農業経営継承の覚書を締結・・・・水俣市の農家・鶴田さんと冨森さん

　水俣市袋の農家・鶴田徹夫さん（８６歳）は２月２１日、同地で就農を希望する冨森識弘（のりひろ）さん（４３歳）と、経営継承に関する覚書を締結した。冨森さんは同地で鶴田さんの果樹経営を引き継ぎ、同氏から営農指導も受ける。
　継承するのは、果樹園地や加温・無加温ハウス、倉庫２棟などを含む１・１ｈａ。すでに冨森さんは鶴田さんからの指導を受けており、昨年７月から現地に勤めている。締結にあたっては「くまもと農業経営継承支援センター」（事務局・熊本県農業会議）や、芦北地方農業振興協議会が仲介を担った。
　鶴田さんは１９６１年にミカン畑を開墾、８９年から主にデコポンを栽培。高齢などを理由に第三者への継承を決め、２０２１年から継承支援センターに相談してきた。同センターと芦北地方農業振興協議会で協議を進め、農地の所有権移転、引渡しを経て、農業経営継承に係る覚書を締結した。冨森さんは大津町出身。石油会社などに勤務して帰郷。両祖父母が営農者であったことなどがきっかけで就農を決め、２０年からＪＡあしきたで研修を受けてきた。
　水俣市役所で開いた締結式で、鶴田さんは「冨森さんは、情熱と若さをもって水俣、芦北地域の果樹、農業の発展に尽くしてもらえる農家になると期待している」。冨森さんは「鶴田さんが半世紀以上守ってきた農地を大切に、地域に恩返しが出来るような活動をしたい」と話した。
　くまもと農業経営継承支援センターは県内の農業関係団体など１２機関で構成し、２０２１年６月に設立。経営移譲希望者や継承希望者の情報をデータベース化、計画的な経営継承の促進、システム化に取り組んでおり、今回、初の継承が成立した。