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脂質異常症に有効なワクチンを開発・・・・熊本大学

 熊本大学(熊本市中央区黒髪2丁目、小川久雄学長)の大学院生命科学研究部の尾池雄一教授らの研究グループは11月17日、血中のLDLコレステロール値(通称悪玉コレステロール値)などが高い「脂質異常症」およびその関連疾患について有効なワクチンを開発したことを発表した。
 今回開発したワクチンは、免疫細胞を活性化させて体内の「ANGPTL3」というタンパク質を捕え、抗体を作らせるというもの。ANGPTL3が体内で作られないという遺伝子異常を持つ人の方が、異常を持たない人より悪玉コレステロール値と中性脂肪値がともに低いことが判明し、これに着目した。
 通常、脂質異常症の患者には直接悪玉コレステロール値を下げる「スタチン」と呼ばれる治療薬を投与するが、体質的な問題で薬を投与されることができない人や、スタチンではコレステロール値を下げきれない人がいるため、開発に至った。肥満症のマウスを用いた実験では悪玉コレステロール値と中性脂肪値をともに下げることができたほか、遺伝的に悪玉コレステロール値が高い「家族性高コレステロール血症」のマウスでも脂質異常症が改善された。
 尾池教授は「現在使われている薬よりも副反応が少なく、またスタチンだけではコレステロール値が下げられない方でも、併用して投薬することで改善が見込まれる。今後は臨床応用を目指し、改良を続けていきたい」と話している。  

文科省の共同研究拠点に認定

 熊本大学(熊本市中央区黒髪2丁目、小川久雄学長)と富山大学(富山県、齋藤滋学長)の研究拠点・先進軽金属材料国際研究機構(ILM・両大学内、河村能人機構長)は10月29日、文部科学省の共同利用・共同研究拠点制度の認定を受けた。
 ILMは、マグネシウムの研究が盛んな熊本大学と、アルミニウムの研究が盛んな富山大学が連携して今年4月に発足した研究拠点。また熊本県の不二ライトメタル鰍竝志技研工業梶A富山県のアイシン軽金属梶AYKK−AP鰍ネどの軽金属を扱う企業と連携して研究などを進めている。
 同制度は文科省が大学の枠を越えて共同で研究などを行う研究施設に対して認定を行う制度で、両大学の特性を生かした研究拠点であることや、国内で研究機関が不在のチタン研究においても人員を確保し、マグネシウム、アルミニウム、チタンの3大軽金属に関する総合的な研究機関を目指している点などが評価されて認定に至った。認定期間は2022年4月1日から28年3月31日までの6年間。
 今後は、国内では研究機関が不在であるチタンの研究人員を確保して5年後にはチタン専門の研究拠点を構築し、軽金属材料を総合的に取り扱う研究拠点を目指すという。
_くまもと経済 業界NAVI_:2022年1月30日発行 No.488

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