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脳梗塞予防を目的とした単独左心耳切除手術を開始・・・・済生会熊本病院

 済生会熊本病院(熊本市南区近見5丁目、中尾浩一院長)は6月から、脳梗塞(こうそく)予防を目的とした単独の左心耳(さしんじ)切除手術を開始した。
同院は小切開による僧帽弁手術と同時に行う左心耳切除をこれまで実施してきたが、左胸に1センチ程度の穴を3カ所開けて行う単独の左心耳切除手術を開始したもの。手術の対象となるのは僧帽弁に問題はないが、心房細動で左心耳のみの切除を希望する患者。手術時間は30分〜1時間程度で、人工心肺装置を使用せず心臓を動かしたまま行う。
 同院では年間1千例近い不整脈治療を行っており、心房細動の不整脈治療も数多く行っている。不整脈患者は不規則な心拍により血液が淀み、心臓に血栓ができやすくなる。特に左心房から突き出した袋状の器官「左心耳」にできる血栓は大きな傾向があり、この血栓が脳に運ばれ血管が詰まると重篤な脳梗塞を引き起こす可能性がある。血栓を防ぐには抗凝固剤の服用が必要だが出血しやすい側面があり、服用できない場合はカテーテル治療により拡張型の閉鎖栓「ウォッチマン」で左心耳をふさぐ方法がある。しかし、患者の左心耳の大きさによってはこのカテーテルによる左心耳閉鎖術も難しい場合があり、次の方法として左心耳切除が検討される。不整脈の中でも特に心房細動は高齢化で増加傾向にあり、2030年には100万人を突破するといわれており、心房細動の症状のある人は心臓由来の心原性脳梗塞の発症リスクが5倍に上昇するという報告があり、血栓の9割は左心耳で形成されるという。
 同院の押富隆心臓血管外科部長/ロボット・低侵襲手術センターは「手術後は抗凝固剤を服用することなく脳梗塞予防ができるため、内服継続が難しい患者さんにとって大きなメリットがある」と話している。  

小切開によるスーチャレス弁置換手術を開始

 また、同院は7月から大動脈弁狭窄症に対する小切開のスーチャレス弁置換手術を開始した。
 同院は今年の2月から県内では初めて同手術を正中切開で開始しており、より患者への負担が少ない低侵襲の小切開で手術を開始したもの。スーチャレス弁とは縫合の必要がない生体弁。従来の人工弁は縫合時に弁が縮むため、弁口面積(心臓内を血液が通るスペース)が少し狭くなるが、スーチャレス弁は血管内に入れると金属のバネが広がり、弁口面積も広がることで心臓への負担が軽減されるという。また、小切開心臓手術はMICS手術と呼ばれ、従来の正中切開による心臓手術では胸骨や肋骨を大きく切開するが、MICS手術では胸骨や肋骨を切らずに肋間から心臓にアプローチするため、切開範囲が狭く傷も小さく、痛み・出血量・回復期間などの面からも患者の負担が少ないという。症例にもよるがMICS手術でスーチャレス弁を使用すると心停止時間を従来の半分にでき、患者の体への負担が減るメリットがあるという。
 押富医師は「小切開によるスーチャレス弁の植え込み手術が可能な医療機関は県内では当院のみだと把握している。小切開の大動脈スーチャレス弁置換手術は今後も増えていくとみている」と話している。
_くまもと経済 業界NAVI_:2021年11月30日発行 No.486

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