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新株予約権の発行で4千万円の資金調達・・・・CAST

 「ゾルゲル複合体圧電デバイス」技術を活用した薄型超音波圧電センサーの事業化を目指す熊本大学認定ベンチャー鰍bAST(キャスト、本社・熊本市中央区黒髪2丁目同大学内、中妻 啓代表取締役)は、リアルテックホールディングス梶i東京都墨田区、丸幸弘、永田暁彦代表取締役)が運営するリアルテックファンドと肥銀キャピタル梶i熊本市中央区下通1丁目、宮ア智弘社長)が運営する肥銀ベンチャーファンドからJ-KISS型新株予約権の発行による4千万円の資金調達を実施した。
 同社のキーデバイスとなる超音波圧電センサーは、振動や圧力などの変化を電気信号へ変換したり、逆に電気信号を機械的振動に変換したりするもので、医療用超音波診断装置をはじめ、工業用途では化学プラントなどの配管の検査などに用いられている。同社はこのセンサーをあらゆる形状に製膜できる自由曲面にするため、圧電セラミックス粉と圧電ゾルゲル溶液を混合したものを攪拌(かくはん)した後、自動スプレー装置で基盤に塗布し、熱処理と冷却の工程を繰り返して用途に応じた厚さの圧電膜を作る技術「ゾルゲルスプレー法」を開発。このコア技術により用途に適した膜厚にすることができ、作製したセラミック圧電膜は多孔質のため柔軟性に優れ、耐熱性もマイナス40度から最大1千度を実現した。
 現在、この技術を活用し、各種工場プラントの配管などに超音波電圧センサーを被覆させ、配管の厚みを測定したり、亀裂や薄くなっている部分を検査する配管モニタリングシステムの事業化をターゲットとしており、今回の資金調達で得た資金により、高温部、狭所にも常時つけっぱなしが可能な工場向け配管モニタリングシステムの実証先を確保し、技術開発を加速させる。
 J-KISS型新株予約権とは、特にシード期といわれる創業直後のスタートアップが簡単に素早く資金調達をすることを目的に設計された資金調達手法で、新株予約権であればバランスシート上負債として計上されることはなく、債務超過の問題が起こらないなどのメリットがあるという。同社は、熊本大学が18年4月に創設した「大学発ベンチャー等に関する認定制度」を活用し、同大学工学部大学院先端科学研究部の中妻啓助教、田邉将之助教、小林牧子准教授の3人が発起人となり、19年9月26日に設立。資本金は1999万円。
 中妻代表取締役は「あらゆる場所に取り付け可能な超音波電圧センサーを用いた配管モニタリングシステムにより、危険な場所で、センサーを手に持ち人が検査をして回るという、従来の製造業の苦役解消を実現したい」と話す。
_くまもと経済 業界NAVI_:2022年6月30日発行 No.493

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