1998(同10)年、熊本県の創造的中核企業育成事業の認定企業に、食料品製造業として初めて選ばれている。
『安全・品質・鮮度』が生産の3原則
 同社では安心して商品を消費者に食べていただくために、使用する原料の選択から、製造、包装まで全ての過程で安全性を確保する活動を行っている。
 「原料は生産地まで足を運び、育成状態や品質を確認。また、海外から輸入される原料は、輸入時の検査(残留農薬検査など)に合格し、安全性が確認されたものだけを使用しています。製造過程では、使用する原料の徹底した選別を行い、また、出来上がりの状態を常に確認。これらは、熟練した人間の感覚と精密な検査機器を用い、多重のチェック体制で行っています」(河口社長)。
 さらに、安全な商品の提供のためには、従業員を含め、施設全体が常に清潔で衛生的な環境でなくてはならない。そのために総合環境衛生管理活動を展開し、従業員の健康と衛生、施設の清潔と衛生を常に確保して安全な商品づくりに取り組んでいる。
品質マネジメントシステムを展開中
 同社が考える品質は、「商品はもちろんのこと、商品を構成するさまざまな品質(価格・デザインなど)、さらには各種サービスの品質(納期など)など、お客様が満足される品質(魅力的品質)のことをいいます」と品質の在り方について河口社長は強調する。
 魅力的な品質を創り出し、お客様が求めるニーズにマッチした商品・サービスを安定して提供していくために品質マネジメントシステムの展開を行っている。
 同社が目指す品質のレベルは一定ではない。お客様の満足やニーズに応えるため、日々、技術を磨き、知識を蓄えている。お客様の満足(声・要望)が同社の品質向上への活力となっている。
 おいしさの原点は「やはり“できたて、新鮮”が大切さの基本ではないでしょうか。できたてのおいしさをそのままお客様に届けるため、注文後、必要な分だけ生産・包装・出荷する体制をとっているのが当社の特徴の一つでもあります」(河口社長)。また、商品のおいしさや鮮度を保つために、商品の特徴に合わせた最適な品質保持の手段を用いている。
「東京木の実」はお土産ランキング第1位に
 ところで06年3月には、新たなる市場開拓を目指し、東京都台東区に関連グループ企業として東京木の実を設立した。東京の羽田空港の売店でしか販売していない商品「東京木の実」は、香ばしいカシューナッツを風味豊かなチョコで包んだお菓子。「帰省にぴったりのお土産ランキング」で、GH(グランドホステス)が選んだ人気商品の第1位に輝いた。
「味な未来」づくりの“巨匠”を目指して
 同社の取引先の約8割から9割が熊本県外で遠くは北海道まで及ぶ。販路開拓を含め河口社長は月の半分以上を出張に費やしている。「昭和21年に豆屋になり、60周年を迎えますが、100年先もきっと豆菓子を作っていると思います。伝統を守るだけでなく、新しい発想による豆菓子づくりには、卓越した技と知識が必要です。これからも常に原点に立ち、一歩一歩、『味来(みらい)』に向かって歩んでいきたいと考えています」と温厚な表情で河口社長は、今後に向けての抱負を語る。
〔沿革〕

1946年 熊本市安政町にて落花生製造販売業を開業。
1949年 熊本市木戸組町(現在の中央街)に移転。
1955年 熊本県上益城郡益城町寺迫に原料工場新設。
1965年 熊本市秋津町沼山津に工場移転。
1984年 株式会社を設立し、株式会社千成堂河口商店とする。
1985年 大分営業所を大分市上宗方長ノ池に開設。
1990年 大分営業所を大分市東大道に移転。
1991年 工場所在地が熊本市桜木4-2-62に町名変更。
1993年 関連会社の泣iッツボーイを設立。
1996年 本社工場を熊本県上益城郡益城町小池に新設。
1998年 株式会社千成堂河口商店を株式会社千成堂に社名変更し、
     ブランド名を「センナリドー」にする。
2001年 本社工場に物流倉庫を新設。
2002年 大分営業所を大分市萩原4丁目に移転。
2002年 福岡営業所を福岡県粕屋郡久山町山田に新設。
2005年 関連会社の挙結椁リの実を東京都台東区に設立。
企業DATA
[所在地] 〒861-2223 (本社・工場)熊本県上益城郡益城町小池903
[TEL] 096-287-3000
[FAX] 096-287-3300
[資本金] 1000万円
[設立] 1984(昭和59)年6月
[事業内容] ピーナッツ、木の実、豆菓子の製造販売、珍味類販売
[代表者] 河口 哲雄
[従業員] 90人
[URL] http://www.sennarido.co.jp
[E-Mail] webmaster@sennarido.co.jp
[出先] (営業所)大分営業所、福岡営業所、東京事務所 (倉庫)熊本市桜木
[関連企業] (有)ナッツボーイ、(有)東京木の実

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:1年7月1日発行分の掲載内容です。