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九州の18年農業景況DIは大幅下落・・・・日本公庫調べ

 鞄本政策金融公庫(東京都)がまとめた2018年農業景況調査によると、九州地区における農業全体の18年の農業景況DIは前年調査時の21・9から19・9ポイント低下し2・0となり、大幅に下落したことが分かった。
 同公庫の農林水産事業が今年1月に調査を実施したもの。調査対象は認定農業者の経営改善の取り組みを後押しする「スーパーL資金」、または担い手農業者の新たな取り組みを支援する「農業改良資金」の融資先のうち、2862件。回答率は30・6%(877件)。今回の調査では、天候不順などが影響し、販売単価が大幅に低下、さらに生産コスト上昇も加わり、収支・資金繰りが悪化したことが景況DIの押し上げ要因となっているという。
 業種別に見ると、畜産部門は肉用牛や酪農、ブロイラーの景況DIは前年を下回ったが、プラス値を維持した一方、採卵鶏や養豚は飼鶏羽数の増加や豚肉輸入量の増加などにより、いずれも相場が低下したため、DI値も大幅にマイナスに転じた。耕種部門では、稲作は全国と比較し作況指数が高かったことなどからプラス値を維持した一方、茶は天候不順により相場が大幅に低下し、DI値も大幅に低下。施設野菜や露地野菜は販売単価や収支・資金繰りのDI値が低下したことから、景況DIが大幅に低下した。
 一方、19年の農業全体の景況DIは18年とほぼ横ばいの1・3となる見通し。畜産部門では飲用向けの生乳価格が上昇している酪農や相場が強含みの局面にある稲作などを中心に景況DIがプラス値となる一方、相場が軟調に推移している採卵鶏や養豚、茶のDI値はマイナス幅が大幅に低下する見込み。
 DI(Diffusion Index=動向指数)とは、前年と比較して「良くなった」とする回答者の割合から、「悪くなった」とする回答者の割合を差し引いた値で、業況感などを数値化した景気動向指数。
 日本公庫熊本支店は「18年農業景況DIは前年に比べ、大幅に下落したものの、プラス値を維持している。19年もほぼ横ばいの見通し。業種別でもプラス値で回答している業種が多い」と話している。  

県内中小企業の1〜3月期業況判断DIはマイナス11

 また同公庫がまとめた、2019年1〜3月期の熊本県内の中小企業動向調査の中小企業編によると、全業種の業況判断DIは前回調査(2018年10月〜12月期)から12・2ポイント低下し、マイナス11・0となった。DIは増加・好転などの回答割合から減少・悪化などの割合を引いたもの。
 同調査の中小企業編は従業員20人以上の中小企業が対象。同公庫の県内取引企業204社を対象に、業況、売り上げ、採算、資金繰り、借り入れなどについて、19年3月中旬に調査を実施。有効回答数は91社で、回答率は44・6%。今期の売上DIは前回調査から17・3ポイント低下し、マイナス4・4となり、純利益DIは3・1ポイント低下しマイナス7・9、資金繰りDIは6・2ポイント低下し3・3となった。また経営上の問題点については、売り上げ・受注の停滞、減少が38・7%で最も多く、次いで求人難が29・3%と依然として高水準で、原材料高、および人件費や支払利息などの増加はいずれも前回調査時の6・8%から9・3%となった。設備投資実施企業の割合は前回調査から2・4ポイント低下し34・1となった。
 また来期(19年4〜6月期)の業況判断DIは7・7ポイント上昇しマイナス3・3となる見通し。売上DIは15・4ポイント上昇し11・0、純利益DIは3・5ポイント低下しマイナス11・4となる見通しとなっている。  

小企業の業況判断DIはマイナス15・9

 また同調査で、従業員20人未満の企業を対象に調査を実施した小企業編では、全業種の業況判断DIは前回調査(2018年10〜12月期)より1・4ポイント低下し、マイナス15・9となった。小企業編は同公庫の県内取引企業122社に調査を実施。有効回答数は83企業で、回答率は68%。全業種では売上DIが前回調査から6・9ポイント上昇し、マイナス1・3、採算DIは5・9ポイント低下し3・8、資金繰りDIは0・6ポイント上昇しマイナス17・1、借入DIは12・0ポイント低下しマイナス12・0となった。経営上の問題点については、利益減少が30・9%で最も多く、次いで求人難が24・7%、売上不振が23・5%。設備投資実施企業の割合は前回調査から5・1ポイント上昇し21・0%となった。
 小企業編の来期(19年4〜6月期)の業況判断DIは12・2ポイント上昇しマイナス3・7、売上DIは11・7ポイント上昇しマイナス10・4、採算DIは8・7ポイント上昇し12・5、資金繰りDIはマイナス幅が縮小する見通しとなっている。
 同公庫熊本支店は「県内の復興需要が一段落し、景況は弱い動きとなっている。また人手不足などが影響し、経営上の問題点では求人難が依然として高水準。人件費の上昇や売り上げの低下などを懸念する声も上がっている」と話している。
_くまもと経済 業界NAVI_:2019年6月28日発行 No.457

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