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医療法人社団 岡山会 九州記念病院  
 岡山 洋二  (おかやま・ようじ)

  理事長
プロフィール
宇城市(旧宇土郡)三角町出身。1949(昭和24)年10月6日生まれ、70歳。熊本高校-熊本大学医学部卒。趣味はコンピュータープログラミング、将棋、古写真収集。ライフワークとして臨床研究を進める特定部位(頸部、腰部)に局所麻酔剤を皮下注入する新たな治療法「トリガー・ポイント・ブロック」により得た新説を学会で発表し続けている
「SP(セット・ポイント)概念」を想定、日本慢性疼痛学会で発表
 約10年前、トリガー・ポイント注射(局所麻酔剤の皮下深部の注入)を実施中、「意外に広範な部位に疼痛の改善をもたらす現象を偶然に発見した」のを契機に、岡山理事長は『交感神経過緊張症候群』と名付ける疾病研究に取り組んでいる。2月29日には東京で開催された「第49回日本慢性疼痛学会学術集会」で「慢性疼痛の発症機序と治療法の発見」の演題でこれまでの研究成果を発表した。
 発症メカニズムを要約すればこうだ。慢性ストレスが原因で情動中枢の扁桃体を介して自律神経核群が過剰な電気信号を発する。これにより交感神経の過剰な働きが続き、動脈の過剰な収縮が継続することで、慢性の血流障害により生じる阻血痛が慢性疼痛となる。
 しかし、慢性ストレスが消失状態になっても疼痛が余り改善しない症例を多く経験した。以前は疼痛が新たなストレスとなった悪循環の継続ではないかと考え、鎮痛剤等で疼痛を抑え込み悪循環を断ち切ろうとしたが、疼痛が改善しない症例が多くあった。
 そこで、「視床下部の自律神経核群の神経細胞が経験しているフィードバックとしての入力信号と、交感神経への命令としての出力信号を記録し保持〞しておく基本的な機能としての『SP(set point)の概念』を想定する事で、慢性化(寛容性)を説明できるのではないか」とする「自律神経賦活信号系(仮称)」の考察を前述学会で報告した。
 治療法は、頚部と腰部の特定部位(タイガーポイント=TP)への局麻剤の注射となる。「慢性増悪化の過程でSPが増加するが、抑制された賦活信号が神経細胞へ入力され、SPで総括される過程でSPが低下し、抑制された出力信号が交感神経の働きを抑制し、血流が改善して阻血痛が改善する。TP注射を継続するとSPが徐々に正常値に戻り最後は治癒状態になる」と岡山氏は自信を見せる。
 岡山氏は『SP概念』に関し「この概念を拡張すれば、神経細胞の機能役割に従い、体質、性格、知識、能力やそれらを統合した知能を表現することが可能とな
るのかも知れない」「SPを保持している細胞内の器
官としては、神経伝達物質でもあるカルシウム(CA)
の保存機能がある小胞体が有力と考える。つまり、神
経細胞がCPU(中央演算装置)の機能を持ち、細胞内
の小胞体のCA量がSPを規定し、記憶素子の役目を
担っているのではないか」と考えている。
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開業/1946(昭和21)年 設立/1962(昭和37)年 病床数/一般病床101床(地域包括ケア病床30床含む) 療養病床133床(回復期リハビリテーション病床34床含む)合計234床 職員数/291人 診療科目/整形外科、リウマチ科、リハビリテーション科、循環器内科、呼吸器内科、代謝内科、消化器内科、泌尿器科(人工透析室)、脳神経外科、耳鼻咽喉科、神経内科、形成外科、皮膚科、放射線科、外科 関連施設/訪問看護ステーション、通所リハビリテーション、指定居宅介護支援事業所、人間ドック、託児施設「八福園」
※この記事内容はくまもと経済3月号(2020年2月29日発行分)の掲載内容です。