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天草市に不登校生らの学習支援拠点・・・・熊本私学教育支援事業団

 県内10カ所で「熊本学習支援センター」を運営する(一社)熊本私学教育支援事業団(熊本市中央区大江3丁目、仙波達哉理事長)は8月26日、天草市天草町下田南に新校を開設した。
 2013年に廃校になった天草市立下田南小学校の校舎跡を年5万4千円で賃借、改装して活用する。名称は「熊本学習支援センター 天草下田南校」。敷地面積は2419u、建物は木造2階建てで、延べ床面積1552u。天草地域における小中高校の不登校や引きこもりの生徒を中心に学校復帰を支援する。県内外からも短期で受け入れるという。定員は50人、運営スタッフは5人。生徒たちは基本的な学習をしながら木工・陶芸・釣り・園芸といった体験で地域住民と交流する。建物内に設ける食堂や調理場は住民も利用できるほか、ボランティアとして地域と連携した田植えや稲刈り、ミニバレー・ゲートボールなどを計画、高齢化や過疎化が進む地域の振興を目指す。学習支援センター以外に学校のスポーツ合宿や企業の研修などでの活用も見込んでいる。建物の改装費は子どもの居場所づくりに取り組んでいる(公財)日本財団からの支援を受ける。下田南校は県内初となる宿泊型の学習支援センターで子供たちやその家族、スタッフは、リフォームして活用する近隣の空き家約10軒を寮として使う。
 仙波理事長は「自然豊かな環境で生活と学びが伸び伸びとできる施設開設への要望が多く、廃校を学習支援の場で活用できないかと県内で探していた。学校の再生と地区の再生に両輪で取り組むのは全国的に珍しいと思う。センターの運営が地方創生の一助にもなればうれしい」と話している。

学校法人設立し、県内初の不登校特例校開設

 また同事業団は2026年春をめどに下田南校内に県内初となる不登校特例校の開設を計画している。
 同校に併設して定員50人程度の特例校を開設する。運営には学校法人を設立する計画で、県内の大学教授や司法書士、企業などと設立準備委員会(仮)の発足を経て、25年6月頃の法人設立を目指す。理事長には仙波氏が就任する予定。同特例校は学習指導要領に捉われず、不登校生の事情に配慮して授業内容を柔軟に調整できる。文部科学省の指定で、構造改革特区による規制緩和の一環として2004年高尾山学園(東京都)に初めて導入された。他校からの転校も可能で、通常と同じ卒業資格が得られるという。現在全国に24校がある。九州では鹿児島市内に続き、天草が2校目。
 仙波理事長は「天草を皮切りに将来的には阿蘇や人吉、山鹿など県内各地で廃校を活用した特例校の分校を展開していきたい」と話している。
 熊本私学教育支援事業団は現職および退職した県内教職員の有志で設立し、2015年熊本市中央区大江に「熊本学習支援センター」を県内初開校。近年は小中高生の不登校増加を背景に入校希望者が相次いでおり、県内各地に同センターを開設している。現在県内10校に生徒180人が通う。スタッフは正職員15人、学生ボランティア73人。通信制や定時制、子ども食堂も運営している。
 仙波達哉(せんば・たつや)理事長は熊本市出身。1954(昭和29)年12月7日生まれ、68歳。九州学院‐東京理科大学卒。90年から九州学院で数学教諭として勤務した後、昨年3月に退職し、同事業団理事長に就任した。熊本学習支援センターの設立メンバー。
_くまもと経済 業界NAVI_:2023年9月30日発行 No.508

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