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TSMC進出の経済効果、10年で4兆2900億円・・・・九州フィナンシャルグループ

 葛繽Bフィナンシャルグループ(=九州FG、熊本市西区春日1丁目、笠原慶久社長)は9月7日、半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が菊陽町に建設中の新工場における県内への経済波及効果が今年から2031年までの10年間で約4兆2900億円になるとの試算を発表した。
 九州FGは今年5月、工場立地に伴う経済効果を今年から5年間で約1兆8千億円と発表。今回は傘下の肥後銀行が収集した独自の情報などを活用し、同行系シンクタンクの地方経済総合研究所(同市)が産業連関分析をもとに再度試算した。10年間の経済効果の算出範囲はTSMCの生産子会社JASMが建設する新工場や関連産業の生産、生産増に伴う就業者の消費、JASMや関連産業工場への設備投資、工業団地開発、新規雇用者に伴う住宅関連設備投資。
 またTSMC進出に合わせ、半導体関連産業における県内への拠点新設や既存工場増設は約80社、雇用効果はJASM新工場の1700人を含め、約7500人と想定。6兆3千億円とされる県の年間GDP(県内総生産)に対する影響額は毎年約2千億円で約3%の成長の底上げ効果があると見込んだ。
 同日、九州FG本社で開いた定例会見で笠原社長は「TSMC進出は県のGDPを押し上げ、県内経済に生産や投資、雇用、所得、消費に至るまで大きな影響を与える。多様な事業活動に対する積極支援を通じ、より大きな経済効果の創出へ地銀としての役割を果たしていきたい」とコメントした。

経産省からDX認定を取得

 また同社は8月1日、経済産業省が定めるDX(デジタルトランスフォーメーション)認定制度でDX認定を取得した。
 同制度は「情報処理の促進に関する法律」に基づき、経営ビジョンやDXに関する戦略および体制が整っている事業者を経産省が認定するもの。同社は昨年4月にスタートした第3次グループ中期経営計画における基本戦略の一つにデジタル社会に向けたDX推進を掲げている。その中で顧客や地域に対するスマートフォンアプリを活用した新サービスの提供、一方、社内ではペーパーレス化による各種手続きの簡素化や傘下の肥後銀行とデジタル技術活用によるコミュニケーションの効率化を通じた生産性の向上など、DXを積極的に推進。社内の推進体制としては社長を委員長とする「デジタル・イノベーション委員会」を中心にグループ一体でDXを進めており、デジタル人材の育成や確保、外部組織との連携も強化している。なお、グループの肥後銀行、鹿児島銀行、九州デジタルソリューションズ鰍烽cX認定を取得している。

地域商社事業の子会社設立

 また同社は来年4月、地域商社事業の100%子会社「葛繽BみらいCreation」の設立を予定している。
 昨年4月にスタートした第3次中期経営計画における基本戦略の一つに地域商社機能の強化、創造を掲げており、新会社設立でDX化や販路拡大支援といった地域産業振興に関する課題解決を目指す。九州みらいCreationでは傘下の肥後銀行、鹿児島銀行とも連携し、顧客のEC(電子商取引)や海外におけるビジネス展開を支援。EC事業は銀行店舗および新たに立ち上げるECモールを通じ、両行が営業基盤とする南九州エリアなどの地域事業者と消費者をマッチングする事業を手掛ける。海外のビジネス展開支援ではポテンシャルが高い地域の農林水産資源を活用し、取引先の海外販路拡大を支援する。資本金は2億円、本社事務所は同地のKFGビルに置く。社員は代表者含め9人。社長には九州FGの事業戦略副部長兼事業開発室長で、10月1日に設置した新会社設立準備室の萩原大造室長が就任する予定。九州みらいCreationは銀行持ち株会社の子会社である「銀行業高度化等会社」として設立するという。
 9月7日に九州FG本社で開いた定例会見で笠原社長は「従来からの金融という枠組みを超え、地域産業振興に関する多様な課題解決へグループ全体で取り組んでいきたい」とコメントした。
_くまもと経済 業界NAVI_:2022年11月30日発行 No.498

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