トップ Companies くまもと経済EX 2007 最大級・最先端の造船技術で 大型船舶を世界の海へ送り出す
くまもと経済EX 2007

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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最大級・最先端の造船技術で 大型船舶を世界の海へ送り出す
ユニバーサル造船 有明事業所
世界の造船業をリードする高い技術力と最大級の設備
30万トン級大型タンカーの建造が進む1号ドック
 有明海に面した熊本県長洲町に立地する有明事業所、ユニバーサル造船轄ナ大で最新の設備を持つ屈指の造船工場としてタンカーやばら積み船など数多くの船舶や海洋構造物を世界の海へ送り出している。
 総面積107万uの敷地内に長さ620m・幅85m・深さ14mの1号ドッグと長さ420m・幅85m・深さ14mの2号ドックをはじめ、有明海のランドマーク的存在として高くそびえる揚荷能力700トンのゴライアスクレーン(高さ80m)など全国トップクラスの造船設備を保有している。
 同工場は1973年に日立造船蒲L明工場として操業開始、2002年10月に日立造船鰍ニ日本鋼管鰍フそれぞれの船舶・海洋部門が統合し、現在のユニバーサル造船が誕生。統合により強化された開発力と最大級の設備を基礎に同社有明事業所は日本・世界の造船業をリードしている。
過去最多の年間建造隻数で続くフル稼働
 造船業の再浮上といわれる近年、同社においても工場フル稼働の状態が続いている。07年度の建造予定の大型船舶数は、30万トン級タンカーのVLCC(Very Large Crude Oil Carrier)5隻、20万トン級ばら積み船2隻、16万トン級スエズマックス型タンカー2隻の合計9隻と過去最多の建造隻数とその好調ぶりをうかがわせている。同社は既に向こう5年の受注を抱えている受注残の状態が続く。
 同社全体の売上高約1600億円のうち有明事業所では約3分の1の500億円強の生産を担っており、主力工場として力を発揮。5、6年先の受注競争も既に始まっており、原材料である鋼材や為替などの市場の動向を予測しながら、選別受注を進めているという。しかし、市場予測の難しさなどもあり、あらゆるリスクをできる限り軽減するためにドル・円建ての両方による支払いや原材料価格高騰を見込んだ建造計画などリスクヘッジの方法を取っている。高い建造技術をキープしながらコストダウンやリスク回避を図ると共に、同社ではより高度化する顧客ニーズに応えるため積極的な設備投資も行っている。
国際競争力の強化、安全性・耐久性へのチャレンジ
有明事業所は、全国でもまれな独立分散型の工場配置を特徴としている。
 日本の造船業は、国家規模で大量建造を進め挑戦してくる韓国企業や中国企業との厳しい競争の中、性能・品質・環境・生産性において他国の造船業よりも一歩先を進展した国際競争力の強化に取り組んでおり、同社は日本造船の未来を見据えた事業展開に常にチャレンジを続けている。
 今後適用される塗装品質基準(PSPC)に批准するため今年3月に7棟目のブラスト(塗装)工場を増設、06年3月に改正された船舶製造における共通構造規則(CSR)にも対応するなど船舶の安全性・耐久性の向上に取り組んでいる。今後も建造効率や機能・品質向上のため継続的設備投資は重要となる。
次世代へつなげる熟練工の技
福丸 雅文 所長
 長い歴史の積み重ねが生んだ日本の造船技術を基礎に世界における日本全体の生産量は約35%とトップシェアを誇っており、今後も高水準を保っていくと予想される。
 同社は日本、世界の造船業を長期的視野からリードしていくため、現況に満足することなく、改善の余地を見出しながら技術レベルの向上そして、次世代への技術伝承など建造工程を通じた人づくりに力を注いでいる。造船は鋼材の切断、曲げ、溶接、塗装、船体内の内臓ともいえる艤装(ぎそう)部分など各工程において専門的技術を要し、機械やロボットにはできない職人的技術が要求される。同社では熟練工員約50人を指導員と認定し、若手技術者へのマンツーマン指導を昨年から本格的に開始している。こういったシステム的教育制度の強化により定着率が非常に高く、若手人材育成の成果があらわれている。
 最大級の規模、最新鋭の技術と設備を備えたユニバーサル造船蒲L明事業所は、「森の中の工場」と呼ばれており、幅50mの構内道路両脇や各工場棟周辺には樹木約10万本が木陰をつくり、熟練、若手と世代を越えた工員が休息をとりながら何十万トンという一つの巨大なものづくりについて追求し、語り合っている。



福丸 雅文 所長
ふくまる・まさふみ 広島県出身、1945(昭和20)年8月18日生まれの61歳。山口大学工学部卒、68年4月日立造船鞄社、74年4月同有明工場造機部、98年同工場船舶部長、同年蒲L明製作所社長、01年6月日立造船蒲L明工場長兼九州日立造船且ミ長、02年10月ユニバーサル造船且キ行役員商舶・海洋事業本部有明事業所長、06年6月取締役有明事業所長に就任。趣味はゴルフ、登山。
企業DATA
[所在地] 【本社】〒212-8554 神奈川県川崎市幸区大宮町1310  【有明事業所】〒869-0113 熊本県玉名郡長洲町大字有明1
[TEL] 0968-65-7100
[FAX] 0968-65-7123
[資本金] 250億円
[設立] 1973(昭和48)年 有明事業所操業開始
[事業内容] 船舶(タンカー・鉱石運搬船・ばら積み船など)、海洋構造物(海上石油貯蔵船など)、およびフローティングドッグなどの設計・製造・販売および修繕
[従業員] 669人(有明事業所) 2,300人(他の事業所も含む全社)
[URL] http://www.u-zosen.co.jp

[採用情報]
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※この記事内容は、くまもと経済EX:2007年7月1日発行分の掲載内容です。