トップ Companies くまもと経済EX 2007 イメージとビジョンを形にする独自の カスタム力で最先端のニーズに挑戦
くまもと経済EX 2007

熊本の明日を拓く未来創造企業の戦略

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製造・農業
イメージとビジョンを形にする独自の カスタム力で最先端のニーズに挑戦
オオクマ電子(株)
カスタマイズの独自技術を生かし技術立社を目指す
 今、「熊本において今後の成長を感じる熱い企業は」と聞かれたならば、その企業群に「オオクマ電子」を加えずにはいられない。一見地場の中堅企業である同社、ところが日本の最先端技術に取り組む全国・世界でも先進的企業となる可能性を秘めた研究開発に取り組んでいる。
 製造拠点の海外へのシフトや熟年技術者の引退など技術の空洞化が進む日本経済界の状況下、「技術立社を目指していくことに全力を注いでいます」とものづくりへの熱意を見せるのは大隈恵治副社長。大隈副社長は、大学卒業後、日本航空電子工業(株)で6年間技術者として日本の防衛・先端産業の設計・開発を手掛けてきた経験を持つ、同社にとって新風的存在といえる。その新風が創業1973年以来多彩な分野で培ってきたオオクマ電子の強固な技術基盤へ新たな創造力と若さを吹き込み、最先端技術へのチャレンジをリードする。
 特注品の受注が非常に多い同社、信頼された研究開発技術の力を持っているからこそ、カスタマイズ製品の注文に自信を持って対応できるという。「お客様のイメージとビジョンを当社の技術力・開発能力を使い設計して具体的な形にできることが当社の仕事であり、カスタマイズの強み」と同社の存在価値を見出している。
 一方、オオクマ電子の持つ技術の信憑性を見てもらうために製品開発として一般製品の製造販売も行っている。すべての研究開発・製造工程において洗練された技術力を重要視する上で同社は「ある一つのものを製造していくにあたって、造り方の方法は多種多様であるが、その仕事から何を同社に残していくか、必ず次へのステップアップを目指す」といった姿勢で飛躍的ポイントが何かを常に考え、日々の仕事に臨んでいる。
未来を見据えた3つの柱
 半導体関連・液晶関連・メディカル関連の3つを柱に多様化する時代のニーズに応え、開発・製造を進めている。半導体の中核地として成長する熊本、同社もその成長を支え、半導体装置関連の生産において多くの仕事に携わっている。
 また、液晶分野において同社は既に大手国内外メーカーへ出荷を続けており、現在では取引先の高度化するニーズに応えるのみではなく、新技術の提案も積極的に展開している。液晶用電源や生産工程に欠かすことができない最新の検査装置など、大手メーカーと技術提携・NDA(秘密保持契約)を締結しており、同社の最先端を走る技術力は幅広く認められている。
 そしてメディカルの分野では、熊本大学の村山教授の研究グループと共同で脳波計のシステム開発を手掛けている。運動神経が麻痺していている状態において脳波としての返事を読み取る脳波計システムは最先端の福祉機器としてその将来性が高まっている。また、その脳波計を応用し、同社では誤嚥(ごえん)検知装置の開発にも取り組んでいる。これは、気道と食道の作用が衰えた際に水分や少量の固形物が気道に入り,これが原因で肺炎になり死亡する率が非常に高くなっており、現在大きな問題になっている。この嚥下(えんげ)障害になりやすい人をあらかじめ発見し、また誤嚥を起こした際にこれを看護士に知らせる装置として注目を集めている。
 医療・福祉の現場における同社の技術基盤の活躍が期待される。
人間の五感に近いシステムセンサー開発にチャレンジ
同社が研究開発に力を入れるマシンビジョン
液晶用電源基板とインバータ基板
 人間の五感に近づいたものづくりのシステムセンサーが必要とされている時代を見据え、同社は視覚の部分における感応センサーとマシンとを組み合わせた「マシンビジョン」の成熟に挑戦している。人間の視覚の代わりに文字や形、位置などを読み取り、データ化して処理をするといったテクノロジーの研究開発分野である。
 現在、注射薬(アンプル)の払出しにおける医療ミスを防止するシステムが実用化に向けて検討されている。全国の医療ミスの約15%は投薬ミスといわれる中、処方された薬品ラベルの使用期限や種類などをカメラ画像で読み取り、認識チェックしてデータ処理を行い、医療ミスを未然に防ぐ機能である。オオクマ電子はこの分野において既に20年以上も研究開発を続けており、全国でもトップクラスの技術を持っている。
 人の目に代わる機能を持った画像処理システムの開発は既に完成しており、現在マシンビジョン構築の最終段階にある。画像処理システムの分野においては九州、全国でも限られた少数企業の一つとして独自の技術力となっている。これらマシンビジョンの技術は今後メディカル分野以外の災害時における救援マシン、人間型ヒューマノイドなどにも活用されていく最先端テクノロジーの一つとして期待が高い。
つくれる技術力を持っている、それが一番の優位性
大隈 恵治 副社長
 「好きこそものの上手なれ」、エンジニアの一人一人が何をしたいのか、その意識と欲を尊重し、全面的に挑戦したいことを伸ばしてあげる場を提供していく企業、同社の人づくりはそこに原点を持つ。つまり企業として、社員の目標達成に向けて全面バックアップしていくことが同社の役割といえる。今後、そのやる気と技術力を市場といかにつなげていくかが重要となる。カスタマイズ中心の同社において、あるエンジニア指定で声がかけられることもあるという。得意分野を持った熱いエンジニアの集団、オオクマ電子は技術力を武器に他社にはない新しいものをつくれる技術を強みに最先端のものづくりにチャレンジし続ける。大隈副社長は「夢は夢です。しかし、夢は一歩踏み出せば目標、必ず目標にすると心がけて、ものづくり・人づくりに取り組んでいきます」と熱意を語る。



大隈 恵治 副社長
おおくま・けいじ 熊本市出身、1972年7月生まれの35歳。東京理科大学卒、日本航空電子工業(株)入社、航機事業部で6年間設計・開発エンジニアとして勤務。2001(平成13)年にオオクマ電子入社、06(平成18)年副社長に就任。趣味はテニス、ゴルフ。
企業DATA
[所在地] 〒861−8037 熊本市長嶺西1丁目8−104
[TEL] 096−382−8110
[FAX] 096−384−4922
[資本金] 5,000万円
[事業内容] 電子制御装置、コンピュータ制御装置、省力化装置、配電装置、画像処理装置、パターン設計・基板製作、電気設備 設計・施工、ソフトウエア設計、ハードウエア設計
[代表者] 大熊 恵治 副社長
[従業員] 50人
[URL] http://www.okm.co.jp
[出先] 東京営業所 〒213-0013 神奈川県川崎市高津区末長173-4 大明梶ヶ谷ビル3階
[関連企業] (株)クマテック

[採用情報]
●募集要項:<職種>ハードウエア、ソフトウエア、メカトロエンジニア <内容>カスタム設計、基板パターン設計、最新の技術/製品開発
●問い合わせ先:info@okm.co.jp
※この記事内容は、くまもと経済EX:2007年7月1日発行分の掲載内容です。